ロシアへ行ったときの最も手頃なお土産と言えばこのマトリョーシカだろう。原型は日本の箱根の七福神だという説もある。入れ子人形で、あけてもあけても中から小さな人形が出てくるのが楽しい。右の写真は私が初めてソ連へ行った1979年に買い求めたもので、工場で大量生産された同じ表情のものが全国の「ベリョースカ」と呼ばれる外貨ショップにならんでいた。しかし、いちばん内側の最も小さいものは米粒より小さく、ソ連にしてはなかなか芸が細かいと感心したものだ。
誰かの引退声明ではないが、ソ連が崩壊してももとよりマトリョーシカは不滅だった。このマトリョーシカは小さな子どものいる家庭にお土産として差し上げるとたいていいたく好評で、子どもが何度もあけたりしまったりして喜んでいると言われたものだ。猿に辣韮を与えると怒るというが、人の子は猿ではないことの証拠だ。というわけで、不滅どころか、ロシアになると一つ一つ意匠の違う手作りのものが露店にならぶようになった。左の写真のは1997年暮れにノブゴロドのホテルの売店で買ったもの。ほんとうは10ピースなのがどういうわけか1つ足りないのに、平然と定価で売ってよこしたところがやはりロシア。
ロシアの人形にも日本人形やフランス人形のような立派なのがもちろんあって、きれいな民族衣装を着ていたり、農婦の姿だったり、これも追いかけ始めるとキリがない。私もそういうのを一つ買ったことがあるが、親戚にお土産として上げてしまったので、写真が撮れない。かわりに「こけし」風のを一つ。レニングラードの知人からいただいたもの。
中央アジア・ウズベキスタンで買ったもの。上までのスラブの国とはちょっと雰囲気が違う。