復党問題に関して個人的に思うこと
造反議員を復党させたからといって、郵政選挙で自民党を地すべり的圧勝に導いた無党派層が一気に民主党支持に変わり、来年の参院選挙で民主党が圧勝するなんて事は有り得ない。「自分の一票で何かが変わる」という期待感、そして実際に「支持する事で政治が変わる」という結末に感動した人々は次から選挙に行かなくなるだけだ。
すると何が起こるかって言えば、組織型選挙の復権。
候補者は組織・団体からの支持の取り付けに奔走し、目に見える支持団体の顔色を伺う事が政策の柱になる。能力の無い組織・団体は自らの生き残りのための自助努力を放棄し、補助金目当てで選挙協力を競い既得権益固めを狙う。そうなると益々無党派層は政治への関心を失う。めくるめく組織型選挙復権へのスパイラル。
オレはそれが嫌だから、大多数の有権者が納得してないような今の段階で復党には絶対反対。
そもそも組織型選挙っつっても、今時組織・団体の結束なんてどんどん低下してるんだから、自民党が旧来の戦術に復古しても自分で自分の首を絞めるだけ。執行部もそこまでバカじゃないだろ。造反組が「安倍総理を支持しますから一緒に政治やらせてください」って言うのなら、造反組は新党作って統一会派でやれば良い。いい働きすりゃほとぼりが冷めた頃に吸収合併してもらって自民党に戻れる可能性もゼロではないよ。
と頭じゃ理解してても新聞記事とか見てると「復党は規定路線」みたいな思い入れと思い込みタップリの臨場感溢れる記事が繰り返し繰り返し掲載されて冷や冷やするけどね
例↓
郵政民営化造反組の復党問題で自民党は4日、9月の首相指名選挙で安倍晋三首相に投票した無所属議員12人に加え、昨年の衆院選で落選した前職も安倍首相の政策に全面的に従うことを条件に同時期の復党を認める方針を固め、調整に入った。沖縄県知事選(19日投開票)後に党紀委員会を通じ、手続きを進める。来夏の参院選で組織を重視した選挙戦術を優先する立場から、前職の協力も不可欠と判断した。
落選した無所属の「造反組」14人のうち、復党の検討対象となるのは、民主党、国民新党からそれぞれ参院選に出馬する川上義博氏と自見庄三郎元郵政相を除く前職12人。党紀委員会(笹川尭委員長)で「郵政民営化を含む党の政権公約と、首相の所信表明演説への支持」を確約した前職については、現職の無所属と同様に年内の復党を容認する方向。復党の意思がなかったり引退を検討する前職もいるため、最終的に復党するのは7~8人程度になる可能性がある。
複数の関係者によると、首相は10月上旬、東京都内で青木幹雄参院議員会長、森喜朗元首相、中川秀直幹事長と極秘に会談し、造反組の復党問題を協議。青木氏が「参院選(の情勢)は厳しい。造反者の協力もあおぐべきだ」と、無所属議員と前職の一括復党を強く主張。首相は了承したうえで中川氏に対し「細かいところは党で検討してほしい」と指示していたという。
その後、首相は無所属の現職議員について復党を容認する意向を表明。執行部は党内の反発を考慮し、無所属現職議員の復党を先行する案も検討していた。しかし、無所属議員の「窓口役」の平沼赳夫元経済産業相が当落を問わない復党を中川氏らに要求、参院側の強い要請もあり、当初の非公式の合意通りに現職と前職の一括復党を目指す方針に傾いた。
ただ、小泉純一郎前首相らがいわゆる造反組の復党に反対しており、一括復党を認めた場合に党内の亀裂が拡大することも予想される。特に、落選した前職議員の選挙区には「刺客」を中心に現職議員がいることから、仮に復党を認めても公認をめぐる選挙区調整が難航することは必至だ。【中澤雄大、高山祐】
(毎日新聞) - 11月5日3時5分更新
うーん、凄いリアリティー。
でもこれ読み込んでいくと凄いいい加減な記事なんだよな
第一パラグラフ最後にある「来夏の参院選で組織を重視した選挙戦術を優先する立場から、前職の協力も不可欠と判断した」って文の主語は「自民党」。自民党が判断?じゃぁ誰がそんな情報を中澤雄大・高山祐両記者に提供したかというと「複数の関係者によると」。「執行部」でも「幹部」でもなく、更に「自民党関係者」でもなくタダの「関係者」。おいおいおい、これじゃぁ野田聖子氏とか平沼氏から話聞いてても良い訳だ。すっげーな。
いや、もうマスコミ凄いわ。
昨日も小泉前総理の挨拶に関して「お前ら頭オカシイだろ?!」って誤読をしてやがる
まず、小泉前総理の挨拶書き起こしから↓
(前略)黙っているからといって、見てる人は見てる。皆さんみたいに、演説しているときだけ、自分が質問しているときだけ、選挙民と握手しているときだけ、酒飲むときだけ、お酌しているときだけが政治活動じゃないんですよ。日頃の行動、選挙民は言葉よりも感ずるんですよ。この人は何をしてくれるか、信じることができるか、期待できる、こう雰囲気を出すというのは日頃の行動ですね。よく学び、よく遊べという言葉がある。机の上の勉強だけが学びじゃないんですよ。遊ぶということも必要なんです。だから、これからは、そういう、皆さん努力、どういう政治家になるか楽しみなんですよ。
ただ、政治家っていうのは、常に使い捨てされるということを覚悟しなければいけない。使い捨てにされるっていうことを嫌がっちゃいけない。総理大臣だって使い捨てにされる。国会議員だって、一回一回選挙ごとに使い捨てにされるということを覚悟しなきゃいけない。当たり前なんです。甘えちゃだめです。だからこのとき使ってもらった、選んでもらったということに喜びを感じながら、そのたび全力を尽くす。さらに使おうと有権者が思ったら、また使ってもらえばいい。使い捨てされるなんてイヤだなんて言った人は、国会議員にならない方がいい。常に使い捨てされて当たり前だと思って、日頃向上心を持って頑張っていただきたい。そして夢。夢は実りがたいんですね。ジャマする人たくさんいる。敵はあまたなり。しかし、勇みて行かん。こういう気持ちを持って、夢を持ちながら、志を持って頑張っていただきたい。(後略)
該当部分だけ抜き出したが、是非全文を読んで欲しい。書き起こしされた方も仰っているが、これ別に政治家に対してだけじゃなくリーマンにも学生にも当てはまる普遍的なメッセージだと思うけどな。で、その中で「有権者にもう一度使いたいと思われる政治活動をして支持を勝ち取れ」とエールを送ってるだけだろ。
それがマスコミフィルターを通すとなんとこういう解釈になる
↓↓↓
小泉前総理大臣は自民党の新人議員らを集めた会合であいさつし、郵政民営化法案に反対して党を離れた無所属議員の復党について、やむをえないという認識を示したうえで、新人議員はそれを乗り越えて次の選挙でも当選できるよう頑張ってほしいと激励しました。
小泉前総理大臣は、先輩議員が、新人議員らに政治家としての心構えや選挙対策のノウハウなどを教える「日本夢づくり道場」の最高顧問を務めており、7日の会合であいさつしました。この中で、小泉氏は、自民党を離れた無所属議員の復党に新人議員の間から反対意見が出ていることを念頭に、「政治家は選挙ごとに使い捨てされることを覚悟しなければならない。それが嫌だという人は国会議員になるべきではない」と述べ、復党はやむをえないという認識を示しました。そのうえで、小泉氏は「邪魔する人や敵はたくさんいるが、選んでもらったことに喜びを感じながら全力を尽くし、有権者に再び選んでもらえるように向上心を持って頑張ってほしい」と新人議員を激励しました。(後略)
(NHKニュース 2006年11月7日 21時12分)
小泉純一郎前首相は7日、自民党「日本夢づくり道場」のあいさつで、昨年初当選した衆院議員61人に対して「政治家は使い捨てにされることを覚悟しなければならない。甘えちゃだめだ」と述べた。自民党執行部が進める郵政造反組の復党を容認し、復党に反発する新人議員に党内を混乱させないようクギを刺した発言とみられる。
小泉氏は「参院選に負けるぞ」と語るなど、早期復党に異論を唱えていただけに新人議員は衝撃を受けた様子。杉村太蔵衆院議員は記者団に「使い捨てされないように頑張る」と語った。【米村耕一】
(毎日新聞2006年11月7日23時27分更新)
小泉純一郎前首相は7日、自民党本部で開かれた同党の若手育成機関「日本夢づくり道場」(塾長・武部勤前幹事長)の会合に出席し、新人議員らに「一回一回の選挙ごとに使い捨てされることを覚悟しないといけない。甘えてはだめだ」と政治家としての心構えを説いた。
道場は、昨年の郵政解散に伴う衆院選や2年前の参院選で初当選した議員らが対象で、会合には「刺客」候補として郵政民営化造反組と戦った小野次郎、佐藤ゆかり両衆院議員ら約60人が参加した。小泉氏はこれまで、造反組の復党には否定的な立場だと見られてきたが、同日の発言は復党に一定の理解を示したとも受け取れるだけに憶測を呼びそうだ。 (時事通信 2006年11月8日1時0分更新)
小泉純一郎前首相は7日、自民党本部で開かれた衆参1回生議員の研修会「日本夢づくり道場」で、「政治家は常に使い捨てにされることを覚悟しないといけない。甘えちゃいけない。使い捨てが嫌なら国会議員にならない方がいい」と述べ、郵政民営化に反対し、離党した衆院議員らの復党に反対する一部議員を叱責(しっせき)した。小泉氏の後ろ盾を期待していた議員は、非情な「突き放し」にショックを隠しきれない様子だった。(後略)
(Sankei Web 2006/11/07 23:01)
どこをどう縦読みしたらそうなるんだよっつーくらいの解釈の飛躍。はいはい、あんた達が造反組に復党して欲しいのはよくよく判りました。電波通り越してもう捏造だねこれは。
政治記者になるには、どんな発言であろうとも自分の欲しい結論を導き出すという創作能力が一番求められているってのが良く分かったよ。ホントどいつもこいつもキチガイ揃いだな、記者って奴はよ!
と、エキサイトしてるところにこんな記事が
自民党・中川幹事長が7日、郵政造反議員のリーダー・平沼元経産相に対し、自民党への復党ではなく、統一会派の結成を打診していたことが明らかになった。
これは複数の関係者が明らかにしたもので、郵政造反議員の復党は世論の反発が強く、安倍首相の政権運営に悪影響が出ることも予想されるため、まずは統一会派にとどめることで批判を和らげようと判断したもの。
これに対して、平沼氏は「郵政造反議員12人一括での復党以外は認められない」として提案を拒否した。
自民党内では来年の参議院選挙をにらんで早期の復党を求める声がある一方で、1回生議員の有志が復党反対の署名活動を行うなど反発も根強く、今後、調整は難航しそうだ。
[NNN政治ニュース 2006年11月9日3時40分更新]
これまたニュースソースは「複数の関係者」なんで眉唾もんだが、非常に現実的な解決策だと思うよ。ま、統一会派にしたところで衆院選挙の時は必ず選挙区調整が必要になるわけで、造反組がどんな働きしてどう成果を残し、それを最終的に有権者がどう捉えるのか、小泉前総理の言葉をマスコミ的に使いまわせば
「常に自民党に使い捨てされて当たり前だと思って、日頃向上心を持って頑張っていただきたい。」
って事ですよ。こっちの方が随分しっくりくる解釈だな。