Deprecated: The each() function is deprecated. This message will be suppressed on further calls in /home/zhenxiangba/zhenxiangba.com/public_html/phproxy-improved-master/index.php on line 456
狼少年 – Telegraph
[go: Go Back, main page]

狼少年

狼少年


.

.

.

.

.

.

.

(※予想より口調がクール系かつ怜悧だった……しかしそれも精霊、人外の者らしくて良いですね…!!!

そして、冒頭のちゃかぽこはもしやドグラ・マグラから…?その後の形容する文章も含めて、文学的で、神秘的な水精の姿が鮮明に表されていて良き…!!!)


【ちゃかぽこ、ちゃぷりと水面が鳴り、僅かな波紋が見え……】


『誰』

ぇ……?

っ、……!!!

【そちらに顔を向けたとたん、慌てて飛び退こうとする小柄な狼人。

蛇が首をもたげるが如き、致命的な危機感を得る動作で彼を見るのは、恐らくなにかの魔物なのだろうか?

ここまでヒトに近い種は、灰毛の狼人は初めて見た。】


ヒッ……ぁ……ぁぁっ……!

【ヒトに近い、しかし精霊が故の魔性かつ純粋なる美しさを持つ顔付きに──そもヒトあるいは見た目が似た種族の雌と触れ合った記憶など無い年若い狼人はそれとは分からず、それ以前に自らでは到底敵わない、上位的な存在であることを本能的に察し────畏怖に身体が震え尻尾が勝手に巻かれ……飛び退いた慣性のまま思わず後ろに転げ、ばしゃりと水を跳ね飛ばしつつ尻もちをついてしまう。】

【つい先ほどまで必死に解放を求めていた雄は、主人の命の危機と、目の前の超自然的な存在が機嫌を損ねていることに、今はその機会ではない、主人を守るため血流を渡そうと判断したのか……尻もちをついたことで広げられた脚の間、深い毛皮の中で萎えて縮こまっていた】


き、きみ、は………だれっ!!?

【自らに近い箇所につく耳や蹄を持つ脚は、狼人にとってはこの森に迷い込んだヒトが乗るイキモノ、馬に似ていて。

水草のような緑の髪に、ヒトのごく若い雌に近い体つき、水気のある皮膚を覆う薄くしなやかな透明な鱗状の組織と、手指の水掻きと爪を、こわごわと見遣り……未知のモノと対峙している実感に、】


さかなの、しっぽ…、?

【腰から生えた自らとは違う、魚類や両生類を彷彿とさせる鰭のある尻尾、ぴちぴちとうねるそれは恐怖の中でも鮮烈に残って。

そういう場合ではないが、思わず目を奪われてしまう】


『....水浴びに来るなんて、不用心。

ここ、私のナワバリ....私の場所。』


あ、あなたの…なわばり…、!

【本能で理解した狼人は、本格的にガタガタと震えだした。

縄張り。一人で暮らしていた狼少年にも当然分かる。自身の縄張りも持っているし、野生動物や他者の縄張りに入り、荒らすことすなわち……死だ。

ましてや、目の前にいるのは野生動物でも一見魔物でもない推定上位存在。

何をされるか分からない、】


あ、…ぁぁぁ、……うぅっ、ひぐ、ぐすっ…………

(ごめんなさいごめんなさいごめん、なさい……っ!おねがい、です……いのちだけは、ゆるして、ゆるして……!)

【灰色の瞳が圧倒的な恐怖と罪悪感に揺れに揺れ、軽い癖っ毛な全身の灰獣毛はぶわっと立ち。いままで使ったことのない敬語、それを生き残ることを模索している脳は必死に絞り出し────しかし、あまりの恐れに懇願は嗚咽に変わり、言葉の意味をなさず。ただ大粒の涙が、ぼろぼろと目尻から溢れていく】


『"水妖精馬"(ケルピー)は、ナワバリへの

勝手な侵入を許さない。....ちなみにここは

つい昨日ナワバリにしたの、教えるから。

これでも譲歩してる....退きなさい』


け、けるぴー……?

わ、わかった……どく、どき、ます……!

【水妖精馬、ケルピー。擬態能力を持ち、

縄張り意識の強い水棲の妖精種の一種。

水上を歩行したり走ったりする事が出来る。

しかし、そのような存在にはあまり出会ったことのない狼人には……聞いたことのない語感の名前も含めてなにかとても、とても恐ろしく美しいモノに見えて】

【尻尾も支えにして懸命に立ち上がろうとしたが、脚は震えもう一度尻もちをついてしまう】


『............?顔も、身体も痩せてる。

どうしたの、餌....充分に食べてないの』

ぁ…ぁ………………?

【……しかし、懇願が出なかったことが、今回は功を奏したようだ。

どうやら子分になるか逆に従えるかとは別の基準、それ以外の庇護すべき者と判断されたらしい……

一向に来ない死と、その言葉を聞いてゆっくりと顔を上げ、一筋の希望にすがりつくような目で水妖精の顔を見て】


は、……………はい……っ!

【震える可憐な声で慎重に、しかし必死かつ素直にそう答えた。

それとともに……先ほど水を飲んだ、つまなにかを口に入れたからだろうか。

胸や腰や腿に比べれば比較的毛皮は薄く、臍が透けて見えるよく見る狼人といった痩せこけた腹から…ぐう、と盛大に音がなる。】


あっ……っ!

【普段ならそれは食べられるもの(どんぐりの類やベリー系の実、小動物に弱い毒のある茸など)を食べなければならない合図、別段恥ずかしがることもない……どころか捕食者や魔物に居場所を教えてしまう……のだが。

どうやら、気にかけてくれているらしい声色の水妖を前に……小柄な狼人は物心ついてから初めて羞恥心というものを覚えた】


えと……あの…………

【かあっという狼耳までの謎の火照りとともに、先ほどまでとは逆になぜか、急に目を逸らしたくなり…………もじもじと少女的な動作で、痩せ細った腕でお腹を押さえ、本人には未だ理解不能な羞恥に灰色の瞳をそらす。】


【なお、(精霊ならば気配や精気の流れなどで思春期まさに入りたての雄と分かるかもしれないが)一見、可憐な顔に瞳、小柄で細く、胸や太ももや腰回りの毛皮が分厚いため……性別は分からないが、狼人は思春期まさに入りたての雄だった。】


Report Page