|
被害者の失踪が電車・バスの発着地だったことから、24時間体制の監視に置かれていた。警察官は暗視装置をつけ乗降客を監視していた。若くて美貌の婦人警官に挑発的な服装をさせ犯人の出現を待った。
Shakhty駅の切符販売員が被害者の少年と一緒にいるチカティロを目撃した。
警察の厳しい監視網にもかかわらず22歳の女性が殴打の上刺殺、両乳首をかみ切られた死体で発見された。その殺害の帰途、顔に血痕が付着していたため警官がチカティロを駅で呼び止めた。その場は逃がしてしまうがその時の警官が名前を身分証明書で確認していた。
警察がチカティロの業務記録を調べたところ殺害現場と出張先が一致。私服警官が現行犯逮捕のため尾行することになった。
被害者にかまれて骨折した指の痛みを訴え、病院に行くため早退したチカティロは、自宅に戻った後外出。少年に声をかけていたチカティロを私服警官が逮捕。
当初警官たちは、チカティロが穏和で静かに話すおとなしい人物だったため、どうしても全国を震撼させた猟奇殺人犯だとは信じられなかった。
当初無罪を主張するが、チカティロは検事総長に手紙を書く。
「私は自分の行動を抑制できず残虐な性犯罪を犯しました。子供の頃から私は自分が人間としてこの世に存在していることを実感したことがありません」
チカティロは素直に供述を始めた。取り調べは数ヶ月に及んだが、殺害の日時、方法、場所をはじめ犠牲者の服装にいたるまで正確に覚えていた。人形を使ってどのように殺害したかを詳細に再現した。
裁判は1992年4月14日開始。裁判所には鉄格子付きの特別スペースが設けられた。起訴事実の朗読は丸2日かかった。異例にも裁判長の判断で裁判がマスコミに公表された。チカティロの証言は要領を得ず、支離滅裂だった。
鉄格子の中が放射能で汚染されていると主張したり、突然、下着をおろし性器を揺らせながら、「これは役に立たないんだ!これで何ができる!」と叫んだため、手錠をかけられ退廷させられたこともある。
また、「妊娠している」、「警官に殴られ怪我をした」、「判事は偏見に満ちている」という発言もあった。
精神科医アンドレイ・チャチェンコは「サイコパス・器質的知能障害があり、サディスティックな歪んだ性衝動の持ち主」と診断。
弁護側は警察の起訴が被告人の自白に基づいていることを指摘、持っていたナイフなどが殺害に使われた証拠はないと主張。
判事が2ヶ月後に判決を下すと述べ退廷すると、犠牲者の兄弟がチカティロに向かって鉄の棒を投げつけた。頭を寸手のところではずれた。

判決は10月14日、裁判所はごった返した。傍聴席からの怒号に対してチカティロは笑顔で答えた。52の殺人で有罪、死刑判決が下ると群衆から拍手が起こった。
チカティロは判事に向かって「イカサマだ! おまえの嘘なんか聞かねぇぞ!」と叫んだが連行された。
上告するが1994年2月14日、銃殺隊に首の後ろを撃たれ死亡。
58歳だった。
「チカチーロ」という映画で本件が再現されている。作品自体は全体的に考証や表現法が稚拙で、いい作品とはいえない。ロシア人が英語を話しているのも気になる。 |