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サイコフットボール 〜天才サッカー少年の双子は本当のテレパシーが出来て心が読めるサイキッカーだった!〜 - ノーチャンス
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サイコフットボール 〜天才サッカー少年の双子は本当のテレパシーが出来て心が読めるサイキッカーだった!〜  作者: イーグル
第3章 熱き関東大会の戦い

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ノーチャンス

「くっそー! あんな位置から蹴ってくるなんて!」



 此処まで病み上がりにも関わらず、好プレーで風元ゴールを守っていたが予期せぬ超ロングシュートを前に、流石の宗二も対応が間に合わなくて悔しさを見せる。



「滅茶苦茶落ちてきてキャッチミスした……あんな落ちるドライブ初めて見たぞ……!」



 岸岡としてはキャッチで完全に止めきるつもりだったが、急速に落ちて来るドライブに驚いてしまう。



「とにかく時間まだあるから攻めようよ! 此処まで来たら1点差負けでも10点差負けでも変わんないし!」



「そんな大差は付けられたくないけど、そうだな。行くか!」



 切り替えて攻撃に出るしかないと、1年の智が声を出すと手を叩いて皆を励まし、キャプテンマークを巻く新太は再び戦う決意を固める。



『さぁ、均衡が破れた桜見と風元の試合。風元としては攻めるしかないでしょう!』



『攻撃力はありますし、時間もありますから充分に追いつけると思いますよ』



 キックオフで試合が再開されると、風元は同点ゴールを狙いにサイドの野本兄弟2人を起点に、桜見陣内へ攻め込む。



「左はいいから右ー!」



 すると与一は新太のサイドを無視して、逆サイドを走る智の動きに気をつけろとコーチング。



「楽斗! 10番じゃなくて5番行ってー!」



「(え、あっちかよ!?)」



 楽斗の目には中央から前へ上がって行く加藤の姿を捉えるが、輝羅は彼を無視して5番の方へ行けと伝えた。



 心を読んで10番の彼が単なる囮というのは分かり、本命は智と5番の和坂によるワンツーからの突破。



「(此処で和坂先輩に!)」



 智の目前まで霧林の迫り来る姿が見えると、智は左足で近くの和坂へパスを出す。



「(マジで来たぁ!)」



「!?」



 和坂へ通る前に楽斗の右足がボールを弾き、西村がキープする。



『桜見、パスを読んで風元自慢のサイド攻撃を止めた!』



「カウンター!!」



 楽斗が叫ぶと、霧林は右サイドを走って西村からのパスを受け取った。



 霧林のドリブルを警戒していた風元DFだが、彼は右足で風元DFラインとGKの間を狙い、海東を走らせようと企む。



「(狙える! 2点目!!)」



 霧林のスルーパスに反応して海東はスタートダッシュ。



「(通すか!!)」



「わぁぁ!?」



 だが、2点目は絶対やらんと宗二が芝生の上を滑ってボールへ右足を伸ばす。


 渾身のスライディングが海東のボールを取ったタイミングで捉え、球が弾かれて海東は派手にフィールドへ転倒。



 主審はボールに行ってると判断し、派手に倒れたのを見てもファールは取らずにプレーを続行させる。



「カウンター!!」



 宗二がボールを前線へ蹴り出してから、風元は速攻を仕掛け返す。



「(高いボールは信じられないけど、あの小さいキーパーには効かない。だったら低く!)」



 新太までボールは繋がって中央に智が走り込むのを見ると、グラウンダーの速いパスを放り込む。



「はい、ナイスパスっとー♪」



 その速いボールを与一が自分にパスが来たかのように、インターセプトで奪い取っていた。



「(しまった! 低い所だと向こうに分がある……!)」



 与一にボールを取られて新太は内心、やってしまったと頭を抱えたくなる。



『シュートを撃たせない神明寺与一! この試合で風元は未だに決定的なシュートチャンスを迎えられていません!』



『攻めてはいるはずですけどね、大事な所で全部止められています』



「(まだまだチャンスはあるとか言ってたけど、そんなチャンスあげる訳ないでしょ)」



 先程、智の言っていた言葉を輝羅は覚えていて、彼らは嫌でも知る事になるのかもしれない。



 本当は得点チャンスが何処にも無かったのだと。




 後半に入ると若葉達、控えが出て来て体力を消耗した選手達に代わって戦う。



 一方の風元は野本兄弟を変えず、積極的に攻め続ける。



「サイド無視して中央ー!」



 与一は野本兄弟による両サイドのデコイ作戦を見破り、中央突破が来ると指示を送る。



 それに応えるように影二が気づかれる事なく忍び寄って、中央から攻めてくる相手からボールを奪い取った。



『奪い取った闇坂、ナイスプレーだ!』



『彼は何気にセカンドボールを結構取って、攻撃を断ち切ったりしてますからね。縁の下の力持ちが居てくれるのはチームにとって非常に良いと思われます』



「良いよー! ヤミー今輝いてるよー♪」



「(目立ってる僕……何か調子が良いかも……!)」



 後ろ向きな性格の影二だが、活躍を続けていく内に少しずつ前向きになりつつあるかもしれない。



 そんな彼に与一は称賛の声を送る。




「はぁ……はぁ……(結構攻めてるはずなのに……何なんだ、この1点の遠さは……!?)」



「(エリア内でシュートできないよ……!)」



 前半から相当動いていた野本兄弟の2人も、汗が滴り落ちていく程に疲労が大きくなってきて、与一と輝羅の壁を前に心が折れ始めていた。



 その折れていく心は与一と輝羅にも伝わる。




「あの2人は交代しなくていいのかな……?」



 ベンチで自らを扇子で扇ぎながら、遊子は神明寺兄弟の2人をそれぞれ見る。



 他の選手達が交代で入れ替わり続ける中、与一と輝羅だけがフル出場を続けたままだ。



「兄さん達は平気だと思う」



「え?」



 遊子が双子の体力を心配する一方で神奈は2人の体力切れを心配はしていない。



「2人が守り疲れた所なんか1度も見た事が無いから」




 風元のDFラインで守る宗二は信じられない光景を目にしていた。



「(あれだけの攻撃を受けて、守り続けて……疲れないのか!?)」



 兄の新太や弟の智が中心となって、何度も桜見の壁に向かい続けているにも関わらず、一向に壁が破れない。


 まるで何よりも巨大で分厚い壁がゴールに聳え立つようだ。



 普通なら連続攻撃を受け続ければ、ミスに繋がって守りが崩壊していく。



 だが、与一と輝羅が中心となっている守備は一向に崩れないのだ。



「(神明寺っていうのは……父親だけじゃなく息子も化け物かよ!?)」



 神明寺の名を持つ者達、その強さと巧さを知って気づく。



 彼らの前では得点の機会など存在せず、ノーチャンスだったという事に。




『(彼ら、もう限界みたいだよ)』



『(やっぱ60分フルタイムをあのペースで保つのは無理だったねー)』



 与一と輝羅の視線の先には、疲労困憊で支えられながらベンチに下がっていく野本兄弟2人が見えた。



 同点ゴールを狙おうと再三狙い続けたが、とうとう彼らの体力の方が底を突いてしまい、これ以上のプレー続行は不可能となる。



「流れはこっちだよー! もう1点行こうかー!」



 要の2人が去った事で左右のサイドに厄介なのがいなくなり、与一は再交代した霧林と室岡に向かって声を出す。



 終盤に桜見は両サイドに加えて、若葉の攻撃参加から風元の守備を崩し、楽斗の右足がダメ押しの2点目をもぎ取った。



 これで勝負は決する。




『試合終了ー!桜見中学、神奈川の強豪である風元中学を破って全国大会への出場切符をその手に掴んだ!!』



 キャプテンの竜斗が不在の中、桜見は風元を下して全国大会出場を決めてみせる。



 試合終了の笛が鳴り響く時、彼らは夏の暑さや試合の疲れの事など忘れてフィールドの上で歓喜の輪を作っていた。



 桜見2ー0風元



 海東


 楽斗



 マン・オブ・ザ・マッチ


 海東宗太郎

与一「全国大会出場ー♪」


輝羅「やったねー♪」


楽斗「なんていうか〜、俺ら悪者っぽい感じしないかなぁ?」


影二「主人公チームだけど逆転勝ちとか……そういうの無いよね……無失点で決めるのは中々無いから……」


与一「だってそれが僕達のサッカーだもんー」


輝羅「失点なんか一切通さないってね♪ 次回は竜斗への見舞いで、彼の家へ全国出場の報告へ向かいまーす!」


与一「確か彼って、結構な豪邸住んでるんだっけー?」

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