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中盤まではごく平凡な夫婦の生活振りが淡々と描かれ、後半は理不尽な息子の死をきっかけに普通の生活を失い、「音がないのにやかましい(No sound but so loud.)」と言うルースの台詞に集約されるその喪失感、虚しさと無力さがカットイン・フェードアウトの繰り返しで観客の心に突き刺さって来ると言う、ヘタな心理サスペンスやゲテモノホラーより遥かに「こわい」作品である。
それはともかく、私的にはかなりおもしろかったので割合早く読み終えることが出来た。舞台は太陽王統治の栄華を極めた、実は財政的には結構無理してたりする1693年のヴェルサイユで、たまたま私は『王は踊る(Le Roi Danse)』や『宮廷料理人ヴァテール(Vatel)』と言うルイ14世にまつわる作品を見ていたので大変イメージしやすかったのである。しかもこのところとてもじゃないけどアタマがついてイッてないハードSF(だろう)に手を焼いていたので、女性の手による軟弱系ロマンチックファンタジーはいい気分転換となり、反動ですいすい読めたようにも思う。