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死刑について
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彼らは地上の広い場所に攻め上り、

聖なる者の陣営と愛された都を囲んだ。

すると天から火が降り注ぎ、彼らを焼き尽くした

 

ヨハネ黙示録20.5

 

 

 


死刑について

Capital Punishment


 

George Junius Stinney Jr.(14)に対する死刑判決書。執行時14歳7ヶ月、現在もアメリカ史上最年少記録

 

アメリカの死刑

アメリカで最年少の死刑囚は14歳の黒人少年George Junius Stinney Jr.(10/ 21, 1929生)。

白人の少女二人を鈍器で撲殺し、1944/06/16,電気椅子で死刑になった。白人の死刑適用は年齢がかなり上で、しかも犯行から81日のスピード執行だった点で、裁判所にすら人種差別がいかに激しかったかを物語る。 なお、現在は、連邦最高裁判決で16歳未満や精神障害者の死刑は禁止されている。

1972年アメリカ連邦最高裁が、「死刑は憲法修正8条の残虐な刑罰」だとして違憲判決を出す。これで死刑が停止されるが凶悪犯罪が相次いだ1976年、最高裁が「2つのレベルの裁判所で死刑判決を受けた場合」に限って死刑復活を認めた。

それから死刑判決自体は5000-6000件、約600-700人が既に処刑されており、現在も50州のうち38州が死刑制度を維持、執行待ち死刑囚は3000-4000人となっている。

アメリカの刑事裁判では、死刑には陪審の死刑評決が必要となるが(アラバマ・アリゾナ・インディアナ・フロリダは除く)、逆転無罪となるケースも多く、陪審制や司法制度を批判するときの論拠のひとつとなっている。20世紀に死刑になった犯人のうち30人が無罪だったこと、1970-96年の間には60人の死刑囚が無罪として釈放されていること、などが死刑反対の論拠として挙げられている(アメリカ法律家協会:ABA)。

元テキサス州知事のブッシュ大統領(ジュニア)は在任期間中に死刑を乱発し、犯罪に対して断固とした姿勢を示し票を稼いだ。治安の悪い州では、死刑を乱発すると人気が上がるためだ(全米の死刑の30-40%は、テキサス州のみで執行されている)。

 


李珍宇

日本の死刑

日本でも「小松川女子高生殺人」事件がある。

昭和33年8月、東京の小松川署に「女子高校生を絞め殺して小松川高校屋上の物置に投げ込んだ」という若い男の電話があり、数日前から行方不明になっていた小松川高校の女子生徒太田芳江さん(16)が腐乱死体となって発見。

この事件の犯人・李珍宇は同じ年の4月にも自宅近くで賄婦を乱暴して殺害していた。その凶悪さのために18歳ながら少年法の適用外とされ、昭和37年、死刑が執行。

永山則夫も犯行時19才だった。

なお、江戸時代では、15歳未満の殺人犯・放火犯は島流しとなり、死刑にはならなかった(「徳川禁令考」後集第4・99。公事方御定書79条。子心にて無弁人を殺し候もの、十五歳まで親類え領置、遠島)

 

死刑廃止論

18世紀イタリアの犯罪学者チェーザレ・ベッカリーアが、「犯罪と刑罰について(1764)」の中で拷問と死刑の廃止を主張、以後も死刑廃止論は理論的に深化したのに対し死刑肯定論に論理的根拠はない

犯罪の抑止という刑事政策、犯罪者を抹殺して社会の安全を保つ、という2点が主に指摘される。しかし、ロシアの啓蒙専制君主エカチェリーナ2世は死刑を廃止したが、犯罪は増加しなかった。その他、西欧諸国でも死刑廃止と犯罪増加は有意な関係が証明されていない。

また社会の安全を保つために犯罪者を抹殺する必要があるなら、仮釈放なしの終身刑を導入すればいいことになる。

最終的に残るのは、「そんなやつは許せない」という素朴で野蛮な報復感情だろう。こうした刑罰の歴史は古く、ハムラビ法典の「目には目を」、漢の高祖が秦の首都を制圧したときの 法三章の例があり、刑法理論では前期古典派に属す哲学者カントが、刑罰は「絶対的応報」であると説いている。

死刑に理論的根拠が全くないにもかかわらず、日本人の6割以上が死刑を支持したり、人権国家を標榜するアメリカで50州のうち38州が死刑を存続しているのは、多くの人々が「許せない」と考えるという単純な事実が根拠の全てだ。

36人の女性を、レイプ・肛門性交の上、首を絞めナイフで刺し、頭部を切断し口内に射精したテッド・バンディにも人権はある。残虐な刑罰の禁止、犯罪者の公正な処遇は近代国家の基本原則だ。ただ、そうした人間にどういう罰を与えるのかと考えた場合に、死刑はやむを得ないという結論が出てくることになる。

日本で20歳以上の成人が死刑になるのは、犠牲者の数が2人以上で、強盗や強姦などがあって悪質、計画的で反省が不十分、等々の基準がおおまかな平均値だ。

日本では年間5-10件程度の死刑判決しか出ない上、執行まで極めて長い時間がかかる。これは死刑を維持しながらも死刑廃止論を考慮した結果だが、判決から執行まで長い時間をかけるのは冤罪を防止するためには必要不可欠な運用だろう。

一方、ヨーロッパ連合(EU)に加盟する場合は死刑を廃止しなければならないなど、西欧を中心に死刑廃止の潮流は盛り上がりつつある。

ただ、日本では過半数の国民が死刑に賛成しており、今後死刑廃止の勢力が力を増すとは考えにくい。死刑の是非にかかわらず、無期懲役と死刑の間があまりに広すぎることは、早急に解決すべき問題だろう。無期懲役であっても理論上は10年から出獄が可能であり、平均でも15年程度で仮釈放になっている。

具体的には、有期刑の上限である20年を40年程度に拡大したり、仮釈放なしの終身刑などを設け、死刑と無期懲役の間を埋めていくことが必要だ。また、危険な精神障害者を一般の病院に入院させてしまうような、現在の措置入院制度も改めねばならない。

死刑は残虐な刑罰だが、殺人もまた残虐な犯罪である。死刑の是非は今後とも議論が続くことだろう。

なお、筆者は死刑に賛成である。

 

電気椅子

電気椅子は1890年ニューヨーク州オーバーン刑務所で初めて導入された(死刑囚はウィリアム・ケムラー:強盗殺人犯)。アメリカ独特の処刑方法であり、世界に電気椅子を採用した国はない。

2300ボルトの電流は伝導速度が速いため、痛みを感じるより70倍早く人を死亡させると言われ、死刑囚に痛みを感じさせない「人道的方法」であるとされる。

通常、最初の一撃で体が反り返り、口から喉が赤紫に変色、頭頂から煙が上がり、焦げ臭い臭いが漂う。

電流を流しても死亡しないことがあり、電圧を3倍にして、半ば「焼き殺す」ような状態になることもある。なお、髪の毛を剃るのは発火することがあるため。

 

Allen Lee Davis

Allen Lee Davis

フロリダ州で死刑(1999/7/8)
強盗殺人犯

 

強盗目的で侵入した家で、女性に暴行を加えた上、幼い娘2人とともに殺害。54歳

Victim: Nancy Weiler, Kristina, Katherine)

 

右の写真は最高裁が公開した電気椅子による死刑の模様。

 

  

 

 

 

 

=== 参考資料 ===

団藤重光「死刑廃止論」

 「死刑廃止論の理由づけにはいろいろの論点があります。しかし、他の論点については賛否が論者の立場によって岐れてきますが、誤判の問題だけは、違います。少々の誤判があっても構わないという人はいても、誤判の可能性そのものを否定することは誰にもできないはずです。その意味で誤判の問題は死刑廃止論にとってもっとも決定的な論点だとおもうのです。・・・誤判の問題は何も死刑事件に限りません。・・・(懲役刑でも)失われた時間、失われた青春は再び戻って来ないという意味では、これもたしかに取り返しがつかないものです。・・・(しかし、)死刑は、すべての元にあるその生命そのものを奪うのですから、同じ取り返しがつかないと言っても、本質的にまったく違うのであります。その区別がわからない人は、主体的な人間としてのセンスを持ち合わせない人だというほかありません。」
 「私は、個々の事件について死刑が相当かどうかという問題と、死刑制度そのものの存廃の問題とは、次元が違うと思うのです。個々の事件に関する限り、私自身にしても、事件によっては、事実認定にまったく疑問を容れる余地がなく、犯行の残虐さを考えると素朴な人間的感情から言って死刑が当然だと思うことがないわけではありません。しかし、そのことと死刑制度そのものの存廃のこととは、問題が違います。すべて制度というものは、その運用を離れては存在しませんから、死刑制度にしても、どうしても誤判の問題に行き当たらざるを得ないのです。
 学者によっては、誤判は死刑に限ったことではないのだから、死刑存廃の議論には、誤判の問題は括弧に入れて、およそ「人を殺した者」に対して死刑を科する道を残しておくべきかどうか、という純粋な形で問いと答えを出さなければ、議論に夾雑物がはいって来るという意見の人がいます。これは制度ということを忘れた議論だと思います。哲学の問題ならこれでいいかも知れませんが、法律の議論としては、これでは通らないのです。」


最高裁の判例

「死刑制度を存置する現行法制の下では、犯行の罪質、動機、態様ことに殺害の手段方法の執拗性・残虐性、結果の重大性ことに殺害された被害者の数、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等各般の情状を併せ考察したとき、その罪責が誠に重大であって、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極刑がやむをえないと認められる場合には、死刑の選択も許される」


 

 

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