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科学捜査
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科学捜査

Forensic Science


フォレンシックサイエンス(forensic science)とは、裁判提出用の物的証拠を科学的に確定する学問の総称だ。この言葉自体は、「法医学」と訳されることもあるが、ここで取り上げる手法には医学以外のものが含まれるため、「科学捜査」と訳すことにする。マスコミなどで「法科学」と訳されているのを度々見かけるが、これでは何を意味するかわからない(この訳語は定着させてはならないと思う)。

FBIの予算は30億ドル程度で、職員1万人の人件費を考えると予算的にかなり苦しいはずだが、ハイテク装備はかなり充実しているようだ。しかし、FBI広報部の宣伝活動が巧妙なことは有名で、映画のような完璧な組織を実態と考えるのは無理がある。収賄や違法行為の事例には事欠かない。

なお、仮に人件費が予算の50%だとすると、1人当たり年収は1.5万ドル(180万円)になるが、FBIは職員の採用に困ったことは一度もない。

HOLMESシステム

手口や犠牲者の特徴などの項目を入力すると、該当の前科を持つ者の住んでいる場所が表示される

 

DNA鑑定  

 

 

 

 

 

1985年イギリス・ロチェスター大学のアレック・ジェフリーが開発、翌86年にはじめて容疑者の特定に成功。83年に15歳の少女2人をレイプの上殺害したコリン・ピッチフォーク(27)が逮捕。アメリカでは87年フロリダのレイプ事件でトミー・リー・アンドリュー(24)が初の有罪。被害者の膣内に残されていた精液と犯人の血液サンプルの塩基配列が一致した。彼は二件のレイプ事件で有罪となり、強姦・住居侵入・過重暴行で懲役78年となった(蛇足だが、日本なら長くて10年)。


一卵性双生児以外にDNA配列が一致することは理論的にはありえない。DNAにはほとんど個体差がないが、ごく一部に多型性を示す可変領域があってこれが個体差を生み出す。最も一般的なDNA鑑定である制限酵素切断法では、この可変領域を化学物質で切断する。


DNAは全ての細胞物質(白血球・毛根・精液・血液など)に含まれ、全ての遺伝情報を支配する化学物質。ただ、尿・汗・涙・唾液には含まれていない。DNAを採取するとき頬の内側をこするのは唾液ではなく粘膜からはがれた細胞を採取している点は誤解されやすい。


DNA分析を目的としたサンプル採取ならば、多型DNAの採取は容易だが、DNAは変質しやすく、採取困難となる場合も多いため、刑事裁判で証拠能力が問題となることがある。採取が難しいのは、血痕、体液のしみ、膣擦過傷の精液、骨髄、骨、微量の唾液や尿、細菌によって分解された組織など。しかし、12年前のレイプ事件で、犯人が射精後にペニスを拭いたタオルからDNAが検出されたこともある。

またサンプル量が少ない場合にも分析結果が不明確な場合がある。また、DNA鑑定は精密ではあるが、あくまで統計的な推論に過ぎないとも言えるため、まれに判事が証拠採用を拒否することもある。



--- DNA鑑定の方法 ---

DNAには、一定の核酸塩基配列が繰り返される部分(ミニサテライト)がある。その繰り返し回数は、個人によってかなり違い、多数の型に分かれる。DNA鑑定にはいろいろな方法があるが、いずれもこの繰り返し回数を分析するものだ。

繰り返し回数が多いほど、その部分が長くなり、重くなるので、その性質を利用する。

まず、DNAに制限酵素という「はさみ」を使って、ミニサテライト部分を切り出す。これをゲルという寒天のようなものの上に置き、電圧をかける。すると重いものは近くに、軽いものは遠くに行く(電気泳動)。こうして、繰り返し回数の少ないミニサテライトは遠くに行き、繰り返し回数の多いものは近くにとどまるので、繰り返し回数を視覚的に比較することができる。

繰り返し回数には複数のパターンがある。たとえば、15回・24回・34回繰り返しが多い人、12回・22回・37回が多い人がいる。このように、複数の指標で型を分けられるため、血液型とは比較にならない詳細な型分類ができる。

DNA鑑定にはいろいろな方法があるが、いずれもこの繰り返し回数を分析する。必要となるDNAの保存状態等に違いがあり、それぞれ特徴があるので、いろいろな方法が使われる。

 

制限酵素切断法の場合、サンプルに制限酵素を加えDNAの特定部位を切断し、複数の制限酵素断片に分割、ここに電気を流すとDNA断片が陽極に移動する。この時、短い断片ほど速く移動するため、大きさに従ってゲルの中に並ぶ(ゲル電気泳動)。こうして整列した断片が「プロット」というナイロン膜に転写される。特異的配列を持つDNA分子のプローブ(探索子として使用するDNA断片)をナイロン膜に当てると、プローブは多型DNA領域を持つDNA断片に結合する。これをオートラジオグラフィーという方法でX線フィルムに感光させると、黒い帯状の写真となって記録される。これが「DNAプリント」、つまり人間設計図の心臓部だ。


もう一つ、シータス社が開発した「対立遺伝子特異性試験」があるが、これは制限酵素切断法が1/10億人程度の精度であるのに比べて、1/10万人程度と精度が格段に落ちる。しかし、DNAサンプルが微量しか採取できない場合に有効で、その他の証拠と組み合わせれば十分な証拠能力を持ち得る。対立遺伝子特異性試験はポリメラーゼ・チェイン・リアクション(PCR)という方法でDNAを増幅する。DNAポリメラーゼという酵素を加え、加熱/冷却を繰り返し、対立遺伝子を含むスポットにプローブを結合させる。

 

指紋

指紋の残存期間は長く、40年前の手紙から検出された例がある。

ナチス幹部だったバレリアン・トリファは経歴を偽ってアメリカに移住、教会で大司教をしていた。しかし1982/05,FBIが最新鋭のレーザー照合システムを使用、親衛隊のヒムラーに書いた1942/06の手紙からトリファの指紋が検出されたため、トリファは国外追放になった。

指紋の検出には、金属の粉末(アルミ)を塗布するのが一般的だが、紙・木・発砲スチロールなど検出しづらい材質の場合や付着程度が十分でない場合、化学物質の噴射やレーザーを使う。最近ではコストが安い方法として紫外線の照射などもある。

1982年に米軍が開発したシアノアクリレート法では、強力接着剤に使われる物質シアノアクリレートを、密閉したケースの中に入れた検体に噴射する。他にもヨードガス、ニンヒドリン、ゲンチアナ色素などを使用する方法がある。

付着程度が十分でない場合(潜在指紋)には、蛍光粉末を塗ってアルゴンレーザーを照射する。現在では40種類ほどの指紋採取法がある。

ニンヒドリンは紙、メチルバイオレットは粘着面、ジアミノベンゼンは血痕、マルチメタルは写真、など付着面の材質によってさまざまな方法がある。

指紋は人体からも検出できるが短時間で消えてしまう。タバコの吸殻、マッチ、ティッシュ、使用済み生理用品やコンドームなど珍しいものから検出されたこともある。ただ、布状のものは非常に困難。珍しい事例では、熱したナイフで被害者を拷問した強姦殺人の犯人が、被害者のパンストをナイフに巻いていたところ、パンストが熱で溶けて犯人の指紋がくっきりと焼きついていたことがある。パンストを現場に捨てていった犯人は後日終身刑になった。

指紋は第一関節のみと考えられがちだが、第二関節や手のひらの文様から個人識別が出来た例がある。また、表皮がはがれていても採取はできる。


AFIS(自動指紋照合システム)は世界各国の警察で導入され、データベース化された数百万の指紋から特徴的ポイントが一致するものを短時間に検索できるとされている。しかし、このシステムは、実際には人間の目で同一性を判定するための候補をある程度まで絞り込むことができるだけで、一致する指紋を映画のように瞬時に照合できるわけではない。最終的には人間が判断するわけで、まったく違う指紋を同一だと判定して誤審を招いた事例が多々ある

日本の場合、指紋は10ヶ所の特徴点が一致すると同一と判定される。国際的には5-15箇所程度の国が多いが、アメリカには何箇所という基準が無く、指紋を鑑定する担当者の判断に委ねられている。そのため、経験の浅い警官が少ない一致点に基づき別人の指紋を同一と判定してしまう例が多数起きている。

ニューヨークのFinger Matrixいう企業が、スキャナーで電子的に指紋を採取・保管するシステムを開発し、一部に導入されている。これによって指紋の全国的一元管理が進み、捜査の効率・精度が飛躍的に向上することが見込まれるが、「警察国家化」を危惧する声もある。

なお、本当かどうかは分からないが、FBIの指紋データベースに登録されているのは、約2億個だという(The Bureau : Diarmuid Jeffreys 1994)。


 

嘘発見器 ポリグラフ(Lie Detector, Polygraph)

裁判では補強証拠にはなるが証拠能力は限定される。1920年代にアメリカで導入された。

証拠能力としての価値が絶対的でないのは、被験者に「良心の呵責」があることを前提にしているためで、良心を持ち合わせていない人格障害者(例:サイコパス)などの場合には意味が無い。なお、ポリグラフでの測定を不可能にする訓練が可能であることがわかっており、精神的負荷を感じている無実の被験者がクロ(擬陽性:False Positive)になることがある。


ポリグラフは被験者に一連の質問をして、3種類の生理学的信号を測定。腹と胸に巻いたストラップで呼吸の速度、二頭筋では血圧と循環器の活動、指先で発汗、頭部で脳波をそれぞれ測定。4つの指標はストレスの増加で反応するが、質問の方法・順序・速度・表現法が結果に影響を与えるため、状況によって結果が異なる。

具体的方法以下のようなものだ。

女性がネクタイで絞殺され、このことは外部には漏れていない。そこで、容疑者に対して「ネクタイで首を絞められていた」「ストッキングで」「ベルトで」…と5つ程度の質問を、順番を変えながら何度か繰り返す。いつも「ネクタイ」のところで、興奮や緊張の高まりを示す陽性反応が現れたら、犯人と推定する。

アメリカ議会は1988年連邦政府機密に関連する企業を除いて、民間企業が採用時にポリグラフを使用することを禁じた。FBIやCIAに就職する場合には、現在でも行われている。


骨学 (osteology)  

 

 

 

6ヶ月水中にあった女性の死体

 

 

 

人体には206の骨、32本の歯がある。

FBI捜査官Jon Zondermanによれば、アメリカでは年間5000体の白骨死体が発見され、そのかなりの部分が迷宮入りするという。それは、殺害直後の遺体と違って暴行の痕跡や犯人の体液などが全く残っていないからだ。

通常の遺体であれば、軟部組織の崩壊程度により死亡推定時期を測定することになるが、骨だけしか残されていない場合、骨だけから正確に死亡時期を推定することはほとんど不可能になる。その場合、行方不明者の歯科治療記録と照合して身元を特定することだけが残された仕事となる。

ただ、骨の鑑定技術は高度な次元に達しており、40年前に墜落した軍用機に乗っていた20人全員の個人識別に成功した例もある。しかし、これは兵士のように詳細な身体記録が残っている場合に限られる。

ワシントン大学教授だったトロッターが第二次大戦中に戦死した兵士の遺体から算出した「トロッターの公式」では、人種や性別にしたがって各種の公式が導かれている。たとえば、大腿骨の長さが50mの白人男性だとすると、身長は2.38×60+61.4=180.4±3.27cmというように特定できる。


DNA鑑定に十分なサンプルは骨からは採取できないが、鑑定を可能にする方法の研究は着々と進んでいるため、近い将来に白骨死体のDNA鑑定が可能になる日がくるだろう。

また、骨の内部血管がどの程度細分化しているかによって年齢がかなり正確にわかる。骨以外の証拠と組み合わせることで揺ぎ無い物的証拠になり得るため、骨自体の提供情報が少ないからといって重要性が薄れることはない。


なお、真夏の暑い時期に微生物や昆虫が多い土壌の上に放置された場合、人体は1ヶ月以内に白骨化することもある。一方、冷たい水の中に1年沈んでいた遺体は「ロウ化」しただけで、争った痕跡がふんだんに残されていることがある。

PETスキャン 陽電子放射断層撮影

PETスキャン(Positron Emission Tomography)は、脳腫瘍など器質的疾患の発見に通常は使用されているが、一部の精神科医も使用することがある。脳内でも糖がエネルギーに変換されることを利用して、放射活性糖溶液を注射して被験者に様々な作業を指示し、放射活性物質がどこに移動するかを調べる。

半減期の短い放射性物質を体内に注射、それが放出する陽電子(ポジトロン)を検知してコンピュータで画像化する。炭素・酸素・窒素などが用いられ、血液流・血液量・酸素消費量・脂肪酸やブドウ糖の代謝過程。アミノ酸合成など、脳や心臓をはじめ各臓器の生理状態や新陳代謝を観察できる。

犯罪者と正常人の脳を比較すると、顕著な違いがある場合が多いが、全く判別不能の場合もあり、どういった脳が犯罪者に特徴的であるかは現在のところよく分かっていない。

イギリスの脳神経学者エイドリアン・レイン教授がPETスキャンで42人の死刑囚の脳を調査した結果によれば、「前頭葉前部に機能障害があり実質的に活動していなかった」と報告されている。

 

質量分析計 マススペクトロメーター

 

マススペクトロメーターは、極微量の化学物質の含有量を測定するために使用される。

25mプールに1滴でも検出できる精度を持つ。

 

--- マススペクトル ---

真空で加熱気化した分子に電子流を当てると電子が放出されるが、これを繰り返すといくつかのフラグメントイオンになる。このイオンを質量と電荷の比の大きさ順に分離して記録されるものをマススペクトルという。

 

 

科学捜査2

法医昆虫学

死亡時刻の推定

 

 

 

 

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