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黒銀ノ死神~職業無しなのでパーティーを追放されたが、特異職業“処刑者”だった事が判明。処刑鎌を極めたら最強になりました。今更戻って来いと言われてももう遅い。拾ってくれた美女とパーティーを組んだので!~ - 第78話 敗北への反抗
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第78話 敗北への反抗

 天高く昇る太陽。

 吹きすさぶ麗らかな風が俺の前髪を揺らす。


「ふぉ、ふぉ、ふぉ! おはよう諸君! 中には初めましての者もおるかもしれんが、今日から帝都騎士団長に復帰するフェルゴ・メラムじゃ。急な変更に色々戸惑う所もあるかと思うが、またよろしく頼むぞ」


 今日という日が清々しい朝を迎えているという事が如実に表れ――。


「色々と伝えなければならない事があるわけじゃが……。まずは本日から帝都の客将として、我が騎士団の訓練に参加してもらう事となった冒険者諸君を紹介しようかの!」

(はぁ……視線が突き刺さるってのは、こういう事を言うんだろうな……)


 朝風を感じながらの現実逃避だったが、俺達を射抜く視線の嵐によって止めざるを得なかった。


「まあ、昨日痛い目に合わされたお主らからすれば、今更紹介も何もないじゃろうがな!」

(ワォ、これまた一段と視線が鋭くなった)


 夕食兼、会合を終えた翌日――。

 この爺さんと共に騎士団の前に立つ俺達に向けられているのは、困惑と不満が半分ずつ混じり合った視線の嵐。豪快に笑う騎士団長とは対照的に歓迎ムードは皆無だった。


「その、質問なのですが……」

「ん? 構わんぞ。言ってみろ」


 しかし、そんな最悪な空気は、利発そうな顔つきをした少年騎士によって断ち切られる。


「先日の戦いで冒険者たちにも実力者がいるとは理解出来ました。帝都を狙う者がいるという事も同様です。ですが、なぜ彼らの力を借りる必要があるのでしょうか? ましてや、客将なんていう身分を与えただけではなく、僕達と同じ訓練を受けさせるだなんて……」


 少年騎士の発言は、恐らくこの場に居る騎士達の想いを代弁したもの。


(――曲がりなりにも自分達のトップだった騎士団長と一部の幹部が突然入れ替えられた上に、身分の低いはずの冒険者が自分達が同列……いや、帝都からお客さん扱いを受けている。まあ、戸惑うのは当然だよな)


 昨日、新騎士団長に就任したこの爺さんとの会合の中で、共同戦線に関する合意事項が幾つか決められた。勿論、細かい事は騎士団長やランドさんとの間で詰められる事になっているから、あくまで仮、だが――。

 そのうちの一つが今の俺達の状況――冒険者と騎士団による連携強化の為のテストケースだという事だ。


「うむ。儂はそう判断したし、騎士団以外の高官を黙らせられるだけの交渉材料も揃っておるよ。冒険者ギルドの方も協力の姿勢を見せてくれておるし、疑いようも無かろう?」

「ですがッ!」

「ふむ、彼らの参入に納得がいかないということかのぉ? まあ、お主だけではなく、他の者達も同様の様だが」


 騎士団長は不満げな顔つきしている騎士達を前に、皮肉気交じりに肩を竦める。剣呑な雰囲気を前に飄々(ひょうひょう)としている態度からして、予想の範囲内と言わんばかりの余裕っぷりだ。


「――ええ、正直彼らが我々の戦列に加わることに対して、嬉しく思えるはずがありません」

「そうです! 冒険者の力を借りる必要なんてありませんよ! 帝都を守るのは自分達の役目ですから!」

「それに貴方や遠征に行っていた人たちだって戻って来て力になってくれるわけですし、わざわざ外部に助力を請うなんて……」


 煮え切らない態度の騎士団長に対し、抑えきれなくなった不満の声が噴出した。


(いくらこの爺さんが嘗てのトップだとはいえ、長い期間離れていていきなり人心掌握ってのも無理な話か。それに騎士団からすれば、この状況は今までの自分達をいきなり全否定されたようなもんだし……)


 昨日の敗戦。

 トップが引きずりおろされ、いきなりの交代。

 自分達の使命を田舎猿と称した人間にも背負って貰う事。


 それは、帝都騎士団という栄誉ある立場を苦労して手にした彼らにとって、この上ない屈辱なんだろう。


「その迫り来る脅威に対して、我々では力不足という事なのでしょうか?」


 そう――自分達の今までと、存在理由(レゾンテートル)を根底から覆されるのと同じなのだから――。


「ああ、正しくその通りだが、それがどうかしたかの?」

「――ッ!?」


 しかし、そんな剣呑な雰囲気は、騎士団長の一睨みで消し飛ばされる。いや、騎士団長の全身から放たれた途方もない威圧感に全て呑み込まれた。


「今回の敵は果てしない力を秘めている。一騎当千と称して差し支えないだろう。そして、奴らが従えるのは首を()ねようが、腕を落とそうが死なぬ狂気の魔獣たち――」


 それは多分、幾度となく死線を潜り抜けて来た歴戦の猛者だけが放てる威圧感(モノ)。団員達どころか竜の牙(ドラゴ・ファング)の面々までもが、騎士団長の一挙手一投足に目を奪われ、圧倒されていた。


「実際に戦った儂らが感じた手応え。現状冒険者ギルドが動かせる戦力。そして、お主ら騎士団と儂ら遠征組。これだけの戦力を結集したとしても、勝ち目はないだろう。ましてやお主らだけなんぞ、一瞬で蹴散らされてしまうじゃろうなぁ。少なくとも儂にはそう断言出来る」

「そ、そんな……」


 騎士団員に至っては、既に何人か膝を付いて過呼吸寸前の者がいるほどの凄まじさだ。そして、騎士団長の発言に俺たちを除いた面々が絶句する。


「はっきり言うぞ。今のままでは帝都は落ちる。確実にな」


 その威圧感もそうだが、彼らからすれば嘗て帝都最強と称された男直々の敗北通知とあって、凄まじい衝撃を受けているんだろう。自分達が敗れればどうなるか――仮にも騎士に選ばれるだけの素養のある人間なんだから、それくらいは理解しているようだった。


 “今のままでは(・・・・・・)確実に勝てない”。


 なら、勝つためにはどうするか。それは奴らが攻め込んでくるまでに力をつけ、現状0%に限りなく近い勝利確率を少しでも高める事。それしかない。


 だからこそ、今俺たちはここにいるんだから――。

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