byオゾン
| 「ともし火を見つめる二人」 『ビュゥゥゥゥゥゥ・・・・』 窓の外では粉雪が風に舞い、気ままな激しいダンスを踊っていた。 「ホワイトクリスマスと呼ぶには強すぎるな、吹雪いてきたぞ。」 暗すぎてよく判らない庭の様子を眺めるのに飽きると 俺は窓から離れ、再びソファーに座った。 今、この桐ノ宮邸にいるのは俺とユカの二人っきりだった。 使用人の執事や柿本夫妻達は休みを取らせ屋敷にはいない。 「御主人様ぁ、ロウソクの灯りって素敵ですね。」 「ああ・・・」 暗闇の中で、隣に座るユカが呟いた。 彼女の瞳は燭台に灯る二つの揺らぎを見つめている。 一つのソファーに二人が座り、燭台を見つめ続ける。 何となくその対の光が、今の俺とユカのように思えてきた。 同じ燭台の上で、互いを照らしてチロチロと静かに燃える二つのロウソク。 他に何も無い。他に灯りは何も無い。世界にたった二つだけのともし火。 「ねぇ、御主人様ぁ・・・」 ふいにユカが身体をぴたりとすりよせてきた。 華奢な肉体がまるで小さな仔猫のようだ。 可愛い奴。例えようも無い保護欲が湧き 俺は彼女に腕を回し、優しく肩を抱いてやった。 「なんだい?ユカ。」 「御主人様ぁ。雪で切れた電線、いつ直るんです?」 「・・・明日には業者が来ると思う。」 毛布に包まり、寒さに震えている俺達二人は そのまま会話を途切らせた。 『ビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ』 山の中腹にある桐ノ宮邸は、冬にとても弱い・・・・・ 「ともし火を見つめる二人」 おしまい。 ウソウソ!まだ続きます。 ただし、ここからは18禁ですので 18歳未満のかたは自分の判断と責任でどうぞ(^^)/ |