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烏兎の庭 2025年10月
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黄色いバラ
10/1/2025/WED
秋の気配
熱中症安全坊や

ようやく秋めいた気候になってきた。天気予報でも熱中症危険ランクの表示が減り、すやすや寝ている安全坊やがよく映るようになった。もうすぐ表示じたいがなくなるだろう。

久しぶりに最近の暮らしぶりを書いておく。

 6:30、起床。パソコンで日経新聞を読む。食事中はスマホで電子版。

 6:50、NHKで天気予報を見ながら朝食。ニュースの見出しを見たら「ZIP!」。

 7:30、2、3日に一度洗濯をして、ベランダに干す。

 8:00、2階に上がり自室で在宅勤務開始。

10:00、1時間に1回は立って、2Kgのダンベルを持って50回ジャンプ。

11:30、昼食。納豆と温野菜で済ませることが多い。

15:00、洗濯物を取り込み。

17:00、退勤。残業はほとんどない。ベッドに寝転がり、ぼんやりする。

17:30、本も読まないし、音楽も聴かない。ギターも弾かないし、語学の学習もしない。

18:00、スマホも見ない。まったく怠惰な時間。

18:30、妻が出勤の日は夕飯を支度をする。

21:00、食後はテレビで健康情報番組を見ることが多い。ドラマは見ない

21:30、入浴

22:00、就寝。教会の説教を聴きながら目を閉じる。ラジオを聴くこともある。

猛暑のあいだ、読書と散歩が停滞していた。ギターも弾いていない。料理もおざなり。

涼しくなってきたので、活動的な秋にしたい。


さくいん:日常


10/2/2025/THU
スマートカジュアル

明後日、娘の結婚相手の家族に会う。いわゆる顔合わせの食事会。

結納や婚約などという堅苦しい会にはしたくないらしい。「スマートカジュアルで来て」と言われた。「ネクタイはいらない」「手土産も必要なし」とも言われている。

これがむずかしい。私の場合、ファッションはフォーマルかカジュアルか、どちらか極端に振れてしまう傾向がある。

ブレザーにBDシャツにネクタイ。そうでなければTシャツかポロシャツにジーンズ。中間のコーディネートがなかなか思いつかない。

現代は便利な時代で、「スマートカジュアル」で検索すれば、具体的な着こなしがたくさん見られる。しかも、50代という年齢層でも実例が見られる。

いくつかウェブサイトを見ると、「大人の品格」「オジサンに見えない」がポイントらしい。若づくりするとかえって失敗するから、フォーマルをやや着崩す程度がよさそう。

思案した結果、紺のブレザーに明るい柄のシャツ、グレーのパンツ、黒のベルトと革靴、というコーディネートを思いついた。シャツの色は妻の服装とのバランスを考えて調節する。

服装も悩ましいけど、もっと悩ましいのは話題。どんな家族か、前情報も少ないので何を話せばいいかわからず、困っている。


10/3/2025/FRI
マジカルワールド 驚きいっぱいのぬりえブック、Johanna Basford、グラフィック社、2024
心やすらぐ 国宝仏像なぞり描き、田中ひろみ、池田書店、2016
マジカルワールド 驚きいっぱいのぬりえブック 心やすらぐ 国宝仏像なぞり描き

仕事が終わった夕方。何もすることがないときにすることとして、塗り絵となぞり絵を思いついた。

就労移行支援事業所へ通所していたときに、何時間もかけて1枚の塗り絵に没頭したことがあった。何もかも忘れて集中する時間は心地よかった。

それを思い出して塗り絵に再挑戦し、同時に書店で目についたなぞり絵の本も買ってきた。色鉛筆は子どもたちが使っていものが残っていた。なぞり絵は万年筆で描く。


10/4/2025/SAT
塗り絵となぞり絵の作品
王冠をかぶった小鳥 薬師如来

塗り絵となぞり絵の作品を掲載しておく。右は奈良、新薬師寺の薬師如来像。

絵心がないので塗るのもなぞるのも上手ではない。下絵がなければまったく描けない。

それでも、塗ったり描いたりしているあいだはそれに没頭できる。これはいい。


10/6/2025/MON
家族顔合わせ
顔合わせ会リーフレット

土曜日。娘の結婚相手家族と顔合わせの食事会をした。場所は吉祥寺の日本料理店。

何を着ていけばいいかとか、何を話せばいいかとか、直前まで不安もあったけれど心配は無用。先方の親御さんとも話が弾んで楽しい時間を過ごした。

親族みんなで二人を祝福する気持ちがあふれる、和やかな雰囲気。いい日になった。

服装は、結局、紺ブレに水色のBDシャツ、グレーのウール・パンツという当たり障りない格好にした。相手のお父さんも似たような服装だった。

昨日、婚姻届を無事に提出したとLINEがあった。

娘はいい人、いい家族に出会えてよかった。二人の前途に幸あれと願う。


さくいん:HOME(家族)


10/7/2025/TUE
初秋の神代植物公園(ダリアとバラ)
黄色いダリア 赤いダリア 黄色いバラ、サン・フレーア ピンクのバラ、チェリッシュ

日曜日。心のオアシス、神代植物公園へ行った。出かけるときには雲の多かった空が到着するとすっきりした秋晴れに。絶好の植物園日和。

ダリアは見頃。バラは咲きはじめといった感じ。ばらフェスタは始まる前だった。

前夜に雨が降ったので、水滴が葉や花びらについていて一層きれいに見えた。

黄色いバラはサン・フレーア、ピンクのバラはチェリッシュ。

「植物園が心のオアシス」という言い方に偽りはない。きれいな花を見たり、木漏れ日が揺れる林を歩いていると、日頃の不安やストレスがなくなり、心が透き通っていく気がする。


さくいん:神代植物公園


10/8/2025/WED
初秋の神代植物公園(ベゴニアとパンパスグラス)
黄色いベゴニア 赤いベゴニア パンパスグラス パンパスグラス

昨日の続き。大温室で見たベゴニアがポートレート・モードできれいに撮れたので掲載しておく。熱帯スイレンもゆっくり見たけど、いつも撮っているので写真は撮らなかった。

いつものように多聞でそばを食べて植物園に再入場した。

広々とした芝生広場の真ん中に巨大なススキに見えるパンパスグラスがある。花穂がフサフサして風に揺れている。とてもいい眺めだった。午後は気温が上がり日傘を差して歩いた。

心地よい疲労感があり、帰りのバスではうたた寝してしまった。


さくいん:神代植物公園


10/9/2025/THU
極度の緊張と不安
下書き

ふとしたことがきっかけで、仕事前に不安から極度に緊張する悪い癖が戻ってきた。

昨日の作業でミスはなかっただろうか?
叱責や人格を攻撃するようなメールが来てないだろうか?

朝、パソコンを開くとき、不安で胸がドキドキする。

極度に緊張すると、過覚醒ではなく、反対に現実から逃避したくなり、眠くなる。

最近、涼しくなって夜もよく眠れているのに、昼休みに眠ってしまうこともある。

火曜日。久しぶりに病院を予約して夕方、診察を受けた。近況を伝えて、「10年前に戻ったようで怖い」と付け加えた。

S先生からは「親の介護子どもの結婚など日常と違うことが複数起きことが要因で、仕事だけが原因ではないだろう」と説明された。おめでたいことがストレスになっているとは想定外だった。

確かにこのところ仕事以外でも緊張を強いられる場面が少なくなかった。先生と相談したうえで、一度減らした抗うつ薬を一時的に増やすことにした。

もともとは土曜日に食事会の前に受診するつもりだった。ところが異常なほど混んでいて、診察を断念していた。久しぶりに予約をして夕方、受診したらゆっくり相談ができた。

「もう寛解に近づいている」と勝手に早合点していたけれど、まだまだだった。


さくいん:うつ病S先生


10/10/2025/FRI
あんぱん 特別編、NHK
あんぱん 特別編

朝ドラ『あんぱん』が終わった翌週、スピンオフの短編ドラマが4話放送された。新しい朝ドラはまだ見ておらず、こちらを先に見た。

どの話もよかった。高橋文哉、原菜乃華、大森元貴、古川琴音がそれぞれ持ち味を出していたと思う。

芸能事情に疎いので、高橋文哉が人気上昇中の俳優ということを最近まで知らなかった。大森元貴が演技も自然で驚いた。主人公は今田美桜ではあったけど、河合美優と原菜乃華を加えて三人姉妹という設定にしたことも、ヒットした理由の一つだろう。

第四話は、古川琴音演じる星子が事務所の仕事をのぶから任されるという話だった。今、やなせスタジオの代表を務めている越尾正子さんのインタビューを見たことがあったので、物語をより深く楽しむことができた。

スピンオフの短編ドラマはいいアイデアだった。物語の余韻を楽しみたかったので、半年欠かさず見続けたご褒美をもらったような気持ちになった。

やなせたかしのことも、『アンパンマン』のことも何も知らずに見はじめ、物語に導かれて少しずつ知るようになった。これが飽きっぽい私が楽しく見続けられた理由かもしれない。

北村匠海は4年前に『君の膵臓をたべたい』を見てから気になる役者になり、何作も作品を見てきた。個人的にはアグレッシブな性格よりも、本作のような内向的な人物が似合っているように思う。

朝ドラ出演でさらに飛躍が期待される。ファンとしてはうれしい。


さくいん:NHK(テレビ)北村匠海『君の膵臓をたべたい』


10/11/2025/SAT
ライブラリー・バーの思い出
ライブラリー・バーのカウンター

大阪の全日空ホテルが閉館になると聞いた。知らなかった。

20年ほど前、毎週、大阪へ出張していた。最初はクルマで東京駅まで走り、朝6時、始発ののぞみに乗車していた。途中から8時に羽田発の伊丹行き全日空便に乗るようになった。

その頃、定宿にしていたのが、大阪全日空ホテル。最初の頃は谷町四丁目にあるルーテルに泊まっていた。常時アクセスできるインターネット回線が無料だった。『烏兎の庭』を公式に開園した日もここに泊まっていた。

当時、頻繁に飛行機を利用していたので、全日空の上級顧客会員だった。会員であれば、全日空ホテルで朝食が無料になり、バーでも一杯無料で飲めることがわかり、定宿を変えた。確か2003年後半か2004年のこと。

このホテルのバーがライブラリー・バーという名前だった。ここでシングルモルト・ウィスキーの魅力を教わった。次第にバーテンダーとも顔見知りになり、行くたびに新しい銘柄を教えてもらい味を覚えた。

出張先での仕事が終わると、夕方、堂島のジュンク堂に行き、新地で細うどんを食べて、ホテルのバーへ行く。これが一人で出張したときの、お決まりのコースだった。同行者がいるときは、さらに遅くまで呑み歩くこともあった。

あの頃は、超多忙だったわけでもなく、カスハラも受けていなかったので、まだうつ病も発症していなかった。ビジネスは低調だったけど、仕事は楽しいとまだ思えていた。

閉館前にもう一度行きたかった。直前過ぎて旅行の計画は立てられない。せめて思い出に浸り、バーテンダーのIさんに教えてもらったモルト・ウィスキーを呑む。


さくいん:大阪うつ病


10/13/2025/MON
昭和時間旅行 ~こころのベストテン1978-1981、ヘリテージ、2025
昭和時間旅行 ~こころのベストテン1978-1981

雑誌『昭和40年男』の別冊増刊号。電子版しかないのはもったいない。ぜひ紙でも出してほしい。読みながら「なつかしい」を連呼してしまった。

1968年に生まれた私にとって、70年代末から80年代初頭思春期の始まりの時期。小学五年生から中学校卒業まで。いろいろなことに興味を持ち出し、異性が気になりだし、心も身体も大人になりはじめた時期。

同時にこの時期は、私にとって一番辛く苦しい時期だった。姉を自死で失い規則暴力で統制された管理教育に苦しみ、初めて失恋した時期でもあるから。

だからこの時代は、なつかしくて、悲しくて、甘酸っぱい記憶にあふれている。

そういう意味では、この本は私にとって紅茶に浸したマドレーヌのような効果があった。

ラジカセカセットテープ中村雅俊の青春ドラマなど、この本が取り上げているどれもが当時の景色や匂いまでも呼び起こして、楽しいような苦しいような、言いようのない複雑な気持ちにさせる。

本書のなかで面白かったのはドラマ『ゆうひが丘の総理大臣』に出演していた井上純一と清水昭博のインタビューと、エログロ雑誌『写真時代』編集者の回想。駄菓子屋で売っていた安くて色が怪しいジュース「チェリオ」。

『写真時代』は自分で買うことまではしなかったけど、中学二年生のときに仲がよかったKP君とよく六浦書房で立ち読みをした。そう、性に目覚めたのもこの頃。

あの時代の空気を文章で表現してみたいと思う。でも、小説は私には書けない。私が好むパーソナル・エッセイにできないだろうか。まずは「言いようのない複雑な気持ち」を言葉にすることから。


さくいん:70年代80年代自死遺族体罰中村雅俊


10/14/2025/TUE
カラオケ、洋楽特集

三連休。先週、緊張するイベントがあったのでこの週末は静かに過ごした。

土曜日はインフルエンザの予防接種。駅前でインドカレー。いつものようにほうれん草とチキンの辛口。午後はたっぷり昼寝してしまった。そのせいで、日曜日は朝5時にはもう目が覚めてしまった。

日曜日はMLBの地区シリーズ、カブス対ブルワーズを観戦してから、妻と駅前のそば屋へ。今季初めて温かい五目そばを食べた。食後、ジムへ行く妻と別れてカラオケへ。

70'sと80'sの洋楽ばかりを2時間歌った。Jacson Browne, "Late for the Sky," Carole King, "Home Again," Todd Rundgren, "It Wouldn't Have Any Differences (if you loved me)," Journey, "Faithfully," Huey Lewis and the News, "Stuck with You," Tracy Chapman, "Fast Car," Queen, "Love of My Life," The Carpenters, "For All We Know," Paul Simon, "American Tune," Richard Marx, "Right Here Waiting"。

ほとんどがこれまで『庭』で言及したことのあるアーティスト。私の「青春のメロディ」と言ってもいい。

最後は、学生時代に代々木体育館で観たときにも最後に歌った、Phil Collins, "Take Me Home"で〆た。"I've been a prisoner all my life"が心に刺さる。

70年代から80年代の曲ばかりを歌う気になったのは、あの時代を特集したムックを読んだから。本を読みながら感じたモヤモヤした気持ちが思い切り歌ったら吹き飛んだ。

カラオケは私にとって海辺や植物園を歩くことと同じくらい有効なストレス・コーピング。でも、あのモヤモヤした気持ちも、いつか言葉にできるよう大切にしたい。


さくいん:70年代80年代ジャクソン・ブラウンキャロル・キングトッド・ラングレンジャーニートレイシー・チャップマンクィーンカーペンターズポール・サイモンフィル・コリンズ


10/15/2025/WED
吉ブラ(VVDと街々書林)
グランマッシュルームボルチーノ・バーガー 街々書林 地図のいろいろ展 地図のいろいろ展

3連休の水曜日。吉祥寺をぶらついた。まず中道通りまで歩いた。それからVillage Vanguard Dinerで期間限定のグランマッシュルームボルチーニ・バーガー。大きなマッシュルームがおいしい。ベーコンと玉ねぎもはさんであって、かなり分厚い。さすがに食べるのに苦労した。割引中だったのでヒューガルテンの白ビールも呑んだ。

昼食のあとは雑貨屋を見てまわり、古書防波堤で古い岩波文庫の『トルストイ民話集』を100円で購入。次に街々書林で「地図のいろいろ」展。ニューヨーク、アムステルダム、パリなどの地図。眺めていると地図を片手に旅したそれぞれの街の風景を思い出した。

せっかく旅と地図の専門書店に来たので、来年1月に行く予定の石垣島のガイドブック『おとなの書きこみ白地図帳』を購入。白地図はぬり絵となぞり描きに使う。この店は見たことがない本がたくさん置いてあって楽しい。定期的に来たい。

雑貨屋や家具店をまわりリビング用のくずかごを探したけど、どこにも置いてなかった。

お土産は、頭痛で寝込んでいる妻にはらドーナッツを。

たいして歩いてないのに疲れてしまったので、帰りはバスに乗った。


さくいん:東京トルストイニューヨークパリ


10/16/2025/THU
10年前に逆戻り

昨日は辛かった。得体の知れない不安に駆られて何も手につかない。仕事も読書も。

何か悪いことが起きそう

まだ何も起きていないのに、予感だけで怖がっている。

夕方、缶ビールを呑んで少し落ち着いた。もっと強い酒を呑んで酔いつぶれて眠ってしまいたいところ、それは何とかこらえた。

言葉を失くした10年前に戻ってしまった。どうしてなのか、わからない。

抗うつ薬を増やして(元に戻して)もらったけど、効果はまだ感じられない。

ただただ訳もなく苦しい。

しばらく聴かないでいたプレイリスト「ため息が重い日に」を聴いた。真先に国分友里恵「愛したいのに」を聴いた。

聴いていると少し気持ちが落ち着いてきた。こういう頓服薬のようなプレイリストを作っておいてよかった。実際、ずっと前に処方された不安時の頓服薬も服用した。

起きていても辛いだけなので9時過ぎに寝た。6時過ぎまでよく眠れた。今朝は落ち着いている。

SleepCycle

さくいん:うつ病国分友里恵


10/17/2025/FRI
秘密の本

一昨年、自主制作した本、『自死遺族であるということ』。紙の本はまったく売れていない一方で、数は少ないものの、電子書籍は毎月新しい読者を得ている。

Amazonで星5つが4個ついている。それはそれでうれしいけれど、レビューがついてないので、どんなところをよいと思ってもらえたのかはわからない。

もう少し広く知られてほしい。もっと反響を得たい。感想を聞きたい。そういう気持ちがないわけではない。Twitter(現X)で広告を出すことも考えたし、出版社に企画として持ち込もうと考えたこともある。

よくよく考えて、当面何もしないことにした。理由はこの出版は秘密にしておきたいから。

本の内容はもちろん、本を出したことも妻には話していない。子どもたちには自死遺族であることも話していない

家族は私がネット上で「烏兎」と名乗っていることは知っている。うっかり話題になったりしてはかえって困る。このまま密かに読まれるだけでいい。

「隠れて生きよ」を座右の銘にしたことを忘れてはいけない。


さくいん:自死遺族秘密


10/18/2025/SAT
特別な人生

昨日の文章を書いてから、ふと考えた。

「特別な人生」というセリフが山田太一が脚本を書いた鶴田浩二主演のドラマ『男たちの旅路』「車輪の一歩」にあった。ドラマでは足の不自由な青年(斎藤洋介)に鶴田浩二がそう話しかけていた。

考えてみれば、私の人生も人に言えない秘密を抱えているという点で「特別な人生」かもしれない。

そのうえうつ病という精神病を抱えていて、それも子どもたちには秘密にしているし、会社でもほとんどの人は知っているけれど、建前としては皆、知らないことになっている。

土居健郎は精神疾患の患者にとっては病を得たことが大きな秘密になると書いていた

自死遺族でうつ病でもある私の人生は、二重の意味で「特別な人生」かもしれない。

誰の人生も、当人にとっては特別なものということはもちろんわかっている。でも、世間の目から秘密にしていることを二つも抱えている人は、そういないのではないか。

いや、本を作ったことも秘密にしているし、ネットで文章を公開していることも、リアルな世界の友人(そもそもほとんどいないけれど)は知らないから、合わせて少なくとも四つの秘密を私は抱えていることになる。


さくいん:、山田太一鶴田浩二秘密土居健郎自死遺族うつ病


10/19/2025/SUN
クオ・ヴァディス 上下(Quo Vadis, 1896)、Henryk Sienkiewicz、吉上昭三訳、津田櫓冬画、福音館書店、2000
クオ・ヴァディス、上 クオ・ヴァディス、下

福音館書店古典童話シリーズの広告をTwitter(現X)でしていた。そこで引用ポストで『クオ・ヴァディス』をすすめる投稿をした

正直に言うと、福音館の古典童話シリーズで読んだのはこの一冊だけ。しかも読んだのは、大人になってから。子どもの頃はほんとうに物語を読まなかった。生来の物語嫌いzかもしれない。

読んだきっかけは日刊ゲンダイの掲載されていた<狐>こと山村修の書評。『庭』を始める直前、2001年秋のこと。

版元は児童書専門だが、決して子供向けのリライトや抄訳などではない。そこらへんを誤解して手をひっこめると損になるので、あえて付記しておく。

この一文に促されて、夏に転職した会社の近くで見つけた図書館で借りて読んだ。

「クオ・ヴァディス」の逸話は大学受験のため世界史を勉強していたときに知った。当時、代ゼミで山村良橘先生の講義を受けていた。講義のなかで、先生がこのエピソードを紹介してくれた。朗々と講談のように語っておられたことを今でも覚えている。

ローマ文化の緻密な描写、ボーイ・ミーツ・ガールのロマンス、民衆を虐げる強大な悪、小賢しく愚かな悪、人々を惹きつける新しい宗教、誘拐、救出、脱出、壮大な歴史ロマンに引き込まれて、上下2冊をたちまち読み終えてしまった。

『クオ・ヴァディス』を読んで何よりも驚いたのは、聖書のなかの伝説の人物と思っていたペテロとパウロが、登場人物の一人としてふつうにローマ人と会話をしていたこと。伝説上の人物が急に身近に感じられた。

いまでも、第70章をはじめ、好きな場面はときどき読み返す。

山村修は早逝してしまったので、あの辛口の書評はもう読めない。


さくいん:『クオ・ヴァディス』(シェンキェーヴィチ)日刊ゲンダイ山村修山村良橘パウロペテロ


10/20/2025/MON
誕生70周年記念 ミッフィー展、そごう美術館
ミッフィー展

先週は、木曜日の夕方から実家に移動して金曜日は休みにした。金曜日、平日の百貨店は空いていた。

ディック・ブルーナは元はデザイナーで装丁などの仕事をしていたと知り、納得した。あの平面的なミッフィーの造形は絵本作家というよりもデザイナーの仕事に近い。その点でやなせたかしの『アンパンマン』に通じるところがある。

初期は市販のポスターカラーを使用していたが、その後、独自の6色を使用するようになり作品の世界観を深めたという。

我が家にあった作品は、『ちいさいうさこちゃん』と『うさこちゃんとうみ』の2冊。松居直が編集し、石井桃子が訳した初期の作品。そのせいで、歴代のデザインでも平面的な初期のものが好み。読んだのは福音館書店版だけで、講談社版は読み聞かせもしなかった。だから私のなかではいつまでも「うさこちゃん」であり、「ミッフィー」ではない。展示されていた晩年の作品も知らないものが多かった。

いまミッフィーは絵本にとどまらず、『おさるのジョージ』や『マドレーヌ』と同じように巨大なキャラクタービジネスとなっている。今回の展覧会でも出口にたくさんのグッズを販売していた。

アメリカによく出張していた頃、書店や百貨店で、作品世界を破壊していまいそうな粗悪なキャラクターグッズをたくさん見た。今回、グッズ売り場を見たかぎり、配色の再現性などで厳しくコントロールされているという印象を受けた。

ところで、我が家で最も読まれたブルーナ作品は『こいぬのくんくん』。まだ字が読めないが本を開いて暗唱している声をいまでもよく覚えている。


さくいん:やなせたかし松居直石井桃子ルドウィッヒ・ベーメルマンスH.A.レイ


10/21/2025/TUE
ホームカミング

日曜日。卒業35周年を記念するホームカミングのために妻と母校を訪れた。

妻は学生時代にはサークルに入っていたので友人も多く、この日も何人かとなつかしそうに談笑していた。

一方、私はサークルに入らず、授業もサボりがちだったので、学生時代4年間で友人はほとんどできなかった。数少ない友人たちもこちらから音信不通にしてしまったので、この日も知り合いには誰にも会わなかった。

同期には売れている俳優や有名なスポーツ選手もいるけれど、この日は来校していなかった様子。なので、私は友人たちを探す妻のあとをついていくだけだった。

妻の友人が合唱をするというので午後、講堂へ行った。200人以上の合唱団と80人以上のオーケストラで「歓喜の歌」が披露された。ゲストで来ていた声楽家の歌声も素晴らしく、貴重な体験をした。

締めくくりは、やはり校歌。「右手を高く上げて」の掛け声がなつかしい。1番と3番はよく覚えていたけど、2番はうろ覚えでうまく歌えなかった。

学校を出てから、近くにあったので娘の結婚披露宴の会場を下見して帰宅した。私たちにしては珍しく、一日中、外にいた。歩数も1万以上だった。


10/22/2025/WED
回復傾向か?

異常な緊張と不安が少しずつほどけてきた。

仕事でトラブルは起きていないし、週末に気分転換ができたおかげもあるだろう。

薬を増やしたことも奏を効しているかもしれない。ただ、薬の効果を実感しているわけではない。

服用している薬はのどが渇く副作用がある。いまは緊張と不安が高まったときと比べるとのどが渇きは強まった気がする。副作用が効いているなら、有効作用も効いているだろうと推測するしかない。

もっとも、たった数ミリグラム増やしただけで気分が激変すらなら、それはそれで怖い。

以前、突然に不安に襲われたときのために気分を落ち着かせる頓服薬を処方してもらったことがある。このときも、不安の原因となっているトラブルが解決したから落ち着いたのか、薬のおかげなのか、自分でもよくわからなかった。

統合失調症か認知症だったかは知らないけれど、暴れたり罵詈雑言を吐いたりするような人が薬のおかげで借りてきた猫のように落ち着いたという話を聞いたことがある。やはり、精神科の薬には劇的な効用があるらしい。

何にしろ、薬は少ないほうがいいし、できればないほうがいい。でも、減薬するためには自力で自己肯定感やQOLを高く維持できるようにならなければならない。

そういう余力はない。相変わらず何もせずにぼんやりしている時間が長い。まだしばらく抗うつ薬との付き合いが続きそう。

涼しくなってきたおかげで、とりあえず夜はよく眠れている。

月曜日、熟睡度100% 火曜日、熟睡度87%

さくいん:うつ病


10/23/2025/THU
Dog Yearで働いていた頃

2014年末まで働いていたハイテク業界は"Dog Year"と言われるほど、何もかもスピードが速かった。技術革新、価格低減、人の出入り、M&Aなど。

BtoCの会社を相手にしていたせいもある。取引先は個人が相手だから売上管理を毎週していた。私の会社では3ヶ月単位で厳しく売上管理をしていた。

2009年3月に入社して、2014年末に退職した(させられた)会社。5年のあいだに日本支社長である上司は4回変わった。本社のCEOも途中で変わった。本社の部長級はさらに頻繁に変わっていた。2社を買収した。数年前、今度はこの会社が大企業に買収された。

その前にいた会社では2年足らずのあいだに2社買収し、大規模なレイオフ(整理解雇)もあった。私もその対象となり辞めさせられた。

目まぐるしく変わる業界と組織のなかで働くのはたいへんだった。

一方、2016年12月に入社したいまの会社。そのうち8年は、同じ上司の下で働いている。日本支社長は入れ替わっているけど、私が所属する部署の顔ぶれはほとんど変わらない。

同じ上司に8年仕えるのも初めてのこと。そもそも、8年同じ会社にいるのも初めて。

素材産業ということもあるのだろう。ビジネスのスピードも前職に比べて緩やかに見える。そのおかげか、人間関係もあまりギスギスしていない。

私にはこれくらいの速度がちょうどいい。こういう会社に入れたのは幸運だった。障害者への定着支援は何もないし、最近は存在さえ無視されているなど、不満がないわけではないけど、在宅勤務で残業も出張もない労働環境は恵まれていると考えるべきだろう。定年まであと8年、このまま穏やかに過ごしたい。

社員満足度調査があって、こんなことを考えた。上に書いた不満は書いていない。


さくいん:労働


10/24/2025/FRI
iOS26とMac OS Tahoe

Mac OS Tahoeへのアップグレードの案内が届いた。同時にiOS26の案内も来た。

まずiOSからアップデートした。UIがだいぶ変わっている。半透明のLiquide Glassは正直見づらい。透過性を低くしてようやく見やすくなった。

メールアプリは見やすく、使いやすくなった。見づらくなったのは、枠が無くなった時計。以前の黒枠のほうが見やすかった。

iOSでUIが大きく変わったので、Mac OS26 Tahoeは用心してまずネットで評判を見た。あまり評判はよくない。私にとって困るのはローンチパッドがなくなったこと。これではDockにないアプリを使うときに不便になりそう。

サードパーティのアプリや周辺機器が使えなくなる問題も起きているらしい。エディターや外付けストレージでサードパーティ製品を使っているので、これで問題が起きるのも困る。

ユーザーの評判を聞いて、Appleも細かな改良をするかもしれない。それを期待してTahoeへのアップグレードは延期した。


さくいん:Apple


10/25/2025/SAT
イップスについて

先週、『クローズアップ現代』でイップスを取り上げていた。イップス(yips)とは特定の行動がうまくできなくなる症状。例えば、手が震えたり、声が出せなくなったり。

原因は、精神的なものと脳の疾患によるものとあるらしい。

番組ではスイングが乱れるようになったゴルファー、ふつうに話せなくなったウェディングプランナー、櫛を持つ手が震える理髪師、指が動かないオーボエ奏者が取材を受けていた。

番組を見ながら思い出したことがある。うつ病に苦しみながらも営業職を続けていた10年くらい前のこと。得意と思っていたプレゼンが上手くできなくなった。

それまで人前で話すことに困ったことなどなかったのに、顧客を前にすると声がかすれるようになった。気持ちのうえでは緊張はしていない。ただ声にだけ異変を感じた。

いま思えば、あれは心因性のイップスだったかもしれない。

「手際よく済ませたい、でも、できるかどうか心配」。そういう心理が無意識の層で緊張を生み、声に異変をもたらしていたのではないか。

いまは顔を見せない電話会議しかないので声がかすれはない。ただ、別の悩みがある。

痰がからんだように喉がイガイガして「ウッウッ」と咳払いのように喉を鳴らす癖。病院で詳しく診てもらったけど異常はなかった。これも精神的要因で起きているのだろうか。


さくいん:NHK(テレビ)うつ病


10/27/2025/MON
金曜日の夜
薬師如来像のなぞり描き マティーニのロック

先週は穏やかだった。仕事でトラブルもなく、無事に一週間が終わった。

金曜日の5時、退勤ボタンを押して業務終了。すこしなぞり描きをした。描いたのは京都、神護寺の薬師如来像。始める前は難しそうに感じた。描きはじめるとすんなり完成できた。なぞり描きのいいところは描いているあいだは無心になれること。写経と同じとまでは言わないけど、集中して無心になるのは心の安定のためにもいいだろう。

仏像のなぞり描きはたくさん出版されている。聖像やイコンのなぞり絵本は調べたかぎり見当たらない。仏教では書き写すことが信仰の実践とみなされている一方、キリスト教にはそういう習慣がないのかもしれない。イスラム教の細密画もなぞり描きがあればしてみたい。

先週はふだん月金が休みの妻が出勤したので、夕飯の支度は私がした。支度といってもたいした料理ではないので、ここで詳しくは書かない。

週末だったので、マティーニを呑みながら準備をした。家呑みなので、我流で作る。

クリスタルグラスのタリランドに氷を入れて、ノイリープラットをキャップに一杯。そこへビーフィーターをたっぷり注ぐ。街のバーでは、ロックのマティーニなどありえないだろう。自分しか見ていないからこれでいい。

金曜日でも夜更かしはしない。でも、酒を呑んでいるせいか、眠りは浅く、土曜日の朝はいつもより早く目が覚めることが多い。

土曜日は雨の中、隣駅のそばにある床屋まで往復歩いた。


さくいん:マティーニ


10/28/2025/TUE
カラオケ、雨の歌

日曜日。MLBワールドシリーズはハラハラしてお腹が痛くなりそうなので、見るのはやめて出かけることにした。

雨の中、カラオケ店まで歩いた。最近、月に一回来ているので店員に「毎度、ありがとうございます」と言われるようになった。ちょっと恥ずかしい。雨の日だから雨の歌を選んで歌った。

「雨のリグレット」(稲垣潤一)、「みずいろの雨」(八神純子)、「雨のウェンズデイ」(大滝詠一)「雨の向こうに」(松山千春)、「優しい雨」(小泉今日子)、「六月の雨」(小椋佳)、「雨だれ」(太田裕美)、「雨のリゾート」(松田聖子)、「雨の降る日に」(オフコース)、「誰のせいでもない雨が」(中島みゆき)、「雨に消えたジョガー」(松任谷由実)、「バカンスはいつも雨」(杉真理)、「もうひとつの雨やどり」(さだまさし)、"Rainy Days and Mondays," (The Carpenters)。

ほかにもたくさん、雨が歌詞に出てくる歌を選んで4時間以上歌った。

"Tonight,"(佐野元春)、"TSUNAMI,"(サザンオールスターズ)、"Shadow City,"(寺尾聰)、「初恋」(村下孝蔵)。「てぃーんず・ぶるーす」(原田真二)、「そして僕は途方に暮れる」(大沢誉志幸)。

すべて10代のあいだに聴いていた曲。よく見てみると、松本隆作詞作品が4曲あった。

店を出てもまだ雨が降っていたので、帰りはバスに乗った。


さくいん:野球松本隆


10/29/2025/WED
言ってはいけない言葉

最寄りのスーパーへ行くには二つの道がある。スーパーは我が家から見てちょうど長方形の対角に当たる位置にある。

一つめの行き方は、住宅街を北上して、クルマの往来が多い大通りに出る。そこから大通り沿いに西に歩く。

もう一つの行き方は、たくさん樹木が並んでいる細い路地を先に西に向かい、広い通りに出てから北上する。

言うまでもない。快適なのは並木道。クルマの多い大通り沿いを歩くと距離も時間も長く感じられる。だから、スーパーへ行くときは、いつも樹木の繁った道を通っていく

大袈裟に聞こえるかもしれないけれど、人生についても同じことが言える。一つの目標に向かって歩く道が複数あるのなら、楽しく快適に行けるほうを選んだほうがいい。

人生に無駄なことは一つもない

そういう箴言をしばしば耳にする。自分に向かって言うのは構わない。でも、この言葉を他人に向けて言ってはいけない。

強制収容所から生還した人に、性暴力の被害者に、犯罪被害者の遺族に、大災害や事故の遺族に、この言葉が言えるか。

繰り返す。当人が自分の人生を振り返って、「無駄なことはなかった」と言うのならそれでかまわない。他人の人生に向けてこんな言葉を発してはいけない。

言葉を換えると、人生には必要のないことがありえる、ということ。なければないほうがいい出来事がある。管理、暴力、災害、犯罪、戦争、貧困…… 。

「人生に無駄なことは一つもない」。この言葉を軽々しく言ってはいけない。