| 私ことビフテキには永遠のライバルがいる。 それは・・・・。 そいつの名は・・・・・。 漫画肉である。 漫画肉・・・。ビフテキが永遠のごちそうならば 漫画肉は食欲の具現化した形である。 漫画肉とはいわゆる骨付き肉のことであるが、二つに 分けられる。一つはギャ−トルズのタイプとそうでないタイプである。 ギャ−トルズの漫画肉は大きな一本の骨の先(片側)に巨大な肉が ついているものである。ほどよく腐り、カビがびっしりはえているものを 息を吹きかけてカビをはらって食すのがよいとされているが、 現代人は腐っていないもちろんカビもはえていないものを じっくり焼いて食べるのがよいと思われる。 もう一つのタイプは一般的に漫画肉というと連想されるものである。 巨大な肉が一本の骨の真中についているのであるが、見た目には 巨大な肉の両端から骨が生えているように見える。 かねてより私は彼らについて情報は集めていたものの、 実はまだ直接対決したことがない。そこで今回は 私闘ではあるものの、直接対決を挑むことにしたのである。 |
| 漫画肉といっても、有名なところは限定される。 吉沢精肉店の「アノ肉」とヤンパオの「漫画肉」である。 私はとりあえずギャ−トルズを意識して作り出された 吉沢精肉店の「アノ肉」を対戦相手に選び、戦いを挑んだ。 |
| 漫画肉と戦うにはエントリー料として二千五百円かかる。 吉沢精肉店に二千五百円払うと奴はその姿を表した。 吉沢精肉店の店主らしき人がいうには、 「普段は予約がいるけど今日は焼きたてがある。すぐいける。」 その日は様子見で終わらせるつもりだったが、意外に早く 対決の時がきたものである。私の全身の筋肉にに緊張が走る。 では諸君、漫画肉の姿を見よ! |
| どどーん!なんという迫力!縦だか横だかわからないビフテキに 匹敵する存在感。やはり漫画肉はあなどれん! 対決をしっかりやる為には漫画肉の処理を失敗しては どうにもならないので手間隙をかけることにした。 |
| 真空パックのまままずゆでようと思ったが、直径28センチの鍋では 肉が大きすぎて収まりきらないので、お湯を足しながらじっくりと 最初の行程は1時間以上蒸しあげることにした。 |
| そしてこんがりとフライパンで焼き色をつけつつじゅうじゅうと焼いて完成! ううーん、ずっしりとした重量感である。肉だけで1キログラムあるので これは一人で食べきるのは相当な気力がいる。 |
| かじりつき、むさぼり、たいらげる。 この漫画肉、味は悪くない。しかし、しかしである。 はじめからわかっていたことなのだが、この漫画肉は巨大な ソーセージなのだ。しっかりと作られたものなので、 本当に味は悪くはない。しかし食べながら私は 寂しさを感じ続けることになった。 「情けない肉と戦って勝つ意味があるのか?」 そう問いかけずにはいられなかった。 あくまでこの漫画肉は作り物なのである。 吉沢精肉店のアイデアと努力には感服するのだが、 それ以上のものは得られなかったのだ。 やはりこの戦いはビフテキの圧勝になってしまうのである。 手応えのある漫画肉でなくてはやはりビフテキの相手には ならないのである。私の戦いは終わらない。 まだ真っ白に燃え尽きることはできないのだから・・・。 |
| 聞くところによればもう一つの有名店ヤンパオの漫画肉は 豚のロース肉だそうである。それでもだめなのだ。 なぜならば豚では牛には勝てないからである。 もし同系の動物であるならば豚ではなくイノシシでなくては ビフテキとは勝負にはならない。原始人の食べる肉といえば マンモスとイノシシである。しかし、このままいくと 「シベリアに凍りづけのマンモスを求めて」とかいう 冒険企画をやらなくてはいけなくなる。 さすがにそれはきつい。 ビフテキに対抗し得る漫画肉を探すことが ビフテキとしての私の今後の戦いになるのであろう。 「それでこそ私のライバルだ!」 と私に言わせてくれる漫画肉の登場を待つのみである。 |