多分、３階にお越しの方々なら知らない人はいないだろう「機動戦艦ナデシコ」。私はこの作品が大好きです。どれ位好きかと言えば、初めてビデオシリーズを買おうと思い、そのためにバイトを始め、それまで、アニメイトに入るのでさえ抵抗を感じていたのに、今では常連（勝手にそう思っている）もいいとこになった記念すべき、そして愛すべき作品といえる。（堕落？何それ？うまい？）

　この作品、原作はあの麻宮騎亜の「遊撃宇宙戦艦ナデシコ」。９６年の１０月よりＴＶにて放送が開始されている。ちょうどエヴァが終わってから半年たち（狭い意味の）世間では右も左もエヴァってた頃だった。開始当時からボケボケ艦長、ツッコミ嬢ちゃん（この頃の印象はこんなんだったのに・・）、一番濃いクルーが３話で死んだりと俺的には「おもろいんじゃん」と思っていたが、どうも業界（視聴者にも？）には受けが悪かったらしく、スタートダッシュはイマイチだったようだ。まあ、今だエヴァ熱が冷めていなかったのも事実、皆で劇場版予測で会話に花を咲かせていた時期である。それでも、物語が終盤に差し掛かると少しづつ人気も出てきて、ゲキガンガーというユニークなファクターもあり、最終回もめでたく迎えられたと言えるのではなかろーか。あくまで勝手な憶測だけどね。

　しかし、先に書いたように、この頃すでに俺はナデシコって奴に奇麗ピッタリハマっていた。ハッキリ言ってエヴァより好きだった。どうも、俺はギャグとシリアスが５０：５０の作品が好きらしい。しかも、ナデシコの比率は７０：７０、つまり、１００を超え、さらに少量の謎とＳＦでいい具合に味付けされていると思うわけさ。艦長からしてそうだけど、ギャグとシリアスのバランスが絶妙で、全く緊張感のないお気楽戦艦なのに人が死ぬときはちゃんと死ぬ、しかも蘇ったりしないし、麻宮作品らしく各キャラがしっかり立っていて、しかも、毎回の脚本家もそれを承知で、キャラを上手く使っている。ビデオを買おうと思った理由は、どの回を見ても見所があるからというのが大きい。その中核は多分にもれず「星野ルリ」なのだが、ナデシコはそれ以外でも十分楽しめる要素のある作品だと思う。

　んが、最終回で衝撃の事実が明かされる。劇場版である。エヴァのパクリと言われそうでビクビクだったが、世間の流れは予想だにしない方向へ動き出す。ルリサーガ三部作が終わった頃から火が付いたルリ人気が劇場版の制作と共に急上昇しだしたのである。おいおい、おまえらどこにいたってくらい、猫も杓子もルリルリ状態。俺にとっては不思議でしょうがない。だって今まで綾波で固定だろっていうキャラコンの1位の座にルリが入るわ、キャラクタ商品もＴＶ終わってからガンガン出るわ。それが劇場版の後ならまだ話は分かるが、まだ制作途中なのにルリフィーバー。いや、確かに人気が高くて主人公になったけど、何故に？という思いでいっぱいだった。

　そんな状況で幕切られた劇ナデは当然ヒット。ルリが前面に登場しファンは満足した事だろう。しかし、こんな声も多く聞かれた。「ユリカがかわいそう」、そうアキトとユリカのカップルにとってこの劇ナデのストーリーは過酷そのもの。せっかく幸せになったのに、結婚したとたんに北辰達に拉致され人体実験を受けるとゆーとんでもなくダークな話。そこでだ、俺は「ユリカがかわいそう」というファンに共感を覚えると共にルリ目当てでナデシコを見てる奴に言いたい

　ナデシコにおけるルリの比重は確かに大きい。だって、それは俺が一番よく分かってることだしね。でもナデシコはルリだけじゃないんだな、これが。アキトが墓地で「特にね味覚がね・・ダメなんだ」と言ったとき俺は久々に胸を締め付けられたよ。まあ、ユリカかわいそうを通り越して「監督はルリで金を稼ぐ気か」って言うのもどうかと思うけどね。幸せになったとたん不幸になる、そんなもんよ人生。それでも納得がいかない人は、幸せな人生を送ってるんだね（皮肉じゃなくて）。

　多分、劇ナデを観る前にＴＶシリーズを予習しているとは思うけど、もう一度ルリ以外のクルーをちゃんと見て欲しいんだな、「ルリルリ萌え萌えっすー」とか言ってる人達には特に。