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異世界チートの牢屋生活~異世界召喚された初日に牢屋にぶち込まれた俺は、そこでニート暮らしを決意した~(異世界チート(ニート)の牢屋生活) - 65話 奮起
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65話 奮起

 レーシャに小言を言う王様という一幕があり話し合いが一時中断された訳だが、一頻り言いたい事を言い終えた王様が咳払いを一つすると一時的に中断していた話し合いが再会する。

 

 だが、一時的とはいえ場が中断した事により、泣き崩れていたクラスメイトも既に泣き止み。どうすれば良いのかと困惑している様子が窺える。


 その空気をどうにかしようとして王様が話を戻そうと口を開く。


「……イチヤ殿、そなたが戦争に参加するというのは本当か?」

「あぁ、本当だ。後、俺が言うのもなんだが……話し合いの場でいきなり自分の娘を叱るというのは感心しない」

「申し訳ない。最近悲報しか聞いていなかったので、レイシアのうっかりで聞きそびれたいきなりの朗報に取り乱した。他の者もすまない」


 王様が立ち上がり、俺達に向けて頭を下げる。その行動に家臣である大臣や騎士団長が驚愕の表情を浮かべる。一国の王様が頭を下げるというのはそれだけ大事なのだろう。すぐに頭を上げるよう懇願され、王様は頭を上げた。



 俺はただ、場の雰囲気を戻して話し合いを進めたかっただけなんだが……まさか頭を下げられるとは思わなかった……



 だがその甲斐あってか、話し合いをする場は整った……その事を感じた王様が再び俺を見る。


「話を戻そう……本当に我が国の為に戦ってくれるのか?」

「悪い王様、俺は別にこの国の為に戦おうなんてこれっぽっちも思っていない」

「……なに?」


 俺の言葉を聞き王様の顔が険しくなるのを感じるが俺は続ける。


「勘違いしているのかも知れないが、前に獣人族が攻めてきた時に戦ったのは大切な奴等を守りたかっただけで、この国の為じゃないぞ。帝国の件に関しては向こうが一方的に悪いが、獣人連合が責めてくる事に関しては、自業自得だろ?帝国と同様にラズブリッタも獣人に対して酷い行いをしてきたんだからな。」

「それは……」

「俺は異世界から来たから他の種族に対して偏見はない。むしろ獣人族やエルフには興味しかわかない。だからこっちの価値観で言ってないのは十分承知している。だけどな……それでも言っておきたい事が一つだけある」

「……」

「弱い者を虐げておきながらそいつが力をつけて反撃してきたからってそんなもの自業自得だ。同情の余地なんてあると思うか?」

「「「「「……」」」」」


 俺の言葉を聞いた大勢が黙り込み、俺は隅にいる米田達三人をチラッと見るとうつむきながらも悔しげな顔をしていた。


「だけどな……まだ一年もこの世界で暮らしていないが、虐げる奴だけじゃない事を俺は知っている」


 アルやレイラ、エヴィにクルエはリアネ達を差別しない。対等に接してくれていた。


「他種族を同じ人間として扱い、共に生きてく事を目標にしている人間を俺は知っている」


 その言葉を聞き、王様は一瞬だけ驚く。そう……王様とレーシャだ。


「だから俺はそいつらと……、大切な者達の為に戦うって決めた。決してこの国の為でもここにいるクラスメイトの為でもない。そこだけは勘違いしないでくれ」

「そうか……それでもありがとう」


 頭を下げて感謝の言葉を口にする王様。その姿を見て次の一言に躊躇う。なんか綺麗に話がまとまった雰囲気が漂っていて言葉にし辛い。

 

 それでも言わなければいけない事ではあるので、思い切って言葉にする。


「何かこれで話はまとまった……みたいになってるんだけど、王様に一つ頼みたい事があるんだ」

「何じゃ?何でも言ってくれ」

「もしこの戦争を無事に乗り越えて、少しでも俺が役に立ったなら……獣人族全員を奴隷から解放してやってくれ」

「「なっ!?」」


 俺の言葉を聞いて驚きの表情を浮かべたのは王様でもレーシャでもなくジェルドと大臣であった。


「それはいくら何でも――」

「わかった」「わかりました」


 大臣が否定の言葉を口にし終える前に王様とレーシャが俺の頼みを承諾する。


「陛下!いくらなんでもそれでは貴族や国民達がなんというか!暴動が起こりますぞ!」

「そこを何とかするのがわし等の勤めじゃろう!今は少しでも戦力が欲しい時……国が滅ぶかどうかの瀬戸際じゃ、これを乗り切れなければこの国が滅ぶというに獣人族を解放するくらいの頼みでいちいち喚くでない!」

「す……すみません」


 声を張り上げ大臣を一喝する王様に、大臣は冷や汗をかきつつ何も言えなくなり、王様は俺に向き直ると必ず実行すると約束してくれた。


「とりあえず俺から言うべき事はこのくらいかな」


 用件を済ませた俺はそう言って締めくくった。後は他の奴等がどうするかだ。



 正直もう帰りたい、後は他の奴等の事だから、このままフェードアウトしたい。



 そう思ったのだが、話の終わった俺を見て委員長が睨むようにして俺を見ていたので、話が終わるまではここにいなければいけないようだ……



「イチヤ殿は戦うと決めてくれたが、他の者はどうする……?先程も言ったように無理強いはせんし、逃げるという選択をした者には申し訳ないが、先程言ったこと以上の事は出来ん……」


 苦々しい表情をする王様。その王様に向かい一つの手が上がる。


「私も鏑木君と同じように戦います!戦わせてください!!」


 委員長が意気込むようにして王様に発言すると辺りからどよめきが起こる。クラスメイト全員が驚愕して委員長に視線が集中した。


「しかしそなたは……」


 そんな中、王様が言葉を濁して委員長を見る。王様が何を言いたいのかはわかる。

 委員長じゃ戦力にはならないという事だろう。この前の襲撃で委員長は獣人族に対して何も出来なかった……ただ獣人族に怯える事しかできなかった。


 クラスメイトもその事を知っていたので、彼女には戦うのではなく逃げる事を選択して欲しい。そんな目で委員長を見る者、心配して止める者など反応は様々だ。


「お願いします!何でもします!だから私にも戦わせてください!」

 

 それでも委員長の決意は固いようで、決して意見を覆す事はなかった。


「わかった。そなたの意見を尊重しよう。ありがとう……」


 王様はそう言うと委員長にも頭を下げてお礼を言った後に、周りを見回す。


「他の者はどうする……?この国としては戦ってくれる事は嬉しい。彼女の意思には頭が下がる思いじゃ。じゃがそれを皆に押し付けることなどしたくない。それぞれの意思というものもあるはずじゃ……まず第一に自分の事を考えて決めて欲しい」

「「「「……」」」」


 自分達を思っての言葉にクラスメイト達は誰も何も言わない。おそらく考えているのだろう。自分達はどうすれば良いのかを……普通に考えた方が逃げた方が良い。死ぬ可能性はそちらの方が低いのだから当然だ。だが委員長以外のクラスメイトは逃げるという選択をする事に迷っているように見える。


 逃げた先――帝国領に逃げたとして本当に自分達が幸せになれる未来がやってくるのだろうか?と考えているのではないだろうか。



 俺の予想だが、帝国領に逃げたところで、もしラズブリッタが滅べば帝国には勇者の何名かが帝国にやってくるのは予想されるだろう。そうなれば領内を隈なく探し、身分を隠して住もうといずれ捕まり奴隷に落ちる。きっとそんな未来が待っている。



 しばらくクラスメイト達に視線を向けるが、誰も反応しない。これではいつこの話し合いが終わるのかわからない。委員長以外のクラスメイトなどどうでも良いので決めるならさっさと決めて欲しいものだ。選択肢など「逃げる」「戦う」「少し考える」くらいしかないだろうに――。


 そう思いながら黙って見ている俺にまたしても委員長とレーシャの視線が突き刺さる。その目はどうしようと言った感じに不安げに揺らめいているが、そんな目をされても俺も困るんだが……


 二人の視線をしばらく無視するようにそっぽを向くがいつまでも突き刺さる視線が感じられて妙にむずがゆいというか……居心地が悪い。非常に悪い。


 俺は溜息を一つ吐き、頭をがりがりかきながらめんどくさそうにしながらも委員長とレーシャになんでもかんでも俺に頼るなという非難の目を向け、口を開く。



 どうなっても知らねぇからな!



「あのさ、お前等いつまでそうして考え込んでるつもりだ?」


 非難するような声に周りのクラスメイト達が一斉に俺を見てくるが、それを無視して俺は続ける。


「そうやってればいつか誰かが答えをくれるとでも思ってるのか?ここは日本じゃないんだぞ、で死ぬ事だってあるんだ。その時、誰かのせいで死んだなんて責任を押し付けたって後の祭りなんだぞ。自分の事くらい自分で決めろよ」

「ちょっと鏑木君!」


 レーシャは驚いた顔で俺を見て、委員長が静止の声をかけるが憮然とした態度でそのまま続ける。委員長とレーシャが頼ってきたんだろうがと心の中で悪態を吐きながら。


「別に逃げたって良いんじゃね?お前等弱いんだし。だけどお前等も危惧してるんだろ?もし帝国に逃げたっていつかは捕まって奴隷にされるって。まぁ戦ったところでお前等じゃあ殺されるのが関の山だろうがな」

「ふざけんなよ!」


 その言葉に一人のクラスメイトが怒声を上げる。さっきのチャラ男と違う今まで話した事もないガッチリとした体躯に坊主頭の男が俺を睨みつけていた。



 この坊主頭には見覚えがある……確か転移初日に戦うと言ってた奴の一人だ。



「ふざけるな?何がだ?」

「お前は良いよなぁ!この世界に来て、チート能力もらってよ!ステータスだって俺達からしたら化物なんだろ。そんな借り物の力で偉そうに語ってんじゃねぇよ」

「だからどうした?」

「は?」


 俺が不思議そうな表情で聞き返すと、坊主が間の抜けた表情をしたのでもう一度聞いてみる。


「借り物の力だからどうした?」

「どうしたって、お前……」

「それを言ったらお前等だってこの世界の人間からしたら十分チートな能力とステータスをもらってるって気付いてるのか?俺がその中でも特にチート性能だったってだけの話だ」


 堂々と言い切る俺に反論の言葉を考えているのか奥歯に力を入れながら考えている。そんな坊主に俺は更に続ける。


「俺のチート性能を見て悔しい気持ちはわからんでもないが……そう思うんだったら少しは努力したのか?」「……」

「獣人族の襲撃の後、お前何してた?」

「それは……」


 その質問に男は押し黙る。委員長から聞いた話ではこの時点で戦う意思があったものは片手で数えられるくらいだと言っていた。この様子だとこいつはあの時の出来事で心が折れてしまった一人のようだ。


「努力もしないで悔しがるだけ。後は誰かが逃げる事を選択してそれに便乗するだけか?実に滑稽だな」


 端からみたらどの口で努力などと口にしてるんだと思われるだろうが、そこをあえて無視させてもらおう。


「なんだ?何も言い返さないのか?」

「この!」

「言い返せなくなったら次は暴力に走るのか?ただ……やるんだったら覚悟しろよ。俺はお前がいうようにチート性能だからな」


 挑発するように告げると、坊主が俺に迫ってきたのでそう言ってやると坊主は足を止め悔しそうに俺を見る。それを見届け周りのクラスメイト達にも聞こえるように声を大にして話す。


「周りの奴等も良く聞け!俺はお前等がどうなろうが知ったこっちゃない。どんな選択しようが興味もない。……でもこれだけは理解しろ。お前等は異世界に召喚された時点で大なり小なりチート性能を持っている。それを踏まえた上でどうするか決めろ!――俺の話は以上だ」


 そう言って話を締めくくる。なんだか戦う事を煽ったようにも思ったがどうでも良い。後はこいつら次第だ。

 

 これ以上は知らんとレーシャと委員長を見ると何故か微笑を浮かべられた。どうやら俺の発言に満足したようだ。正直自分では問題発言の連発だったと思っているのだが、彼女達が良いと思うなら良いだろう。


 しばらくの沈黙が流れたが、おそるおそると言ったように手を挙げる者がいた。


「私……戦います」


 おどおどした感じだが確かな決意を秘めた目で言葉を発する恵を皮切りにぽつぽつと手が挙がる。


「俺も戦う!」

「私も!」

「俺は……戦う能力持ってないけどみんなのサポートをしたい……」

「ここで逃げたらかっこ悪すぎだろ」


 手を挙げた者二十三名。

 その数は異世界に転移した初日よりも多い人数だった――。


 能力的に戦えない者もいるがそういう奴等は全力でサポートするようで手を挙げた者全員の目に戦う意思が宿っていた。


「お前はどうするんだよ?」

「……やるよ」


 いまだにうつむいている坊主にそう問いかけると小さな声が返ってくるが良く聞き取れなかったので聞きかえすと、ふるふると肩を震わせながら勢い良く顔を上げる。


「やるって言ってんだよ!ちくしょう!!!!」


 半ばやけくそ気味に手を挙げる坊主に思わず呆れる。


 こうして総勢二十四名、ほぼ全ての生徒が奮起した――――。

読んでいただきありがとうございます。


仕事の方がまた忙しくなりますが一日一話は必ず更新できるように頑張りますので、応援のほどよろしくお願いします。


ブクマ、評価登録大歓迎!次の更新の励みになりますので少しでも面白いと感じていただけたらぜひよろしくお願いします。


5月23日 誤字報告があり修正しました。ご報告ありがとうございました。

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