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最低映画館〜大奥十八景
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大奥十八景
Ouoku Jyuhakkei

東映 1986年 115分 カラー
監督 鈴木則文
脚本 南原幹雄
音楽 はる
   佐久間正英
出演 辻沢杏子
   勝野洋
   あおい輝彦
   野村真美
   伊織祐未
   山本奈津子
   渡辺良子
   森田水絵
   八神康子
   新藤恵美


 

 マジソンズの3人が学生時代に所属していた団体では毎年、学生バンドのコンテストを主催していた。あのデーモン閣下も出場して、スカウトされてデビューして行ったが、その翌年にグランプリを獲得したのがはるだった。
 そのまた翌年、前年のグランプリ受賞者としてステージに立ったはるは、このようにコメントした。
「今度、《大奥十八景》という映画のサントラでデビューすることになりました。ちょっとエッチな映画ですが、みなさん、観て下さい
 で、観てみた。ちょっとどころか、かなりエッチな映画だった。

 要するに、子ダネのない徳川家綱=あおい輝彦を巡るお世継ぎ騒動の物語である。大奥のお女中どもは殿に跨がり奮闘すれども懐妊は果たさず、連日のお夜伽が祟ってか家綱は急死。弟の綱吉が将軍の座に治まる。ところが、家綱のタネを宿した女中がいるとの噂が流れ、綱吉の側近たちは狼狽する。この女は絶頂に達するとアソコからジャコウの香りを放つという。そこで、堕胎医師の勝野洋と巾着切りのベンガルは、お女中どもの女陰を舐めまわるのであった。

 とまあ、こう書いてみると単なるポルノであるが、そこは娯楽映画の巨匠、鈴木則文。単なるポルノに終わらせていない。大奥映画のお約束(レズに拷問、張り形による自慰等)をちりばめつつも、笑いあり、チャンバラあり、純愛ありのエンターテインメントに仕上げている。さすがである。はるの音楽も実に効果的に使われており、MTV的な演出も施されている。監督がイメージにぴったりのはるの音楽を得て上機嫌なのが目に浮かぶようだ。


 また、性格の異なる3人のヒロインを配したことも、物語に深みを与えている。
 まず、大奥の悲惨な世界を目の当たりにし、死を覚悟で脱出する辻沢杏子。清純派だった彼女の初ヌードが本作の最大の目玉だったが、演技はあまりいただけない。山本リンダのような舌っ足らずなんだな、この人は。それに、美形ではあるが華がない。それなりに人気がありながらも今一つブレイク出来なかったのは、ここら辺に原因があるように思われる。
 次に、大奥の飯炊き女に過ぎなかったが、家綱のお手がついて懐胎する野村真美(右写真)。この人はうまいなあ。健気で可憐な幸薄い娘を好演しており、将軍さまでなくてもお手をつけたいと思ってしまう。
 そして、ノータリンだが、したたかに大奥を乗っ取ろうとする伊織祐未。演技力は正直云ってゼロだが、その天然の魅力が役柄を引き立てている。この配役は絶妙である。
 この他にも渡辺良子、森田水絵、八神康子と云った、今となっては懐かしいロマンポルノ組が競艶しており、その顔ぶれを眺めるだけでも楽しめる。
 それから《セーラー服百合族》でお馴染みの山本奈津子が、意外にも演技派であることにも驚かされる。

 というわけで、映画自体はなかなかのものであったが、はるはしばらくして解散してしまった。おそらく、この映画のイメージから抜け出すことが出来なかったのだろう。それほどに、この映画とはるの音楽は密接不可分となってしまったのだ。《サイコ》のおかげで気狂いマザコン役者になってしまったアンソニー・パーキンスのようなものであろうか?。