Deprecated: The each() function is deprecated. This message will be suppressed on further calls in /home/zhenxiangba/zhenxiangba.com/public_html/phproxy-improved-master/index.php on line 456
Matzにっき(2004-12-02)
[go: Go Back, main page]

«前の日記(2004-12-01) 最新 次の日記(2004-12-03)» 編集

Matzにっき

<< 2004/12/ 1 1. ペア・プログラミング
2 1. 日本におけるOSSの幻想-OSS界のガラパゴス諸島、ニッポン
3 1. なぜグローバルか、私の場合
4 1. Linux Magazine 2月号
2. バグレポート指南
5 1. 命名
6 1. Linux Magazine 2月号(その2)
2. 言語設計者とヒゲ
3. ガラパゴス
7 1. Traitsについて再び
8 1. matz氏とoswayについて話す
2. 米IBM、PC事業をLenovoに売却
3. Linux Magazine休刊
9 1. Linux Magazine 1月号
2. サンダーバード
10 1. Dynamic Java
2. MS対Eolas、ブラウザ特許訴訟控訴審で再び対決
3. Facets of Ruby
4. 山陰中央新報『特集 しまねIT新時代』
11 1. 体調
2. 「白血球不一致の父から骨髄移植」
12 1. 岡山
13 1. 「IBMとの訴訟が決着するのは来年末」、米SCOのマクブライドCEO語る
14 1. 誤解
2. The Complete History of the Internet
15 1. TraitsとMix-in
2. 『ウルトラマン』@てれびくん
16 1. 小さなP2P
17 1. るび…ま?
2. japan.linux.comにて「JLC Diary」の正式運用開始
18 1. 買い物
19 1. 出雲
20 1. IPAヒアリング
21 1. 豆蔵
22 1. 年賀状
2. 忘年会
23 1. クリスマス会
24 1. 『今年もキミは来ないのね−聖夜にかけるIT戦士かく闘えり
2. 年賀状
25 1. クリスマスの朝
2. クリスマス・リリース
3. 『「メリークリスマス」は時代遅れ 宗教からみ米で議論
26 1. 松江
2. 年賀状
3. イエス・キリストの誕生日
27 1. The Aikido Scripting Language System
2. The Spry Computer Language
3. 企業システムにおけるPHP5の可能性
28 1. 仕事納め
29 1. 片付け・来客
2. A crisis of faith
30 1. 年賀状
2. 同じスクリプト言語
3. 散髪
31 1. 10大ニュース
>>
Dr.Web 予測するアンチウイルス 持ち込み PC 対策でお悩みの方にオススメです。
ウイルス・スパイウェア検査・駆除 用ツール Dr.WEB CureIt! を無償配布中!

2004-12-02 [長年日記]

_ [OSS]日本におけるOSSの幻想-OSS界のガラパゴス諸島、ニッポン

日本においてはOSS振興の流れが出てきてはいるが、「すべてがうまくいっているわけではない」とVAリナックスの佐渡氏は話す。いびつに変質したコミュニティなど、日本はOSSのガラパゴス諸島であると持論を展開する。

佐渡さんってば前にも同じようなこと言ってるよね。

佐渡さんが言ってるようなことが起きていないとは私は言わない。 OSS全体を見れば確かに日本からの貢献は少なく見える。 少なくとも多くの人はそう認識している。 ついこないだもEric Raymondが「日本は人口や教育レベルの割にハッカーが少ない」ってメールに書いてたし。 でも実際のところはどうなんだろう。

まず、(私の感じている)事実から。佐渡さんの意見を裏づけるものは以下の通り。

  • 日本人であって日本人以外から広く知られているOSS開発者は非常に少ない。本当に少ない。
  • SourceForge.jpのプロジェクト数は1,297で、本家の91,783にははるかに及ばない。 もっとも本家にプロジェクトを持っている日本人もいるから一概には少ないとは言えない(いや、少ないと思うけど)。
  • 日本におけるOSSの利用は他国に負けていない(らしい)。
  • 日本からのパッチ(特に国際化関係)が無碍に受け入れられなかったケースはいくつか知られている。 特にコミュニケーション不全によるものが目立つ。

でもね、それって結局「英語が下手くそ」という点に還元されるような気がする。 しかも、英語が下手くそな理由は「使わなくてもすむから」なわけで。

たとえば、英語以外の母国語だけでOSS関連のちゃんとしたイベントができる国は少ない。 私の知ってる範囲内では、フランス、ドイツ、デンマーク、ベルギー、オランダ、メキシコ、ブラジル、中国、インドのイベントでは英語は必須。日本は貴重な例外。お隣の韓国はどうか。

ということは、佐渡さんが観察した「問題」は、結局日本は恵まれている(恵まれすぎている)ということの 現れのような。

であれば、言うべきことはただ単にダメだ、ダメだとか、

肝心なのは日本で閉じることなく、グローバルに出て行くこと

なんて どっかで聞いたような結論じゃなくて、 なぜグローバルに出て行くべきか、 ちゃんとコミュニケーションするとこんなことがトクってことじゃないだろうか。 あるいは日本で閉じているとこんなに損だ、とか。

ところが、数少ない「グローバルに出て行くこと」を実践している人物のはずの私でさえ、 改めて考えるとなにがトクなのかよくわかんないんだよね。 「グローバルに出て行くこと」で海外から収入を得ているわけでもないし、 より多くの人に恩恵を与えているってことで 「エゴ(自尊心)を充足させる空間が広い」ってことくらいか。

でも、エゴは食えないしな。

ORCAについては...、いろいろあるが、別の機会にしよう。

本日のツッコミ(全4件) [ツッコミを入れる]
_ Kiyoshi (2004-12-04 13:21)

Eric Raymondのメールの原文が読みたいのですが。Japan has few famous hackers despite the fact that it has well-educated people.かな?

_ まつもと (2004-12-04 13:32)

こんな感じです。

  Given its population and educational level Japan does not seem to
  produce as many hackers (and creative artists, and really top-flight
  scientists) as it should.

でも、実際は「彼は知らない」ってことなんだと思います。

_ 在外邦人 (2004-12-05 18:32)

give してトクしようって話じゃなくて、take ばっかしてると嫌われるから give もした方がいいんじゃないかって話なだけだと思うんだけど違うんですかね。take するのに必要な英語力よりも give するのに必要な英語力の方が遥かにレベルが高い(と日本人は感じている)ので、結果として give が少なくなっているんだろうと思いますけど、なんで give しないといけないのかって言われれば、そんな質問には、別に、としか答えようがないです。

_ knok (2004-12-06 09:56)

得する例としては、ローカルパッチをちゃんと上流に取り込んでもらうことで、
新しいバージョンへの追従をいちいちしなくて良くなることが挙げられるとお
もいます。

実際、Debian JPではかつて自前でOfficial Releaseなんてことをやっていま
したが、あまりに労力がかかるのでできるだけ本家にコミットしてゆこう、と
言う方向になりました。

日本の状況に関して言えば、パッチの成果を抱えこむことで「これは自分の成
果だ」ということを主張したい人が一部にいるのではないかな、と自分は感じ
ています。

お名前:
E-mail:
コメント:
本日のリンク元
検索

«前の日記(2004-12-01) 最新 次の日記(2004-12-03)» 編集

RSS feed meter for http://www.rubyist.net/~matz/ Creative Commons License This work is licensed under a Creative Commons License.