平安編
時は平安時代の中期―。飢饉と疫病により、都はすっかり荒廃していた。しかし、そんな状況に際してもなお、武士と陰陽師は覇権争いのための醜い争いを続けていた。苦しむ民を見かねた朝廷は、弓の名手である源頼光に、都に平安をもたらす不思議な霊力を持つという、伝説の勾玉を探すように命じる。
しかし、頼光は疫病に倒れてしまい、源家の末娘、光の君が正体を隠して、兄に代わり勾玉を探す旅に出ることになる。
2004年、東京―。ヒカルは都内の高校に通う17歳の女子高生。両親は既に他界したが、残された大久保のアパート「源荘」で大家として暮らしている。源荘では、フリーライターの綱や、キャバクラのスカウトマン貞光。貞光が連れている食いしん坊の子供、金太郎や怪しい占い師の卜部たちが下宿人として暮らしている。一方で、ヒカルの兄、頼光は、1年ほど前にナゾの失踪を遂げていた。
そんなある日、ヒカルは東京の街中で偶然にも兄を目撃する。しかしながらその姿は、そばにいた綱にはなぜか見えていないようなのであった。その事件を境に、ヒカルの身の回りで神隠しにでもあったかのように、色々な人が次々に行方不明になっていく。
今、東京の街で、何が起きようとしているのだろうか。