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プロファイルとは
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近代科学は、宇宙に至る巨視的な規模から、素粒子に至る微視的な規模まですべてを一貫した論理の中に見据えることができるという卓越した特性を備えてはいる。しかし、一方からいえば必然的に、広域的・同時的・共時的に起こる事象どうしの有機的関係についてはほとんど無視せざるを得ない。

        村上陽一郎「近代科学を超えて」

 

 

 


プロファイルとは

What's criminal profiling?


 

「プロファイル」という場合、全く違う二つの手法がある。詳しくは「演繹的プロファイルと帰納プロファイル」で解説する。

「羊達の沈黙」でジョディ・フォスターがしているのは「帰納的プロファイル」で、これは素人が30分本を読めば簡単に作成できる。昼下がりの刑事ドラマや、ミニスカートの金髪プロファイラーが出てくるような映画で使用しているのは、すべて帰納的プロファイルだと言ってよい。

駐車場で白人の女子大生を拷問して殺害する連続殺人犯がいたとして、犯人が白人である確率は統計的に約70-80%だが、犠牲者と犯人の人種が一致しないことも多い。

つまり、帰納的プロファイルは、過去のデータ・統計に基づいた単なる推測に過ぎず、犯罪が各々全く違うということを完全に無視していることが本質的・致命的な欠陥となっている。帰納的プロファイルは、実際に使用されており、有効性が完全に否定されるわけではないが、使い方を間違えると取り返しのつかない重大な過誤に発展する。

典型例が、アトランタオリンピックの爆弾テロ犯人のプロファイルで、これはイギリスの心理学者が作ったものだった。無実の人間を証拠がないまま長々と拘留し、「こいつが犯人だ」というマスコミの集中砲火を浴びせてしまった点で、プロファイルの間違いが如何に重大な結果をもたらすかについて貴重な教訓となった。

なお、誤認逮捕されたのは会場の警備員Richard Jewellで、現場でパイプ爆弾を発見して英雄になったことが、自作自演と見なされたためだった。アメリカでは、自分で放火して消火活動に参加、子供を救出して英雄になった後に逮捕される放火犯が度々報道される。こうした事情もあって、現場から事件の記念に持ち帰った破片が自宅で押収されたため、運悪く犯人にされてしまった。

彼は、銃器のマニア、30代の白人男性、高卒で、軍隊歴・犯罪歴があり、しかも警備員だった点で、帰納的プロファイルに当てはまりやすい特徴を完璧に備えていた。なお、真犯人とされているEric Robert Rudolphは現在も逃走中で100万ドルの賞金が懸けられている。

プロファイルは魔術ではなく、映画やドラマで描かれるように完璧な的中率を誇ることは現実にはありえない。シャーロック・ホームズのように事件を優雅にかっこよく解決できる事例はむしろ少ない。ダグラスが指摘するように、「膨大な知識と経験が要求される過酷で地道な作業」であるというのが実態だ。「羊達の沈黙」のように現場の経験が全くないインターンにやらせることなど絶対にありえないだろう。

 

 

演繹的プロファイルと帰納的プロファイル

司法解剖

地理プロファイル

被害者学

名著集

 


プロファイル作成手順


  

 

 

  STEP1:データのインプット

  1. 犯行現場     物的証拠・証拠のパターン・死体の位置・凶器
  2. 被害者の情報   背景・習慣・家族構成・目撃場所・年齢・職業
  3. 法医学情報    死因・傷・性器の状態・解剖報告書・鑑識報告書
  4. 警察の予備報告書 現場写真・犯行時刻・通報者・現場付近の社会状態

この段階では先入観を避けるため、容疑者の情報は一切考慮しない。

 

  STEP2:判断

  1. 殺人のタイプ・形態  単独・連続・快楽など殺人の種別
  2. 犯人の主要な目的   金銭・感情・性
  3. 犠牲者の危険度    年齢・職業・身体的特徴などから上下に分類。娼婦は「上」になる。
  4. 犯人側の危険度    
  5. 犯行のエスカレート 
  6. 時間的要素      殺害や死体処理に要した時間 
  7. 場所の要素      殺害された場所

  STEP3:犯行の評価

  1. 犯行の再構成   時系列で整理
  2. 犯行の分類
  3. 無秩序か秩序か  被害者の選択・支配法・犯行法
  4. 偽装
  5. 動機
  6. 犯行現場の類型             
  7.  

    STEP4:犯人のプロファイル作成

  1. バックグラウンド
  2. 身体的特徴
  3. 習慣
  4. 信条・価値観
  5. 犯行前後の行動
  6. 捜査の指針

  

 

秩序型 無秩序型
現場の状況 犯行は計画的

犠牲者は全くの他人

犠牲者を「非人格化」しない

犠牲者と会話する

現場が秩序だっている

犠牲者に服従を要求する

拘束具を使用する

殺害前に暴行する

死体を隠す

凶器・証拠品を始末する

死体を移動する

犯行は衝動的

既知の人間・場所を犯行に選ぶ

犠牲者を「非人格化」する

犠牲者と会話しない

現場に秩序がない

犠牲者に突然暴力を振るう

拘束具を使わない

殺害後に性的な行為を行う

死体を隠さない

凶器・証拠品が残されている

死体は殺害現場に放置

犯人像 平均以上の知能

社会性を備えている

熟練労働についている

性的機能が正常

兄弟の中で年長

父親が安定した職に就いていた

子供自体の躾が甘い

感情のコントロールができる

犯行時、飲酒

周囲からのストレスを感じていた

配偶者と暮らしている

整備された車、広い行動範囲

マスコミの報道を見守る

犯行後、転職・転居する

平均的知能

社会性が未成熟

職歴が貧弱

性的機能が不全

兄弟の中で年少

父親の職は不安定

子供自体の躾は厳しい

感情をコントロールできない

犯行時に飲酒しない

ストレスを感じない

一人暮らし

犯行現場の近くで勤務・居住

マスコミに関心を示さない

犯行後ライフスタイルは変化しない

(ローバート・レスラー 快楽殺人の心理 講談社p189、208)

 


 

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