これは1995年ごろに書いた古いレビューです。順次置き換えます。
注意:これは大学生当事に、買い足しながら書き足したもの。2回聞いただけの初期印象で「好きじゃない」とか書いちゃったりしてるんで、今の感想とは違う。とくに初期作品が不当に低く評価している…
書き直したいと思ったため消していたが、ちっとも時間が取れないので、誤解を受けるかもしれないが、再公開。
マザーズ期(1) |マザーズ期(2) |変革期 |安定期 |終期 |死後
December 1994
シンクラヴィアによる現代/前衛/映画音楽と、おしゃべりだけのものと、演奏付きおしゃべりのと3つに分かれる。(区別できないが、アンサンブルモルデンの演奏も混ざっているらしい。)
一応、「バレエ」としての台本が付いてくる。
おしゃべりは「ピアノの中で現世の不死の子馬や羽の生えた子豚におびえて暮らす人々」の会話で、「ランピー」と重複する。とってもクレイジーで、それなのにリアルで不思議。間の取り方がすばらしいので、英語がわからなくてもそれなりに聴ける。
音楽の方は、やっぱりハーモニーがないシリーズ。リズムを刻むドラムはあまり入っていない。しかし、怒濤のピアノが美しい。繊細なフルートがたまらない。多く含まれている打撃音のみの部分もトリップだ。生楽器シミュレート以外に,'88年ツアーでたくさん聴けた奇怪な効果音が「効果としてではなく」前面に出されている。
聞き易くはないが、「空気」のようにとけ込む作品かもしれない。悪い意味でもよい意味でも聞き流せるし、それで頭に残る。サティのいう「家具の音楽」に近いのかも。
ただ、疲れる。
この中の一曲[Amnerika]は、かつて「シングフィッシュ」で「エヴィル・プリンス」として演奏されていたものの別アレンジ。ここまで繊細で感傷的な曲は、ザッパでも珍しいのではないか。
February 1996
基本的に、発表済み作品の別バージョン集。MOIとしてメジャーデビューする前のライブやデモテープもあり、なんとビーフハートが歌っている曲もある。Over-Nite Sensationの頃のバンドによる(つまり、ルースとデュークとポンティがいるバンド)[Inca Road] [RDNZL]は、きいてみる価値がある。
個人的には、[Drafted Again]のゆったりとしたバージョンである[I Don't Wanna Get Drafted]に、一番感心した。
October 1996
これは、1977年にリリースされるはずだったLP4枚組みに、ボーナストラックを足したものである。ほとんどの曲は発表済みだ。なぜなら、このアルバムは解体されて別の4枚のアルバムとしてリリースされたからである(In New York, Studio Tan, Sleep Durt,Orchestral Favorites)。以上のアルバムに入っていない曲でこのアルバムに入っているものは、すべて初出(後のアルバムに入っていても、それは別テイク)。
その他では、タイトル曲[La:ther](live in NYのI promiss not to come in your mouth)ボーナストラック[leather goods]がすばらしい。
さて、大作「グレッカリーペッカリーの冒険」だが、これは既にリリースされているものと演奏が違う。正しくは、より楽器が多い。どうも、単品リリースの際にミックスから外したらしい。確かに、それらが無い方がメロディがはっきりする。マニアの人は聞き比べてみるのもよいだろう。
というわけで、マニアじゃない人は、個々のアルバムを買えばよいのでは。そちらのアルバムに入っていて、このアルバムに入っていない曲もあるわけだから。
April 1997
未聴。
なんと、またコンピレーション版が出てしまった。これはZappa本人の選曲といういわく付きである。
作品は歌もの中心で、いわいる「私が嫌いな」選曲であった。ザッパ本人はこれらが好きなのね。なお、ほとんどが未発表テイクとのこと。
ちなみに、ザッパ全作品中もっともジャケットのセンスがよい作品かもしれない。死後だけ合って、アートワークコントロールが別の人に移ったからかな?
July 1997
未聴。
ありゃりゃ、コンピ連発だぜ。こっちは「現代音楽っぽいシリーズ」。既に発表済みのテイクばかりらしく、評判は芳しくない。
June(? ) 1998
6月に気がついたら出ていた新作。歌ものコンピレーション版。なんと値段が$6.98だったか$6.89である。1$=140円でも1000円いかない。日本でいうところの「名作復刻版シリーズ」みたいな扱いなのだろう。これでzappa初心者をzappaに引きずり込もうってな魂胆なんだろうが、rykoよ、それでいいのか? (何枚ベスト仕様をだせば気が済むんだ!)ZAPPAの特徴って、「歌もの」で伝わるのだろうか? 後の購買意欲を喚起するためには、ZAPPAのギターが活きた楽曲を集めた方がいいと思うのだが…
CHEAP THRILLというのは「ルービン&ジェット」の歌のタイトルではあるのだが、いちおう$6.98ってのをアピールしているんだろう。
なお、ジャケットは最悪である(ToT)
Oct 1998
ザッパは自主レーベル「ZAPPA RECORD」を持っている。でも、はじめは普通のメジャーレーベル(ワーナーだったっけ? )からデビューした。だから、作品の版権を買い戻すのに、裁判という手間とお金がかかった。そのような苦労をして、初期作品の版権は無事ザッパの手に戻り、順次「ZAPPA RECORD」から再リリースとかCD化を行えるようになった(いまはRYKOが配給してる)。
版権を取り戻した時、記念として過去作品ボックスセット「オールドマスターズI, II & III」が発売された。その時、「謎のディスク」として、未発表曲集が添付されていた。
本作品は、そのボックスセットのおまけディスクにちょこっと曲を追加したものである。
内容的には、オリジナルマザースとデビュー前の未発表曲。といっても、半分くらいは「会話、インタビュー」である。更にいえば、一部は「Lost Episodes」として再発表済み。また、後半のオーケストラ同伴コンサートの模様は、その完全版が「Ahead Of Their Time」として発表されている。(ということは、たぶんザッパはこれをCD化する予定はなかったのだろう。)
というわけで、マニア以外は買う必要はないだろう。
しかし、このアルバムでしか聴けないギターソロがある。これがまたよいんだ。個人的なオススメをピックアップしよう。
なお、ジャケット裏についてくるカル・シュンケルのイラストが酷い。1980年以降のカルの絵は、それ以前にくらべると圧倒的にレベルが低いと思う。1990年代は、いわんや。
April(? ) 1999
未聴。
廉価シリーズ2作目。今度も軽目の歌ものが半分を占めているが、残りはインストゥルメンタルの作品になっている。第1作目よりはひとに薦められるかもしれない。−−けど、どうせなら「ギターソロが凄いんだぜ」っつう作りにして欲しい。
Dec22 1999
日本限定企画版。7回忌。日本のアーティストが選ぶベスト。SUGIZO、PANTA、エルマロ、山本精一、下山淳、谷中敦。この6人がそれぞれ1枚を担当。
収録曲とかまったく不明です。僕は聴きません。
Feb 2000
3月6日、新宿タワーレコードで発見。 Yellow Sharkのリハーサル(打ち合わせ・練習など)の録音の編纂モノだそうな。 Zappa自身がギターで参加しているらしい。4580円。高ーい。
日本独自版のようで、Rykoのカタログには入っていない。
死後もなぜか新作が出てしまうフランクザッパ。実は「正式」マテリアルがあと5つほど残っているはずなのだが、ザッパレコードの社長でありザッパの妻であるゲイルが、RYKOにリリース権を与えていないらしい。残念だ。−−ちなみに、残っているのは「ヴァァレーズ作品をアンサンブルモルデンと演奏したもの」「新たなるシンクラヴィア作品」がはっきりしている。あとは、謎。
ところで、ドィジール(ザッパの息子)監修で、「FZ Plays music of FZ」というヤツが1997年8月にでているらしい。ライブテイク集で、ブラックナプキンス、ズートアリューアスとイースターのスイカが入っている。でも、通販オンリーのため、モノを見たことがない。