ついにエー・アイ・ソフトの二村氏から待望の「カメラワーク」マニア垂涎ソフト、「VistaPro2」が届いたので大紹介したいと思う。
このソフト、一部では昔から有名だったのだが、とにかくリアルな地形表現をすることには定評のあるソフトであり、おれとしてもその名前だけはよく知ってはいても、実際には使ったことはまるでなかった。今回、なんだかしらないけど幸運なことにこのソフトをお試しさせていただけるとはありがたき幸せというかなんというかである。
さて、届いたのはCD-ROMが二枚入ったケースと、やや厚いマニュアル。悪い意味で、いかにも日本のソフトっぽいつくりだ。
もし、おれがお金を出して(なにしろこのソフトは29800円もする)箱を開けてこのマニュアルを見たら、少しがっかりしてしまうだろう。

良いマニュアルは、読者の興味をそそる。
魅力的な装丁で、しかもそのソフトの性格を直感させるようなデザインを採用している。
右の写真はそういう意味では良いマニュアルといえる、メディアスタジオのものである。

いっぽう、VistaPro2のマニュアルは残念ながらかなり安っぽく、印刷がブルーなので全体的な印象が薄い。下手をするとどこかへなくしてしまいそうだ。
また、せっかくの美しいCGも、ブルー単色印刷によって台無しになっている。
日本のソフトのマニュアルにはブルーの色彩が多い。しかも、このようなものは典型だろう。
しかし、だからこそユーザーにとって印象が薄すぎるのは否めない。
このデザインは大学生協で配っている廉価版ソフトカタログそっくりだ。
費用を節約したいという気持ちはわかるが、それならばせめて白黒にして欲しい。この手のブルーは最も悪い選択である。
もしくは、同じインクを使うのでも、デザインをそれ向きにかんがえるべきだ。
このマニュアルのデザインはいかにもありきたりで、そのうえなんのソフトだかわからない。
たとえば「VistaPro2」の文字と、「User's Manual」、そして小さな(全体の1/4以下の面積の)山脈の絵、などのほうがこのデザインよりもなんのソフトなのかわかりやすいような気がする。
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もっとも、マニュアルのデザインの好し悪しとソフト自体の出来は概ね無関係である。
そしてインストールを済ませ、デモンストレーションが流れる。ぬおっっっ!奇麗だ!美しい!こんな地形が作れるのか!フォグどころか海は波がたってるし、雲もすんげぇリアルだっっっっ。やはり噂どおりすごいソフトなのかもしれん。
そしてワクワクしながら肝心のソフトを実行してみた。
すると右のような画面があらわれる。ここで再びがっかりしたら、ソフトの作者に悪いだろうか。
まず、なによりもユーザーインターフェースのチープさ。これはもう隠しようがない。
良くも悪くもMFCを使ってグラフィックソフトを作っていそうなこの雰囲気は、ストレートすぎる開発工程の現れだろう。やはり典型的な和製ソフトのイメージはぬぐえない(別に拭う必要はないが)。
簡単にいえば「ダサイ」。少なくとも値段が同クラスのTrueSpace/SEなんかと比べると(比べてはいけないのかもしれないが)圧倒的にダサイ。
しかし、見た目とは裏腹に、このソフトは使いやすい。圧倒的に使いやすいのだ。
もっとも、最初からマニュアルを読まずに(まだよく読んでないけど)挑戦したら、最初、なにをしていいのか解らずに戸惑ったが、ウィンドウに配置されたそれぞれのパーツを良く読んでいるうちに使い方がわかってきた。見た目はダサイが優れたユーザー・インターフェースであるといえる。
機能も豊富だ。ランダム・フラクタルを用いて山を生成するところから、樹木、建築物(といっても単なる箱のようだが)、海、湖、川までもを自由に設定できる。視点の変更のユーザー・インターフェースは、高度の変更方法があいまいだったりとやや不満はあるが、及第点はつけられると思う。
使い方はそれほど難しくない。
とりあえず自分で地形を作成するには、「作成」タブで「ランダム」を選べば、適当な地面が適当に生成され、それを適度に「平滑」とか「荒地にする」とかでいじったあと、「河川」を作ったり「海」を作ったりして、雲を設定したり樹木(ヤシの木まである!)を生やしたりして、自分だけの妄想桃源郷を作り上げることができる。
完成したイメージは文句なく美しい。こんなものが手先をチョチョイとするだけで作れるなんて、まさに夢のようである。たしかに、このソフトはそのような用途には最適に違いない。とすると、ホビーユーザというよりもやはりプロユースを狙った商品なのだろうか。
以下は起動してまだ2時間のド素人のこのおれが適当にやって作った地形たちである。

この美しさは航空写真並み・・・手軽さは比肩すべきものもない。
同様の主旨のオンラインソフトとして「カシミール」があるが、その出力結果は果たしてこのクオリティは出せまい。さすがは3万円ちかい専用ソフトである(ちなみにカシミールのGUIはVistaProよりずっとカッコイイ)。
あまりの美しさに感動して、今回はこれでトップページを刷新する決意ができた。 トップページの画像はお借りしたVistaPro2で作成したものである。
おれの気に入らないものはたとえ身内や知り合いのものでも徹底的に「ダメダメ」批判するこのPrejudiceに、わざわざ「批判してください」と言わんばかりに殴り込みをかけてきたVistaPro2というこのソフト、みかけは悪いが中身はキラリと光る、これまた典型的な日本製のソフトである(でもたしか、VistaProってもともと海外のソフトだったような気もする)。
私のマシン環境は、それほど恵まれているとは言えないが、それでもこれだけのものがものの数分で作れてしまうのだから、マシンパワーがうなぎ上りの昨今、時には見果てぬ大地への夢を膨らますのもいいのではないだろうか。
また、二村さんご推薦のAVIモードについては、まだ試していないが、こちらもかなり期待が持てそうである。
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