2004年10月06日
著作権法改正法案
法務省の2004年9月27日草案。2001年のEU段階指令29/2001を受けて、2003年秋に指令実施のために必要な改正が既に行われた。今回は、そのときに議論が尽くされていない点に関する提案。具体的内容の一部:
① 私的使用(53条)の範囲について。2003年には「明らかに違法に作成された複製物」が対象外となったが、今回は更に「または公表された」場合も対象外となる。P2Pによるインターネット公表が多くの場合に私的使用の対象外となる。
② 逆に、私的使用を電子権利管理(DRM)に対しても実施できる権利を提案していない。
③ 罰則(第106条)では、小規模の違法私的使用が対象外とされた。そのため、多くのインターネット関連の著作権侵害が犯罪でなくなる。但し、何百曲も違法に音楽データを取り寄せた場合、「小規模」とはならないため、インターネット関連の全ての案件で犯罪がなくなるわけではない。
④ 電子権利管理で著作物を技術的に複製から保護する場合、著作権管理事業者が徴収す
る収益から配当を請求できない(第54g条第2項第2文)。著作権は保護を諦めて、一括清算制度に参加する選択肢と、保護技術を使って著作物の違法複製を阻止する選択肢から選ぶ必要が生じる。