もう一つの拉致問題 [2005年4月]
もう一つの拉致問題
北朝鮮関連のニュースをひとつ。
在日朝鮮人の夫と59年に北朝鮮に渡り、03年に中国を経て帰国した日本人妻、平島筆子さん(66)が18日、北京の北朝鮮大使館で記者会見し、再び北朝鮮に戻ることを決めた、と語った。北朝鮮に残した子供や孫らに会いたいとの気持ちが募ったためだとしている。
会見の司会をした大使館員は平島さんを「日本へ誘拐された」と紹介。平島さんは、見知らぬ男に肉親が中国で待っているとだまされて北朝鮮から連れ出されたとし、「(日本にいる間も)共和国(北朝鮮)のことを忘れることはなかった。将軍様(金正日総書記)万歳」と涙を流しながら朝鮮語で語った。
北朝鮮は、平島さんら日本人妻の日本帰国について「拉致された」などと非難していた。
平島さんは3月、東京都内で朝日新聞記者のインタビューに答えた。昨年春、北朝鮮にいる息子が亡くなり、残った子供や孫のことが心配でならない様子だった。
02年暮れに北朝鮮から脱出。中国の潜伏先から日本のメディアを通じて川口外相(当時)に「日本にかえって祖国で死のうと思って生きてきた。早く助けて」と嘆願書を送った。中国の公安当局に保護され、03年1月に帰国。同年7月には「北朝鮮に残る子どもの安全確保を」と記者会見した。
関係者によると、平島さんが日本を出たのは今月上旬ごろとみられる。家族に「中国へ行く」と伝え、脱北者の知人には「家電製品を譲る」と持ちかけていたという。
平島さんを支援した平沢勝栄衆院議員(自民)は「北朝鮮に残した家族と会えない状況に耐えられなくなったのだろう。日本政府は家族との再会実現に向け努力すべきだった」と話している。
因みに、最初、この記事を見たとき(4/18の夜)には、彼女が月に十数万円の生活保護を受けていたことや仕送りをしたいがそれが露見すると生活保護が減らされるから出来ないと言っていたという内容がありましたが、現在は削除されているようです。
この件は毎日でも報じられていますので、引用してみます。
02年に北朝鮮を脱出して日本に帰国した元日本人配偶者の平島筆子さん(66)が18日、中国・北京の北朝鮮大使館で記者会見し、北朝鮮に再び戻る意向を明らかにした。平島さんは「私は日本にだまされて行った。共和国(北朝鮮)には子供たちもいて、平壌に戻ることが幸せだと思った」と語った。中国に渡航した経緯や北朝鮮大使館に入った経緯などは明らかにしなかった。
平島さんは1959年12月の帰国事業で在日朝鮮人の夫と北朝鮮に渡り、02年12月に北朝鮮北部の両江道から中国に脱出した後、03年1月、日本に帰国した。平島さんは会見で「日本では会いたかった妹にも古い友達にも会った。しかし、日ごとに子供たちへの思いが募った」と北朝鮮に戻る理由を述べた。
朝日の記事によれば、彼女は脱北するとき、当時の川口外相に
「日本にかえって祖国で死のうと思って生きてきた。早く助けて」と嘆願書を送った。
はずなのですが、それが、
見知らぬ男に肉親が中国で待っているとだまされて北朝鮮から連れ出されたとし、「(日本にいる間も)共和国(北朝鮮)のことを忘れることはなかった。将軍様(金正日総書記)万歳」と涙を流しながら朝鮮語で語った。
「私は日本にだまされて行った。共和国(北朝鮮)には子供たちもいて、平壌に戻ることが幸せだと思った」と語った。
ということになるのは、整合性を欠いており不可解ですね。
彼女が瀋陽の大使館で記者会見する模様をテレビで見ましたが、本心から言っているようには思えずにどうもしっくりきませんでした。
彼女が脱北に際して川口前外相に言ったことが本心でしょう。
とすれば、今回の発言は本心ではなく、「強制的」に喋らされたことになります。
このことは、彼女が日本の親族、友人及び支援者に十分な説明をすることもなく中国に赴き、北朝鮮へ戻ると言ったことを考えれても分かりますし、彼女をして「日本に拉致された」などと言う北朝鮮関係者の言葉でも理解することができます。
つまり、今回の彼女の発言は、彼女の口から出ているものの、実際は北朝鮮当局が拉致問題を有耶無耶にし、経済制裁を回避するのみならず、なし崩し的な国交回復、経済援助を引き出すことを企図したものであると考えられます。
日本政府は、これが北朝鮮による新たな拉致であるとの認識に立って、行動を起こしてもらいたいと思います。
勿論、従前より拉致問題も進展しておらず、今回の問題も併せて早急かつ慎重に対処すべきであると思います。
中国や韓国の反日デモに関しては、在留邦人の安全については十分な配慮が必要になりますが、北朝鮮の問題はそれらよりも優先的に対処されてしかるべき問題であると思います。
さて、彼女の境遇に対しては大いに同情しますし、政府としても全力で彼女の奪還に向けて取り組んで欲しいと思いますが、そもそもの経緯を含めて日本人妻の問題に関する考えをまとめてみたいと思います。
まず、日本人が海外へ移住したり国籍を放棄して他国の国籍を取得することは、基本的に自己責任の範疇です。なぜなら、海外への移住、国籍の放棄などは個々人に認められた権利であり、その行使に伴って発生する得失は本人に帰属するものだからです。
ただし、この帰国事業は、当時朝鮮総連や朝日新聞などの親北マスコミが、日本国内に朝鮮人への不当な差別がある、北朝鮮は地上の楽園だという喧伝を繰り返していたことに端を発した工作活動であることを考慮すれば、彼女達の自己責任の範疇を逸脱しており、彼女達の日本への帰国に対して救済的支援を行われることは当然だと思います。
この帰国事業について彼女らが「騙された」「被害者」だというのであれば、その相手は、朝鮮総連や朝日などの左翼系メディアであるということになります。
朝日新聞などに贖罪の意識があるならば、責任の所在を曖昧にしたまま、同情を煽るような記事を羅列するのではなく、加害者として立場からの報道を行うべきだと思います(って言っても無理でしょうが)。
次に、脱北者についてですが、日本政府としては彼女達の救済的支援をすることのみならず、この原因について究明を行い、必要ならば加害者として総連や左翼系マスコミに対して相応の措置を講じることも考えねばなりません。
ところで、私は脱北者の支援について、以前「月収17万円、家賃タダ」というエントリで取り上げましたが、彼女らの境遇に同情することはあっても、政府が一般の日本人以上の厚い支援をする必要性はないと思っています。また、この支援は日本で自立するために必要な当座の支援であることを考えることも重要です。
もし、それで不足だというなら、もしくは賠償を求めるというなら、総連や左翼系マスコミに求めるべきであると考えています。
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