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紫煙伝‐清雲高校怪氣事件簿‐ -   二十七服目 怪氣学園S(3)
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  二十七服目 怪氣学園S(3)


 煙草の煙を改めて浴びた一行は、下の階から千桜の捜索を開始した。


 保健室、生徒指導室、生徒会室、会議室の順で、最初に寄った職員室で借りた鍵を使い、中へと入る。だが、いくら念入りに調べても千桜がいた痕跡は存在せず、千桜が入れそうな大きな備品を見つけても中に彼女は入っていない。


「というか、最初の襲撃以来……襲撃ないのは変じゃねぇか?」


 球技用の体育館でバスケ部が練習をするそばを、こっそり通過し、館内の倉庫をみんなで調べている最中、璃奈はバレーボールの入った(かご)を動かしながら言った。


「アタシだったら、間髪入れずに次の()(かく)を差し向けるけどな」


「敵が方針を変えたんじゃない?」

 ハンドボールの入った(かご)を調べていた陽が言った。


「またワンパンでやられる可能性があるから、今度はちゃんと罠を張ろうとか」


「ええ~? じゃあ、私達が罠に掛かるまで……何も起きないって事ぉ?」

 じゃあこんな事して(なん)の意味があんの、と言いたげに、美彩はキンボールの調査をやめて座り込んだ。下手をすれば下着が見えかねない座り方だ。


 須藤の取り巻き達は思わず視線を彼女に向けた。

 その直後、彼らは霧彦による手刀を頭に受けた。


「白ギャル二号よ、確かに何も起きないかもれん。じゃがのォ」

 するとそんな美彩を見たカノアが、()(けん)(しわ)を寄せながら言った。


「だからと言って調査をやめては、大事なモノを見逃すのじゃ!! もしかすると連中のなんらかの手掛かりが残っているかも知れないのじゃ!!」


 カノアもカノアで、千桜を見つけられない事でイライラし始めていた。

 それだけ彼女の事を心配し、そして彼女を情報屋として雇ってしまった事を後悔しているのだ。


 すると、それを表情から察したのか。

 美彩も()(けん)(しわ)を寄せて「後悔してんならさ、最初から戦いに向かない子を巻き込まなきゃよかったじゃん」と小声でなじった。


「なんじゃと!?」

 その一言により、ただでさえイライラしていたカノアの怒りが……ついに沸点を超えた。


「ワシだってな!! ワシだってな!! チハルを……みんなを、本当は巻き込みたくなかったのじゃ!!」


 カノアは、調べていたチンロン用のボールの入った(かご)を蹴飛ばし叫んだ。

 途端に、その場の空気が悪くなる。璃奈も、霧彦も、陽も須藤の取り巻き達も、思わず唖然とした。態度を変えないのは美彩くらいだ。彼女はイライラした表情のままカノアを見つめた。するとカノアは、それが(かん)(さわ)ったのか、さらに言った。


「だけど……どうしても、調査には現地の人達の協力が()るのじゃ!! じゃから……じゃからワシら煙術師は!! 霊媒師はッ!! どんな思いでみんなに協力をしてくれと、仕事の(たび)に頼んでいると思うのじゃ!!?」

 それは彼女の、心の底に溜め込んでいた思いだった。


 ――自分を始めとする少数のみしか、解決できない事件。


 カノア達煙術師を始めとする霊媒師は、幽霊関連の事件を、普段そんな風に解釈している。見える者にしか対処できないのだから当然である。

 そしてそれ(ゆえ)に、カノアを始めとする霊媒師は、常人以上に責任が重く、そしてそれに(ともな)う責任感が強い。常人には見えない世界を管理せねばならない責任感が。


 しかしだからと言って、除霊や浄霊の前段階――対象の情報の収集まで彼女達が完璧にできるとは限らない。なぜなら、現場周辺の一般人によって隠蔽(いんぺい)されている可能性もあるからだ。除霊を効率化するために、除霊中に発生する事故の被害を、できる限り抑えるために、どうしても知らねばならない……幽霊が出現する原因に関する情報が。そしてそれを現地人から引き出せるのは、同じ現地人だけ。外から来た者では、どうしても怪しまれてしまってダメなのである。


 だからこそ霊媒師達は、時に情報収集などのため……現地人に協力を求める。


 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「……クロードくん」

 ようやく我に返ったのか。

 霧彦は気を引き締め直し、カノアへと歩み寄り肩を掴んだ。


「君の気持ちは充分過ぎるほど分かった。だからもう、落ち着け」


「ッ!! ……風紀、委員」

 そしてその言葉で、ようやくカノアは冷静さを取り戻し始めた。


「……スマヌッ!! 思わずカッとなったのじゃ!!」


「ほら美彩。アンタもアンタで言い過ぎ」

 そして璃奈も、さすがに友人が言った事は失言だと感じていたのだろう。溜め息を吐きながらその肩を叩いた。


「……ゴメン」

 言われ、美彩は……まだイライラしているためか納得がいかなさそうな表情ではあるものの、素直に謝った。


 そして改めて、体育館倉庫内の調査が(おこな)われようとした……その時だった。


 ゾワリ、と。

 その場にいる全員の背筋が寒気を覚えた。


 霊媒師という存在は幽霊視ただけである程度の情報は得られると思うけど、それは幽霊の視点からの情報であってその他大勢の視点からの情報ではないですよね。

 なので事前の調査は必須。そして少なくとも情報収集にTVを利用しようとする霊媒師はあまり信用できない。なぜならば他者(幽霊)の人生が面白おかしく改変されかねないのにそれを看過するから。それは死者に対して失礼だ。


 TV出たかった幽霊は別として(ォィ

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― 新着の感想 ―
[一言] ううむ、霊媒師の矜持、カッコイイっす!
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