DMCにおけるサタニックエンペラーの考察.
えー、突然ですが皆さんは「デトロイト・メタル・シティ」という漫画をご存知でしょうか?
ポップミュージシャンとしてデビューすることを夢みていた気弱な青年がそれとは対極も対極な
音楽性を誇るデスメタルバンドのフロントマンとして祭り上げられてしまったところから始まる
この漫画、ヘヴィメタル特有の世界観を思いっきり斜め見た上でそれを明るく楽しく小バカにした
風味なドタバタ描写の面白さがあれよあれよという間に人気を博し、今や売り上げは250万部以上、
はたまた映画化に劇中バンドのCD化と、飛ぶ鳥を落とす勢いで大ヒット継続中だそうで、
かくいうミーにとっても「ハチワンダイバー」「闇金ウシジマ君」と並んでマイフェイバリットな
漫画の一つだったりします。
そんな大人気を誇る漫画だけあり、その見どころ・笑いどころをいちいち挙げていけば枚挙に
暇がなくなってしまいますが、あえて「ここ!」という場面を選ぶとするならミー的にはやっぱり
「DMC」4巻におけるデスメタルの祭典「サタニックエンペラー」及びそれの関連話ははずせない
ところです。
なにせ開催地が富士樹海の奥地ですからね、出場資格のふれ文句が「闇で活躍する凶悪なバンド」
ですからね、当然のごとく出てくる奴らは凶悪のみならずそれに邪悪を足し合わせ、さらには最悪に
極悪を掛け合わせたような一騎当千のつわものばかり。さあいでよ、暗黒の覇者達よ!
まずは女性だてらに男以上のデス声を持つレイ擁するデスパンクの新鋭「パイパニック・チェンソー」。
美少年にまたがって演奏もせずにステージ狭しと駆け回るフランスのスラッシュメタラー「ポワゾン」、
究極の音楽と言われるメタルにこれまた究極の武器と謳われるウンコを掛け合わせた前代未聞の
スカトロメタラー「デズム」。
ブラックメタルの本場ノルウェーからはその黒歴史を凝縮したがごとき経歴を持つ魔の予言者「ヘルヴェタ」。
クラウザーさんいわくデスメタル基本概念である「死する者の絶望」を闇鍋でごった煮たかの
ごときこのハードコア感とカオティック感たるや、まさにデスメタルの魂そのものを感じさせて
くれるに十分足るメンツであると、核たる音なくともその描写のみで確信させてくれた作者の手腕は
まことに天晴れという他なく…!
しかしここまで衝撃を与えられてなおミーは思いました。
現実は小説より奇なり、そしてまた事実は空想を遥かに凌駕しえる可能性を持つ筈と。
「もし」ミーがこのフェスのオーガナイザーだったなら、想像上ではなく現実面において、
このメンツを更に超越しうるとびっきりのエクストリーマー達を集めることが出来たかもしれないと。
そう、これは「物語」という名の虚構解に対する現実界からの解答…
というわけで、DMCがメタルをパロってるという前提を十分に踏まえた上で、
「もし本当にサタニックエンペラーが開催されたなら…」をテーマにつらつらと語ってみました。
さて「DMC」と聞けばまず浮かんでくるのが面白おかしくも奇天烈きわまるデスメタル特有の
世界観ですが、その界隈にはそれを楽しむ為の前提知識として知っておいておいた方がいい一つの
語り草があります。
それが北欧はスカンジナビア半島におけるノルウェーの「ブラックメタル」にまつわる伝説です。
まあ簡潔にいうならこれは過激なメタルを追求しすぎた余り、本来ならそれの付加価値でしかない
「悪魔崇拝」というギミックに勘違いしまくりな熱意まで注ぎ込んでしまったことによる本末転倒
ベクトルがさんざ転がった末、その狂気に踊らされた才能ある若者達が本当にやってはいけないことを
さんざやりまくってしまったというメタル黒歴史のことです。
ちなみにこの活動の中心となった「インナーサークル」という団体では悪いことをすればするほど
そこでの地位が上がるという、ウンコを見つけた直後の小学生やインコに言葉を教えてるガッツも
顔負けな頭の悪い度を誇るポイント制を導入しておりました。えー、具体的にどんなことをすれば
そのポイントがアップしたのかについては下記を参照ください。
・なにはともあれ悪魔崇拝
・顔面を真っ白く、目の周りだけ黒く塗って、珍種のパンダを気取る
・由緒正しき国宝級の教会にキリスト教撲滅目的でバンバン放火
・欝病をこじらせついでに猟銃で自分の頭をサクっと打ち抜く
・そんな友人の自殺現場を撮影し、その写真をアルバムのジャケットにしてみちゃったり
・ついでとばかり砕けた頭蓋骨は細工してネックレス、脳みそはスープにしておいしくいただいちゃう
・あと、しつこく絡んできたホモを興味本位でメッタ刺しとか
・そのホモをメッタ刺した奴よりも目立つ為、会のリーダーをナイフでメッタ刺して無期懲役
劇中における架空のバンド、ヘルヴェタのシンガー「シャーゼ」はこう宣っています。
「この世は殺れる側と殺れない側の人間に分けられる」 と。
それはマーシャルのアンプを斧の一撃で真っ二つにしたクラウザーさんの凶行を目の当たりにする
ことで「だが奴はそのどちらでもない… 殺ったことのある側だ!」と結ばれるに至りますが、
その言葉を借りるなら上述したノルウェジアン・ブラックメタルの重鎮達もまたその資格を有す、
そうクラウザーさんと同じく「殺ったことのある側」だったわけです。
まあ、その大多数が音そのものと演奏面のみで勝負する方向へ切り替えた今となっては
流石にあまり過激なことはしなくなったと言われているノルウェーのブラックメタル勢ですが、
そんな風潮の中にあって今もなお覚醒当時の尖端思想を色濃く漂わせている唯一無二のバンド、
それがこの「ゴルゴロス」です。
そんじょそこらの中2病ごときにゃ絶対到達しえないこの創意的ファッション、
ち…超カッケー ついでに抱きつかれたらトゲトゲで絶対しねるー
もちろんその格好のみならず、ブラックメタル的な地位を示す武勇伝ポイントもばっちり。
ギタリストのインフェルヌス… いえ、インフェルヌス「さん」は友人のレイプを黙認した罪で
(本人否定)もろに実刑くらってますし、シンガーのゴール…いえゴール「様」もパーティに参加した
男性と口論になった末、鈍器で頭部を殴打のち蹴る殴るの痛打をくわえた挙句、「お前は生贄になるのだ、
お前の血を飲んでやる」とコップを手渡してその量が少なかったという理由だけで再度暴行をくわえるに
至ったという罪で(本人は否定)、同じく実刑を打たれていたりしますからね。
以上のことからも彼らが劇中最凶バンド「ヘルヴェタ」に勝るとも劣らない生粋のメタルモンスターで
あるという事実が十分にご理解いただけたと思います。
そんな彼らの貴重なインタビューシーンを06年公開「メタル・ヘッドバンガーズ・ジャーニー」の
中から下記に一部抜粋してみました。
インタビュアー:「ゴルゴロスの音楽を突き動かす動力源はなんですか?」
グラスワインを悠然と回しつつ、黙考すること5秒…
インタビュアー:「サタンが表すものとはなんですか?」
更にグラスワインを回しつつ、その5秒後に出てきた言葉が…
「サタン」と「自由」て。
すみません。あまりの突き抜けっぷりに、失礼を承知で笑っちゃいました。
しかし、しかしです。ここまで紹介しておいてなんですが、彼等最大の武器はその堂々たる犯罪歴でも
歯に衣着せぬ言動でもなく、悪魔崇拝主義を全面に押し出した圧倒的なまでのステージ・パフォーマンス、
それこそがゴルゴロスをゴルゴロスたらしめている必要不可欠な要素なのです。
まあファン自らが生け贄となって犯り殺されることを求めるDMCのパフォーマンスから比べればまだ
甘いかも知れませんが、それでも炎上するステージ上にてところ狭しと転がる羊の頭に全裸状態で磔られた
男女の狂態はインパクト絶大と評するに十二分。ちなみにこれは彼らの新作用PVでして、まあプロモ用
なんだからやりたい放題レベルのハードルは低い方だよね?と思いきや、彼等の本当に凄いところは7万人を
動員する世界最大級のメタルフェス「ヴァッケン」にて本当にこれをやっちゃってるところにあります。
=特殊効果満載な生け贄の前にて御機嫌麗しいゴ−ル様(もろチン部分は修正しときました)=
勿論、特殊メイクをフル使用しての演出ですがそれでもここまでやってくれちゃうバンド、他にそうは
いないんじゃないかって。ここはそんな彼等の来日公演を是非とも期待したいところですが、あの銀杏の
峯田君がほぼ同規模を誇る日本最大級の邦楽フェス「ロック・イン・ジャパン」にて4万人の前でチンポを
丸出して熱唱したことにより心無い人から眉ひそめられついでに書類送検くらっちゃうというとても哀しい
事件があったのはまだ皆の記憶に新しいところなので、その程度で騒ぎ立てられちゃう日本のお国事情と
人種的メンタリティから鑑みれば、現時点での彼等の来日はほぼ不可能だと言わざるをえず…
でも1回でいいから生で見てみたいなァー
下半身さえあればいい 下半身さえあればいい
下半身さえあればいい 下半身さえあればいい
その酷さここに極まれり!な歌詞ですが、それ以上に哲学性すらも感じさせる程の一貫した
ラブヘイトな思想性、その展開における独創的な韻をも含めて素晴らしすぎると言わざるをえません。
ヤバい、クラウザーさん鬼才すぎる。
しかし世の中、上には上が。その鬼才レベルをも軽々と超越する程の奇才が存在するということを、
本日はここに証明させていただきたいと思います。
それが彼等、イギリスはその出身地を冠する「リヴァプールの残虐王」の異名を取り、
力押しのリフとブラストの攻撃力ばかりが目立つ傾向にあったデスメタルに、メタル旧来からの
伝統である叙情的なソロを盛りこんでメロディック・デスメタル、通称「メロデス」なる新天地を
満天下に知らしめた至高のメタル・フロンティアーズ、「カーカス」の皆さんです。
百聞は一読に満たず。
まずは医学用語辞典から使えるキーワードを選び抜いて作られたと言われる、その悪趣味きわまりない
曲名の数々を歴代アルバムからほぼノーカットでどうぞ。
■腐乱屍臭 - Reek of Putrefaction
×××をミンチに!、内臓大爆発、蛆の巣、腐敗(ドロドロシテル)
、炭化眼電球、
狂乱バラバラ死体、汚れた尻、腐敗日、発酵したはらわた、くそったれ人生、膿汁、堕胎、
電子妊娠料理、死体の宴、はらわた血だらけ、精神科医、焦熱地獄、拷問地獄、イボイボ尿道声明、
腐ったナイフ、粘液膿性排出物、悪性の下痢
■真・疫魔交響曲 - Symphonies of Sickness
腐敗臭、餓鬼は屍体を貪り喰う、腐ったはらわた、はらわたの膿、屍体大好き、
餓鬼は死産児を貪り喰う、保菌者の群れ、寄生虫の卵、××ゴロシ、ただれたはらわた、
×××をミンチに!2、肝組織発酵
■屍体愛好癖 - Necroticism - Descanting the Insalubrious
屍体で花を咲かせましょう、人体ジクソー・パズル、疫魔交響曲第2番、由緒正しき屠殺場
硫酸どろどろ何でも溶かす、肉体不協和音、リゼルジン酸による嘔吐、吐瀉物による洗浄、
若き臨床科医の肖像…
どうですか、このグロテスク度。
昔のメタルといえば、意訳の範疇を銀河レベルで飛び越えた突拍子もない邦題と、度を超えた大仰さを
誇るオビの煽り文句こそがむしろ中身そのものよりも売りになったりしていた時代が確かにありましたけど、
それにしてもこれは… これを担当した秋山幸子さんという訳者は一体全体なにものだったのでしょうか?
もちろん曲名のみならず、当然のことながら歌詞の方も「DMC」のそれを空気にさせる勢いで
マジぱねェグロ度を誇っていたりします。本日はその中の一つ「人体ジグソーパズル」をほぼノーカットで
御紹介いたしましょう。
切開されてバラされて 臓ぬかれて大混乱
満足げに分断された胴体
上等に切断され もがれた肢が動きを止める
躯幹は血みどろ 毛の生えた断片をコマにして軟骨素パズルをやろうぜ
こりゃ〜趣深いぞ。
首はハネられ 体が残る。
うめく塊 ずいぶん大人しいねぇ
バラバラグチャグチャ お前の体をどんどん切開
流血戯画そのもの 不気味なジグソーがのたくり 断片はめるとピッタリ
見当たらないピースはおまえから切り取って作るさ
すっかりバラけた そぎ切り角切り上手だね
おまえは人間てやつだったんだっけ
肉と骨を切り刻み 頭蓋骨は迷惑千万
何が何だかワカリマセーン…
汁が出るまで殴りまくって大人しくさせる
人間ジグソーパズルそのもの 昔はピッタリ合致してた 本気なパターン
あやしい肉塊を互いに結合
醜くバラバラ そぎ切り角切り上手だね
肉と骨はごった混ぜ 脳みそ弱って迷惑千万。
いやあ屈辱だねえ…
止まらないゲーム 入念に仕組まれていく
共生する肉の断片がどんどん積み上がるごとに…
えー、「『カモン、ベイベー!今夜は一緒にいよう!イエィ!ロックンロール!』って
歌詞は大嫌いだ!寒気がする!薄っぺらだ!大嫌いだ!」と普段から青筋たてて力説しておられる
かのイングヴェイ大明神もこれならご満足いただける…わけないかー
正直、モニター前で苦虫噛み潰したようなツラになってる皆様の御機嫌をこれ以上損ねるのもいかがな
ものかと思ったのですが、非常に残念なことに、もう一つ報告しておかねばならないことがありまして…
その、なんというか、非常に困ったことにこの人たち、その曲名・歌詞をも更にブッチぎる勢いで、
そのジャケ絵が究極的に酷いということでも名を馳せていらっしゃる、本当に本当に困った人たちでしてー
(ニコニコしながら) …あ、じゃここらで一つ、お口直しの和み画像をどうぞ。
はい!すっかり心癒されたところで続きです。
そんなこんなで悲惨な死にザマ遂げた仏様ばっかりをコラージュして12×12のCD角にところ狭しと
貼り付けまくったデビュー作のそれは言うまでもなく発禁、そこから「学ぶ」ということを悠然と放棄して
わざわざ同路線で作成したグチャドロ地獄絵ジャケの2枚目も当然のことながら即発禁。
ここにきてようやく「ちぃ学んだ」らしく、じゃ有名人のそれなら大丈夫でしょ?と小首を傾げ気味に作った…
かどうかはともかくケネディ大統領の脳みそをもろバーンなジャケがどこをどうしたら発禁にならないとでも
思いましたかこのおバカー! というわけで彼等の初期ジャケを未だもって流通している法治国歌は
現時点じゃかなり少ないと思われます。
実は英語名でイメージ検索すれば簡単に発見できたりするのですが、上述のカンニバルコープスをまるで
意に介さないほどの過激描写を前に流石のミーも配慮せざるをえませんでした。
ここ日本でもありとあらゆるネットショップで「NO-PICTURE」表示になっている惨状を眺め、その裏事情を
静かに察するが正しき大人の態度というものでしょう。
そんな界隈きってのグロ魔神な彼等の世界観がとてもよく表現されている秀逸動画を見つけましたので、
せねてもの代わり的意味合いも含めた参照用として下記に貼りつけておきます。
激しい曲調の中に時折挿入される悲哀感たっぷりなギターフレーズが最大の傾聴ポイントかと。
あと詩音さんノリノリ場面は何度見ても笑うしか。
えー、先日行われたラウドパーク08にて奇跡の再来日を果たしたことは、我々メタラーの記憶にまだ
新しいところですが、その際も腐ったチンポ動画を2万人超の前にて大スクリーンに大写し、スリップノット
目当てのゴス女子達を真顔でドン引かせてました最高だ。