政治家はなぜ一般投資家より儲かるのか──米議会指導部の株取引を徹底調査
政治家の株取引はどこまで許される? 1995〜2021年データが示す構造的問題 SPENCER PLATT/GETTY IMAGES
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議会指導部に加わると劇的な変化が...
事実上のインサイダー取引が横行
政治家が株の売買をして、一般投資家よりも優れた投資成績を上げている──。よく考えると、これは決して意外なことではない。米議会では2024年、上院議員と下院議員合わせて100人以上が株取引をした。これは違法ではないが、国民は怒っている。当然だろう。
12年に議員によるインサイダー取引を規制する法律(通称STOCK法)が制定されたが、いくつかの事件をきっかけに、その有効性に大きな疑問が生じている。新型コロナウイルス感染症について、早い段階に非公開で説明を受けた上院議員4人が、株式市場が急落する前に売り抜けたのがいい例だろう。
筆者は中国・西交利物浦大学国際商学院の周亦凡(チョウ・イーファン)と共に、アメリカの政治家による株取引について調査した。「アメリカの政治家、とりわけ議会指導部は、本当に法外な投資利益を手にしているのか」を明らかにするためだ。
特に注目したのは、議長や会派の代表、院内幹事、議会委員会の委員長といった議会指導部と、一般議員の投資成績の差だ。議会指導部はアジェンダを決めたり、さまざまな事象について非公開で説明を受けたり、市場に影響を与える情報を早い段階で得る機会がある。
われわれは1995〜2021年に議会指導部に就いた全議員の株取引を調べて、その投資利益を一般議員と比較した。