46 そしてダンジョンの話
魔石確保とレンブンの神聖&精霊魔法のレベルアップを進めるための地下1階行脚。
飛び散る肉汁にもめげず、果敢にゾンビを殴り倒す。
レンブンのバフによって威力倍増しているので、さほど苦労はない。
途中、シラヒメが通路の膝の高さに糸を張り、アレキサンダーが誘き寄せたゾンビを転ばせるという戦法をとり始めた。倒れたゾンビを全員でタコ殴りである。
レンブンの神聖&精霊魔法も無事目標値まで上がったらしく、飛んでく魔法にも火や風が混じるようになった。
ゾンビをストンピングしていたら【蹴り】を習得していたのだが、足の防具にもスパイクとか付けた方がいいのかな。
でだ、途中の壁に違和感を感じたんで、半信半疑のレンブンにファイヤーボールで爆破して貰ったら小部屋があった。称号【ネッツアーの加護】が仕事してるなあ。
小部屋にはミカン箱くらいの木箱があったので、大工道具で解体する。
中身は金貨と首飾りだ。
首飾りの名称は「カルマの銀細工」。効果は精神値UP(微)という装飾品だった。ただし女性用。
2人とも使えないなら売り払おうと思ったが、レンブンが商業ギルドの競売に掛けようと提案してきた。
「競売なんてあったのか」
「こういったレアアイテムなどが良く出てますよ。金の卵など15万になってましたし」
「高っ!?」
サルの手に食わせないならそれが良いかもしれん。
生産部屋を使うために、商業ギルドへの登録を考え直してもいいかもな。
カルマの銀細工はレンブンが競売に出し、後日売り上げの半分を渡してくれるそうだ。連絡のためにフレンド登録を済ませ、下への階段を見付けたのでいったん休憩にする。
結構な量の糸を使ったシラヒメには、以前料理しておいた蛇肉の塩焼きを与えて労う。あの時ほとんど焼いちゃったからな。生肉はボタン肉しかない。
レンブンが物欲しそうな目で訴えてきたので同じものを渡し、俺とアレキサンダーはリンルフの焼き肉をかじる。焼き肉だがいささか厚めに作ったので、ステーキっぽいものになっている。
「これはなんでしょう? 鶏皮みたいな食感ですが、肉ですよね?」
「フォレストスネークの肉の塩焼き。こっちはリンルフ肉の香辛料焼き」
蛇肉と聞いた途端レンブンは動きを止める。正直に蛇って言ったのはまずかったかな?
1度口から離して肉を見詰めていたレンブンは猛然と食べ始めた。水の代わりに牛乳を注いで渡せばまた固まっている。
「ナナシさんといると驚くことが多すぎますよ……」
「ええ……。これでも少ないレパートリーを駆使して料理を頑張っているというのに」
焼く、しかしてないけど。
中々リアルのような料理とはいかないものだ。圧倒的に調味料が少ない。一応料理スキル内にもある程度のレシピ集はあるのだが、塩か胡椒の味付けばかり。あっても調理できないもの、文字が灰色表記なのは材料が足りないからだ。
レンブンのMP回復も兼ねた休憩も終わりにして、この後もゾンビ掃討を進めるかとレンブンに聞いてみた。
「自分としては目標のレベルアップは充分ですし、ナナシさんが良ければ進んでも問題ないと思います」
「じゃあ進んでみてもいいか? 駄目だったら戻るということで」
「構いません。でもこの先は気を付けた方がいいですよ」
「ああ、うん」
対象のよく分からない忠告に頷いたが、地下2階に降りてみて別のことで頭を悩ませることになった。
そこはは全体的に迷路ではなく周囲を見渡せるほどの空間だ。
ただ道がレンガのようなもので舗装されている。迷路要素と言えるのは歩けるのがその道だけということだろう。
あと空間内は湿度が異様に高い。
亜熱帯に近い気候だということか。道以外の場所は水、もしくは移動を妨げられるぬかるみに覆われている。端的に言えば湿地帯、これそのものが地下2階の全容なのだろう。
出現する敵は黄緑色のスライムであるグリーンスライムと、人間の子供のくらいの大きさがあるポイズンフロッグ。
グリーンスライムはノンアクティブらしいのだがその辺の何処にでもいるらしく、気付かずに踏み付けたりすると集団で襲い掛かるようだ。もふもふ撲殺事件並みのトラップじゃねーか。
ポイズンフロッグは水面から舌をこちらに伸ばして絡みつけ、水中に引きずりこもうとしてくる。
まあ、そのカエルが姿も見えないくらいグリーンスライムにたかられ、息絶える姿をみればあっけにとられるレンブンの気持ちも想像出来なくはない。
どうしてこうなった!
いや、称号【スライムの友】のせいだね、うん。
正直この展開は予想せんかった。
周囲をグリーンスライムに囲まれるなんてことは誰が予期するだろうか……。
もう暑くて筆が進みません。
ストックが切れました(苦笑