堕ちたキングメーカー [2005年4月]
堕ちたキングメーカー
AA(アジア・アフリカ)会議での小泉首相の発言に触れておく前に、最近の古賀誠氏の動向について、触れてみたいと思います。
彼は、郵政民営化には慎重な態度を取っています。表向きには。本心としては恐らくは積極的反対なのでしょうが。
これは、中2階のポジション(ポスト小泉)を維持するために、積極的反対の旗幟を鮮明にしている亀井派(反小泉)とのバランスをとるためであろうと思われます。
彼の心中を探るとき、参考になるのが、綿貫民輔氏の動きです。彼の動きは古賀氏の本心との連携があるように思われます。
まずは郵政民営化を巡る「一任騒動」を見てみましょう。
asahi.com: 折衝一任に批判相次ぐ 自民・郵政懇話会 - 政治
折衝一任に批判相次ぐ
自民・郵政懇話会 自民党の郵政関係議員でつくる郵政事業懇話会(綿貫民輔会長)が20日に開いた緊急役員会で、党執行部が19日夜の郵政改革合同部会で政府との折衝について一任を取りつけたことに対して批判が相次いだ。懇話会は、現行の日本郵政公社のまま3事業の一体経営を維持することをめざし、今後も活動を続けていくことを確認した。
彼らは、党執行部の一任に対して、依然強硬な態度を崩しておらず、党議拘束にすら反対しようとしています。選挙公約のひとつであるはずの民営化ですが、
反対を唱える連中はあの「野田聖子」議員が自身のHPで語る以下のような詭弁を弄して正当性を訴えています。
自民党では、小泉氏を総裁に選出した後、氏の公約であった「郵政民営化」を党の公約として正式に機関決定したことはない。したがって、私を含めた少なからぬ自民党所属国会議員は、その後の総選挙に際しても、郵政民営化に反対の考えをもつ者であれば反対を主張していたはずである。私は、自民党が国民に対し、こういう誤解を与えるような組織決定を発表したことを深く反省し、今後、党の意思決定過程の見直しの必要性があることを痛感している。しかし、それが私の郵政民営化反対の意見を引き下げる理由になるとは思わない。
選挙のときの公約を、そう簡単に曲解されても困るのですが、これで名分が立つということで反対をしているのです。にしても無茶苦茶な理屈だなぁ。
ところで「一任」と言えば、「あの法案」に関してもありましたね。ドタバタが。
asahi.com: 人権擁護法案、「一任」めぐり混乱 自民合同部会 - 政治
人権擁護法案、「一任」めぐり混乱
自民合同部会 自民党は21日、法務部会・人権問題等調査会の合同部会を開き、党内の反対で今国会に提出できずにいる人権擁護法案の扱いを協議した。人権問題等調査会長の古賀誠元幹事長が途中で「一任を取り付けた」と主張して退席したが、反対派が猛反発。平沢勝栄法務部会長は「一任にはなっていない」として議論を続ける考えを表明した。近く古賀、平沢両氏が会って、改めて今後の対応を協議する。反対派は人権擁護委員を日本国民に限る「国籍条項」の導入を求めていた。しかし、古賀氏は同条項に反対している公明党にも配慮し、(1)国会で「日本国籍でない人を委員に加える場合、必要性、適格性を慎重に考慮する」との付帯決議を行う(2)委員の政治的中立性を担保する文言を法案に加える――などの修正案を提示した。
これに対し、推進、反対両派から、ほぼ同数の十数人が意見を表明。約2時間半が経過したころ、古賀氏が「完璧(かんぺき)なものは難しい。不備な点は国会に提出して直せばよい。ご一任でご理解をいただきたい」と提案。「一任しない」との怒声が飛び交うなか、賛成派数十人が退席した。
反対派は納得せず、平沢氏も「賛否はほぼ拮抗(きっこう)していた」と、一任を認めない考えを示した。
調査会長と部会長の見解が分かれる異例の形になったが、古賀氏らは少なくとも調査会の一任は得られたとして党内手続きを進める考えだ。しかし、反対派との溝は深まるばかり。法案提出の見通しが立たない状態に変わりはない。
郵政民営化で古賀氏は、対岸の火事宜しく、反対ではあっても矢面に立つ愚を避けていましたが、この法案に関しては「すわ、御家の一大事」とばかりに必死な様子が窺えます。これは前者はサポーターだが、後者はホストであるという違いに依るものと考えられます。
郵政民営化とこの人権擁護法案の反対派は必ずしも一致しませんが(利害関係が異なるから)、主要人物は重複しています。
さて、「一任」をめぐって、行動が矛盾している古賀氏ですが、ポスト小泉を狙う(本人がではなく、野田聖子議員を擁立するという意味)、彼のスタンスはぶれていません。
そう考えると、次のニュースは何やらきな臭さを感じさせます。
asahi.com: 国会議員80人が靖国参拝、現職閣僚はゼロ 春季例大祭 - 政治
国会議員80人が靖国参拝、現職閣僚はゼロ
春季例大祭 自民、民主両党などの超党派議員でつくる「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」(瓦力会長、266人)の国会議員80人が22日朝、春季例大祭期間中の東京・九段の靖国神社に集団で参拝した。参拝したのは自民党が古賀誠元幹事長、平沼赳夫前経産相ら78人、民主党は原口一博衆院議員ら2人。現職閣僚はいなかったが、西川公也内閣府副大臣と今津寛防衛庁副長官ほか、3人の政務官が参拝した。
参拝後、同会の藤井孝男会長代理が記者会見し、中国や韓国から小泉首相の靖国神社参拝が批判を受けていることについて、「戦時に亡くなった方の御霊を参拝するのは自然な姿。中韓など近隣諸国の皆さんにご理解いただけないのは非常に残念だ」と話した。
また、「今年はまだ小泉首相は参拝する、しないを言っていないが、ぜひしてほしい」として、会として今年も小泉首相が参拝することを期待する考えを示した。
春季例大祭とAA会議が重なったことは偶然だとは思いますが、会議における小泉首相の謝罪をぶち壊すような行動ですね。首脳会談を前にわざわざ中国に言質を与えるような感じです。
登場人物を見ると、古賀氏は当然のこととして、綿貫氏もいますね。
平沼氏は自身がポスト小泉を意識しているのですが、郵政反対、人権擁護法反対(拉致議連絡み)であり、古賀氏と同期で分かり合えるなどと言う人物です。
総裁選で惨敗した藤井氏が、中国などに理解を求めるような発言の後に、
>「今年はまだ小泉首相は参拝する、しないを言っていないが、ぜひしてほしい」として、会として今年も小泉首相が参拝することを期待する考えを示した。
などと言うのは、中国を利するだけのように思えてしまいます。
少なくともこの面々のこれまでの言動を見れば、首相をバックアップするというよりも窮地に追い込む意図があるのでは、と勘ぐってしまいますね。
因みに民主党からも2人でてますね。ジャスコ岡田氏は、この辺も十分考えないとだめでしょうね。
↑で勘ぐったとおりのストレートな反応を中国側は示しています。
asahi.com: 国会議員の靖国参拝、中国が「強烈な不満」 - 政治
国会議員の靖国参拝、中国が「強烈な不満」
中国外務省の秦剛(チンカン)副報道局長は22日、「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」の国会議員の靖国神社への集団参拝について談話を発表し、「強烈な不満」を表明した。談話は、この日の靖国神社参拝について「現在中日関係が厳しい情勢にあるとき、日本政界の一部の人が大局を顧みず消極的な行動をしたことに対して強烈な不満を表明する」と述べたうえで、「彼らが両国人民の根本利益をふまえて、責任ある行動をとり、中日関係の改善と発展に有利になることをするよう希望する」としている。
強烈な不満とは、火消しに躍起になっているのに、燃料を投下されたからかもしれませんね。
首相の「謝罪」について触れていないのは、首脳会談を意識しているのかもしれませんが、チンカン氏にしては、少しヌルイ発言かもしれませんね。
しかし、首相に謝罪に関して中国国内では「誠意」が足りないなどの意見も出ているようですから、この参拝はデモの大義名分として利用されてしまうかもしれません。
堕ちたキングメーカーの古賀氏、彼は、小泉政権が実は結構マシなことをしていると思わせてくれる、貴重な存在です。
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小泉首相:バンドン会議で「反省、おわび」 異例の演説 http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20050422k0000e010100000c.html
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