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George Metesky
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逮捕の時、犯人は必ずダブルのスーツを着て、ボタンを全て留めている

James Brussel

When you catch him –  and I have no doubt you will – he’ll be wearing a double-breasted suit….And it will be buttoned.”

 


ジョージ・メテスキー

死者は出ていないが、16年間捕まらないまま、ニューヨークに30以上の爆弾を仕掛けた

偏執妄想性の精神病患者。

1973年に釈放され94年に90歳で死去。

プロファイルが初めて使われた事件。心理学者ブラッセルが作成したプロファイルがほぼ完全に的中したため、プロファイル導入の起源となった

George Metesky

1956年12月2日19時55分、年末の活気でごった返していた映画館パラマウントシアターで、座席シートの下を裂いて埋め込まれていた爆弾が爆発、6人が重軽傷を負った。犯人からすぐに、爆発は「神の御業だ "by the hand of God"」だという声明があった。

爆破はこれが始めてではなく、人々はまたしてもマッドボマー(Mad Bomber)が現れたことに動揺した。犯行声明文にはいつものように、支離滅裂な声明文が書かれ、"F.P."と記名されていた。


爆弾の構造は手の混んだもので、現場に証拠が残っておらず、警察の捜査は精鋭部隊を次々に投入したにもかかわらず難航した。爆弾の威力は犯行を重ねる度に増していき、傲慢な語り口の声明文が絶え間なく警察や新聞社に送りつけられた。警察は余りの内容から声明文を公表できなかった。第二次大戦の戦勝国として華々しい成長を遂げていたアメリカの中心都市、ニューヨークは一人の爆弾魔によって震え上がっていた。

16年間にわたって警察は手がかりをつかめなかったため、フィニー(Finney)刑事が犯罪心理学者ジェームズ=ブラッセル(James Brussel)に犯人のプロファイリングを依頼したのがプロファイリングの起源となった。


 

マッドボマーが初めて爆弾を仕掛けたのは、電気会社CON EDISONが入った巨大なビル(West 64th Street)だった(1940/11/16)。巨大なビルだったため誰も不審者には気づかないうちに木箱に入ったパイプ爆弾が窓枠の下に置かれた。

意図的に爆発しないようにしたのかは不明だったが爆発はしなかった。全体の構成がバラバラだが、各文字は整然と均整のとれたブロック体の文字で、爆弾を包んでいた紙にこう書かれていた。


悪徳企業コンエジソン御中 贈り物です

"CON EDISON CROOKS, THIS IS FOR YOU." 

「愛国者の手紙」

私は愛国者だから、国家が危機にある以上、しばらく爆弾を仕掛けるのをやめるという内容。

 


第一発見者はすぐに警察に連絡、爆弾処理部隊が処理に当たった。指紋は残されておらず、爆弾の原材料も身元を特定できるようなものではなかった。謎として残ったのは、爆発すればなにも残らないはずの紙切れに、何故犯人が手のこんだメッセージを同梱したのかということだった。


警察は、最近解雇された労働者、会社に苦情を言っていた者を徹底的に当たったが、容疑者は見つからなかった。当時まだ治安が悪く凶悪犯罪が頻発していたニューヨークでは、警察は他にやることが山積みであったこともあり、この些細な事件は新聞に載ることもなかった。

その約1年後、すぐ近くのビル(19th Street )に再び爆弾が仕掛けられた。爆弾は羊毛の靴下に包まれた時限爆弾だったが、またも爆発することはなかった。メッセージは残されていなかった。

爆弾処理班は、1年前の爆弾と構造が似ていることにすぐに気づいた。この時の爆弾はマッドボマーがCon Edisonに仕掛けようとしたが、何らかの理由で捨てたものだった。

ヒトラーがヨーロッパを侵略していた時期だっただけに、2度目の事件も新聞は全く関心を示さなかった。事件の3ヶ月後、アメリカが第二次大戦に参戦した直後、奇妙な手紙がマンハッタン警察本部に送られてきた。前回のメッセージと同様、全体はバラバラだが、文字自体は精緻なレタリングが施されていた。ただ、この手紙で、例外なく「」の文字だけが激しく歪んで書かれていたことは謎として残った。

F.P.(犯人のペンネーム)は「愛国者の手紙」の後、予告の通り9年間爆弾を仕掛けなかったが、手紙だけはCon Edisonを初め、警察や映画館などに絶え間なく送りつつけていた。

ニューヨーク公立図書館


1950年3月29日、3つ目の爆弾が鉄道の駅で発見された(Grand Central Station)。爆弾の構造は前回のものと似ていたが、製造技術が明らかに飛躍的に向上していた。

警察は犯人には爆発させる意思がないと考えた。しかし、4回目の爆弾がニューヨーク公立図書館(New York Public Library)の電話ボックスで、5回目は3回目と同じ駅(Grand Central Station)で爆発した。

16年間にわたって警察は手がかりをつかめなかったため、フィニー(Finney)刑事が犯罪心理学者ジェームズ=ブラッセル(James Brussel)に犯人の手がかりについて助言を求めたのが、プロファイリングの起源となった。

 


James Brussel

犯罪心理学者。

朝鮮戦争中、陸軍の神経精神医学治療を指揮。FBIやロンドン警視庁のスパイ対策活動に参加していた。ジョージ・メテスキー逮捕で一躍名声を博す。Boston StranglerAlbert DeSalvo)のプロファイルでは大きな失敗を犯した。

「逮捕の時、犯人は必ずダブルのスーツを着て、ボタンを全て留めている」

ブラッセル博士が作成したプロファイル

●爆弾魔はほぼ例外なく男であることから、犯人は男性。
●Con Edisonに恨みを抱いており、元社員であった可能性が高い。同社に人生を破壊されたため、復讐しようとしている。それは手紙から見て明らか。
●犯人は典型的なパラノイア(妄想症)患者で、Con Edisonと一般大衆が結託して自分を貶めようとしていると考えている。妄想症(パラノイア)の発生の確率がもっとも高いのは35歳であり、最初の犯行から16年経っていることから、犯人は中年で、おそらく50歳前後。
●手紙のレタリング、予告内容に忠実に従っていることから見て、犯人はきれい好き、小さいことにまで異常な注意を払う。高度な技能を要する職業についていたか、現在もついており、爆弾の製造にも細心の注意を払っている。


●妄想症(パラノイア)患者は他人に批判されることを嫌い、自らに高いハードルを課すことから、犯人も批判に対して異常なまでに敏感だろう。
●犯人は、外国に住んでいたか、人生のほとんどを外国人と過ごしている。それは、手紙の文章が不自然で、口語を使用せずに格式張ったものだからだ。"dastardly deeds(卑怯な行為)"などというビクトリア時代の小説のような書き方をしている。またニューヨークの人間であれば、Con Edisonに定冠詞"the"は付けない。
●犯人の学歴はおそらく、高校卒程度で大学には行っていない。ある程度の教育は受けているが、格式張った文章の書き方や爆弾の製造は独学だ。

●深刻な心臓病を抱えている
●犯人はスラブ系で、ローマカトリック教徒だろう。文化的に見て、東部・中部ヨーロッパが爆弾を製造する労働者がもっとも多い。送られてきた手紙の文面からも東欧系言語を母国語にしている形跡がある
●Westchester(ニューヨークとコネティカットの間の町)から手紙が投函されていることが多く、コネティカット(ニューヨーク郊外)には東部・中部ヨーロッパからの移民が多いことから、犯人はニューヨークではなくコネティカットに住んでいる。
●犯人にはエディプスコンプレックス (異性に対する愛着と同性に対する反発を表わすような態度や行動についていう。「マザコン」の英訳にはこの語が使用される)がある。ほぼ全てのエディプスコンプレックス患者は結婚しておらず、母親でない未婚の女性親族と同居している。犯人は若くして母親を失っている。

逮捕時のジョージ・メテスキー

ダブルのスーツを着て、ボタンを全て留めていた



爆弾の構造が「男根期(フロイト)」を思わせること、「」の文字が女性の乳房のような形をしていること、映画館の座席に仕掛けられたパイプ爆弾は、シートを刃物で切って刺さっていたが、その形態が女性器への男根挿入のように見えることなども、博士は指摘したが、警察官達には、博士の結論は、「こじつけ」にしか見えなかった。しかし博士は自らの結論に自信を持っていた。

警察はこのプロファイルに基づいて具体的に何をしたらいいかを博士に尋ねた。博士は


このプロファイルをメディアに公開し、捜査状況も全部公開すべきでしょう。…うまく操れば犯人は自分から出てきます。彼は警察に捕まりたいと考えているはずです


"I think you ought to publicize the description I've given you. Publicize the whole Bomber investigation………I think there's a chance he'll come forward by himself if we handle him right. I think he wants to be found out,"



ブラッセル博士は、犯人が有名になることを望んでおり、犯行に対する評価を待ち望んでいて、メディアが間違っていれば必ず連絡してくると考えていた。

犯人でもないのに犯人だと名乗る輩を警察はすべて調べるわけには行かず、博士の助言に従った。

ニューヨクタイムスなどの新聞がマッドボマーのプロファイルを掲載した直後、警察が予測したとおり、「オレがマッドボマーだ」という自首や手紙が相次いだ。しかし、爆弾の製造法は公開していなかったため、嘘であることはすぐに分かった。
またプロファイルに合致しているとする通報が次々と寄せられ、無実の逮捕者も出た。

アッパーウエストサイドのポーランド系男性は、叔母と同居、趣味で金属の加工をしており、夜になって包みを抱えて外出するということで通報・逮捕されたが、単に工芸品の露店を出しに行っているだけだった。

また、元Con Edisonの社員で、妄想症(パラノイア)の病歴があり、熟練機械工、年上の配偶者がいる男性が最有力容疑者として浮上した。彼は頻繁にニューヨークに出かけ、その時は必ず青いカバンをもっているという通報が寄せられた。しかし、警察が逮捕して調べたところ、カバンには売春婦に履かせるためのハイヒールが入っていた。

捜査が難航している最中、犯行はエスカレートし、手紙の数も増えた。そしてある日、秘匿されているはずのブラッセル博士の電話番号に直接電話がかかってきた。

●もしもし?
精神科医のブラッセル博士でいらっしゃいますか?
●はい。私がブラッセルですが。 
私はF.P.です。この件からは手を引いてください。でないと後悔することになりますよ。


 
Con Edison社は大規模な元従業員探しを始めた。しかし、同社は小さい会社と何度も合併を繰り返していたため、社員の記録がずさんで、記録内容もバラバラだった。
そしてついにAlice Kellyという社員が、ジョージ・メテスキーという男がCon Edisonが合併する前の会社(United Electric & Power Company)に勤務していたことを突き止めた。

ジョージ・メテスキーは、工場内で事故にあい、その後結核にかかったことがその事故のせいだと主張したが認められず、何度も苦情を訴えていた。

病院収容中メテスキー

in Matteawan asylum

 

F.P.は警察とメディアへの嘲笑と非難を続けていた。その中で、Con Edisonでの事故の詳細を新聞社に伝えたことが逮捕のきっかけになった。


逮捕後、ジョージ・メテスキー は丁寧に自ら進んで自白、F.P.は「フェアプレー」の略だと語った。バスローブを着ていたため、警察が着替えるよう言うと、メテスキーはダブルのスーツを着て、ボタンを全て留めて出てきた。

メテスキーは、スラブ系、コネティカットに未婚の姉妹二人と3人で暮らしていた。礼儀正しく、身なりがきちんとしていたが、隣人達は彼については何も知らなかった。ニューヨークに頻繁に出かけており、毎週必ず地元の教会に通っていた。


ブラッセル博士のプロファイルが新聞上に公表された頃から、ジョージ・メテスキーの態度は目に見えて変わったと隣人達は口をそろえて証言した。隣人達と親しくなり、良くしゃべるようになった。また、少年の模型飛行機を修理したこともあった。

ジョージ・メテスキーは精神障害と認定され、精神病院に送られた(Matteawan asylum)。


精神科医も自分を貶める共犯であるという妄想のため、治療はなかなか進まなかったが、院内ではおとなしく、釈放のための努力を続けた。

ブラッセル博士は度々メテスキーを訪ねた。博士との会見で、メテスキーは人を殺すつもりは全くなかったとのべた。また、精神に異常があるかと尋ねられたときは、微笑みながら丁寧に「No」と答えた。

1973年に釈放され94年に90歳で死去。

 

 

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