日本の消費者の姿は見えるのに・・
日本の消費者の姿は見えるのに・・
たまには、天声人語などでも弄ってみましょう。
11/4の朝刊掲載文のそれをまず、引用させて頂きます。
asahi.com :朝日新聞今日の朝刊-天声人語
【天声人語】2005年11月04日(金曜日)付
昼過ぎに街の食堂に入る。牛肉を使った料理を探す。いつもは、めん類が多いが、あえて牛を選ぶ。この日は、ハンバーグ定食だけらしい。620円で食券を買う。とろりとした褐色のソースのかかった一角を、はしで崩して一口含む。甘みと塩気が程良くて、なかなかうまい。温かいご飯とも合う。もしここで、店主が「いい味でしょ。アメリカ産ですよ」と言ったとしたらと想像する。味そのものは変わらなくても味わいの方はぐらつきそうだ。
米国産の牛肉の日本への輸入が、年内にも再開される見通しだという。牛海綿状脳症(BSE)の原因物質がたまりにくい月齢20カ月以下の牛に限ったうえで、脳や脊髄(せきずい)などの危険部位を取り除くことが条件だ。
これを受けて、米農務長官は2日、輸入の対象を「30カ月以下」に拡大するように求める方針を表明した。輸入さえ認めさせれば、あとは交渉次第でなんとでもなるというような強引さを感じさせる。
農務長官に知らせたいのが、米国産牛肉の輸入についての本社の世論調査の結果だ。「輸入再開に反対」が約3分の2を占めた。「再開されても食べたくない」も同じく3分の2あった。米国産に不信感を持つ人がこれほど多い。様子見といった人もいるだろう。しかし、うまければ、安ければどこのものでもいいというところから一歩踏み出しつつある日本の消費者の姿が読みとれないだろうか。
「輸入再開、それっ拡大」が通るとは思えない。牛は、幾つかある肉の一つであり、米国は、数ある産地の一つに過ぎないのだから。
まあ、なんてことない文章なんですよ。受験に良く出るなんていわれるほど深くない、薄っぺらい文章です。
要するに、アメリカからの牛肉輸入に再開のめどが立ったことに反発している内容なのですが、ちょっと笑えたので紹介してみます。
>牛肉を使った料理を探す。いつもは、めん類が多いが、あえて牛を選ぶ。
いつも麺類を食するこの社説子氏は、記事を書くために敢えて牛肉を食しています。これは、コラムとは言え記事として載せるために臨場感を与えるための演出かもしれません。だとすれば、いつもより大目の出費だったのかもしれませんね。
>この日は、ハンバーグ定食だけらしい。620円で食券を買う。
街の食堂とありますが、築地当たりはこういう相場なんでしょうか?結構安めだと思うのですが。それでもきっと麺類よりは高いのでしょう。そう考えると社食?もしくは社割が効くのか?って感じの値段です。この人にとって、この食事が通常よりもグレードが高いのではないかと考えるのは、
>とろりとした褐色のソースのかかった一角を、はしで崩して一口含む。甘みと塩気が程良くて、なかなかうまい。温かいご飯とも合う。
この文章でもわかります。流石だなと思うのは、高級なレストランでの食事を彷彿とさせる表現です。因みに近所のファミレスでハンバーグ定食を食べても是ぐらいかかりそうな気がしますが、それとはまるで異なるものを食されたようです。この人的には久しぶりに良いもん食った!って感じまで伝わってきます。
>もしここで、店主が「いい味でしょ。アメリカ産ですよ」と言ったとしたらと想像する。味そのものは変わらなくても味わいの方はぐらつきそうだ。
朝日新聞の記者にとって想像することは必須スキルのようで(しかも悪い方に)、ここでも悪い方に妄想を膨らませています。アメリカ産だと聞いて、味わいがぐらつきそうになるこの方はしかし、食べるのは止めないようですね。私なら、「箸が止まりそうだ」なんて書くと思います(箸じゃ食わねーだろって言われるかもしれませんが・・・)。
>農務長官に知らせたいのが、米国産牛肉の輸入についての本社の世論調査の結果だ。
ここに朝日的な驕りを垣間見るのは私だけでしょうか。敢えてここで本社の断りを入れなくても、現時点で牛肉の輸入再開には懸念を抱えている人は多いでしょう。私はさして気にしていませんが。ですから、ここに「本社の」と載せなくても、
>「輸入再開に反対」が約3分の2を占めた。「再開されても食べたくない」も同じく3分の2あった。
ってだけ載せればいいのに。さて、ここで問題なのは、かかる世論調査でどれ位の比率が輸入容認となれば、コンセンサスがとれたと見るかでしょうね。この比率が逆転すればよしとするのか、過半数でもいいのか。これは、学者先生の範疇を超えて現地の安全管理体制そのもの、要するに実務的に日本が要求していることが達成可能かということが明確になることが必要なのかもしれません。
ただ、最近寄生虫が涌いたと問題になったキムチもそうですが、私達の身の回りにあるもので、絶対に安全といえるものが果たしてどれ位存在しているのかです。マスコミは牛肉だけを問題視しますが、中国産の野菜なども同じように問題にすべきでしょう。どの国から入るではなく、商品単体の安全こそが重要でしょう。どうもここにも嫌米、親中って概念が横たわってそうで嫌ですね。
自給率の低さも、マスコミが日頃喧伝するような公器ならば問題視すべきでしょうね。胡散臭い有機野菜が全てを解決するかのようなデマを流すのではなく、もっと大局的な見地から・・・ってマスコミに言ってもムダか。
>米国産に不信感を持つ人がこれほど多い。様子見といった人もいるだろう。
確かに狂牛病は恐ろしい病気ですし、その可能性が否定できないまま輸入再開となるのは、早計でしょうが、上述したように、問題は米国産の牛肉だけなのかということです。もっと、多面的な見方・・・・ってやっぱり無理かマスコミには。
>牛は、幾つかある肉の一つであり、米国は、数ある産地の一つに過ぎないのだから。
幾つかある肉、豚とか鳥とかでしょうけど、これは話を変えてますね。牛肉の味わいというものを他の肉で代替せよということですかね。別にそれでもいいのですが、アメリカ憎しが表に出すぎているような気がします。数ある産地といいながら、アメリカがダメなら豪州産ぐらいしか選択肢がなさそうな気もしますけど。
例えば、朝日お得意のアジア(特定アジア)との外交の主張に書き換えるとどうでしょう。
外交は、幾つかある行政アイテムの一つであり、中国(韓国)は数あるアジアの国一つに過ぎないのだから。
う~ん、はまるなぁ。
結局何がこのエントリで言いたかったのか言うと、
>しかし、うまければ、安ければどこのものでもいいというところから一歩踏み出しつつある日本の消費者の姿が読みとれないだろうか。
と、社説子氏は、日本の消費者がうまい、安いだけでは騙されないだけの選択眼を持ちつつあるよと、アメリカさんよ日本国民をなめんなよって言っているわけです。
なのに本人は、
>この日は、ハンバーグ定食だけらしい。620円で食券を買う。
とうまい、安いから脱却できていない所に諧謔を感じてしまったのでした。
コメント 4