二十九服目 怪氣学園S(5)
口を塞がれ、うまく呼吸ができなかった。
璃奈も。カノアも。空気を求めてその場で暴れた。
しかし彼女達の口を押さえている幽霊の力は緩まない。
幽霊という、物理法則に囚われにくい存在であるが故に。
向こうの攻撃はこちらに通るのに、逆にこちらの攻撃は向こうに通らないという理不尽な現象が起きているが故に。
須藤の取り巻き達は、壁に激突させられ気絶している。
人間相手であれば戦えるだろうが、相手が幽霊なら仕方ない。
霧彦も同じく壁に激突したが、彼にはまだ意識があった。
だがダメージがあるのか、立ち上がるのはさすがにできなさそうだ。
美彩はあまりの状況に呆然としている。
陽は倉庫内の球を幽霊に投げ付けたりしているが、幽霊の起こす理不尽な現象故にダメージは通らない。
――……どうやら、助けは望めない。
ならば、とカノアは戦術を切り替える。
パイプ煙草抜きの場合の、霊媒師の基本的な攻撃手段……すなわち純粋な霊力による攻撃へ。
カノアの霊力が一時的に跳ね上がる。
全身から、見えざる衝撃波としてそれを放出する。
幽霊は悲鳴を上げた。
だがそれだけだった。
幽霊を構成する霊子や幽子やエクトプラズミック細胞が削られる攻撃を、真正面から受けたにも拘わらず……彼女はカノアと璃奈を拘束し続けた。
まさかこの幽霊も、カノアを突き飛ばした少年の幽霊のように〝バックアップ〟を受けているのか。そうでなければ、その身を削られる激痛のあまり、手を放しているハズだ。
しかしカノアは諦めない。
パイプ煙草の煙による浄霊を封じられた以上、あとは霊力の放出による攻撃しか残されていない。ならばそれに賭けるしかない。
そしてカノアは、再び霊力を放出しようとして……意識が暗転した。
※
最初、カノアと璃奈は酸素不足でブラックアウトしたのかと思った。
だが違った。
それはTVのチャンネル切り替えの際の、一瞬の間のようなモノ。
そして、二人の視界は。
幽霊しか見えない光景から。
幽霊がかつて見た光景へと……切り替わった。
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天井と、複数の男に囲まれている光景を……二人は見た。
清雲高校の男子生徒だ。彼らはこちらを見てニヤニヤと嗤っている。
嫌な予感がして、自分が知る光景ではない事を忘れ、思わず二人は、それぞれ同時に体を動かそうとする。
だが動かない。
その両手と両足は、三人の男子生徒によって拘束されている。
そして、さすがの二人も。
幽霊に見せられている光景の正体を、いい加減に理解した。
――まさか、あの幽霊は……ッ!!
だが、理解したところで無意味だった。
カノアと璃奈がそれぞれ見ている映像の、正面に立つ男子生徒が己のベルトへと手を掛け、そして――。
R15やR18にはせん予定です。
後々明かす事実に関しても、いろいろ■■で隠そうかね(意味深(ぇ