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11/17 「ラヂオの時間」みた

画って本当に素らしい!

     あの、三谷幸喜がついにメガホンをとって劇場映画に殴り込むというので、これは見逃せないと思い、早速いってきました、「ラヂオの時間」。

     感想ですか?ひとことでいえば傑作!ですね。

     芝居の小気味よさ、展開の意外さは三谷作品の十八番・・・・拙者も古畑任三郎以来のにわか三谷ファン故、よくは知らないんだけど、古畑任三郎二時間スペシャルの時、どうも芝居が中だるみしているような気がして・・・トリックがトリックだったからだろうけど。それで、「うーむ長編は苦手なのかな」と少しだけ危惧があったのだが、やはりこれは見に行ってみるしかどうしようもないではない!!!それでも三谷幸喜なら、なにかやってくれるだろう、という期待感をいやが上にも煽りますな。
     それにしてもラヂオ。うーん。ラヂオか。

     どだい、どうやったらラヂオが映画になるんだろう。ラヂオにまつわる人間模様・・・・なんだろうな、ドラマなんだから。
     でも絵としてはラジオは見えない。うーん・・・・どうするのかなぁ・・・・などと、要らぬ心配をしながらスクリーンを見つめると、そんなことは50ナノセカンドで吹っ飛んでしまった。

     とにかく引き付ける。もう欠伸する暇もない。

     全て見終わってから、今のはなんだったのだろうと思う。貧しい知識の中の、どれかのカテゴリに入れようとするが、できない。そう、これは紛れもない、三谷映画という、新しいジャンルなのだ。

     スクリーンを通して、そして見知らぬ人々を演じる見知らぬ芸能人たちの、ただどこにでもある普通の会話が繰り返されているだけなのに、この臨場感はなんだろう。

     最初はね、おれも邦画なんて、どうせすぐビデオになるんだから1500円も払うのはもったいないとケチな考えだったけど、申し訳ない!この映画には金を払ってでも見る価値がある。絶対ある。少なくとも、メル・ギブスンの「身代金」よりも、こっちのほうが面白く感じた(ジャンルも全く違うし、身代金はまたそれはそれで面白いのだが)。

     視聴者を次から次へと裏切る展開。驚きという意味ではヘプバーンの「シャレード」を凌ぐのではないかともおもえる。

     本当に。映画少年として生意気な感想を言わせていただければ、まさかラヂオをこんな形で映画にするなんて!という驚きでいっぱいだ。

     そしてこの映画はスペクタクルなのだ。感動巨編なのだ。制作費はハリウッド映画の数百分の一だとしても、その感動はなんら値引きされるわけではない。

     ラヂオはリスナーの想像力に委ねる部分が大きい。たとえばほら、「伊集院光」がテレビに出てきたとき、「がーん」って思ったのは俺だけじゃないハズ。まさかあんなデブだったとは。俺の中ではわりと屈強なハスキーボイスの男だったのに、あのひぃはぁ息苦しそうな喋りかたは、たんにデブだったからだけなのか。とかね。

     その想像力を刺激して、目の前にはないものを、あたかも存在するかのように見せる・・・・あれ?これって「ラヂオ」だけじゃないよね?

     そう、これは舞台劇の手法そのものなのだ。

     そして三谷監督は押しも押されぬ売れっ子舞台脚本家。つまり得意分野なのだよね、こういうのは。

     この映画にはとにかく完璧に脱帽でした。
     久しぶりに笑えました。
     日本の映画館では、あまり爆笑すると迷惑になるので必死で笑いを堪える人々の口から漏れる幽かな笑い声を、おれは聞き逃さなかったし、だいいち自分でも笑いを堪えていたしね。
     いつかビデオでこの映画を部屋のなかで爆笑しながら見れる日を楽しみにしています。

     というわけで、見て損はないっすよ。