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【冬の魔女ア合同】強襲!暗黒料理人邪苦!奪われた氷結包丁!(初稿) - 第四十八話(36~37の途中まで)
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第四十八話(36~37の途中まで)

そして今度は、私の番だ。


義務を果たさなけば。

母から受け継いだ伝統を、この身をもって実現させなければいけないのだ。


そう、決意を固めかけたちょうどその時。

また彼が話しかけてきた。


「さて、落ち着いたところで一つ質問良いか?」


「なんでしょうか?

なんだって答えますよ」


あれ、なんだろう?

首をかしげる。


まさか、なにか失礼をしてしまった?

ご不快な思いをさせてしまったのだろうか?

…いや、そんなはずはない。


私の礼儀作法は代々受け継がれた伝統通りのもののはずだ。

それは間違いない。

だから、問題などみじんもない、そのはずなのだが……


否応もなく不安が高まり、緊張してしまう。


しかし、彼が次に投げかけてきたのは、意外にも当たり前すぎる問いかけだった。


「今がどういう状況か分かるか?」


え?


「今、ですか?」

「そうだ。海賊から逃げられた、その後のことだよ」


どういう意味なのだろう。

よく分からない。


「そんなの簡単ですよ。

それは…」


そう、様々なトラブルを乗り越え、海賊に捕まって、でもその海賊が【北辺海の主】に襲われたから、なんとか自由になれた。


そしてその後に何が起きたのか、

それは……それは……



「もう大変だったじゃないですか。

海賊が」


「それはもう良い。

海賊の後に何があったか、それは覚えているか?」


「えっ?」


その瞬間は、まるで時間が凍りついたかのようだった。

まるで本当は全てが闇であり、私はたった一人になったかのような…そんな感覚。


いけない。

黙り込んでいては、本当に闇が来てしまう…何か悪いことが起きてしまったかのようではないか。


早く、答えないと。


「きっ、きっとすぐに思い出します!

ちょっと待っ…」


けれど、


「いいや、待たないよ」

「そんな!」


彼は待ってくれそうにない。


「さて、答えてもらおうか。

俺は、『神の使い』なんだろ?

だったら、正直に質問に答えてもらっても、バチは当たらないはずだ。

それとも、はぐらかし続けて、なにもかも全部無しにするか?」


「え、えーと、その…」


分からない。

本当に分からないのだ。


「う、うう」


頭が、痛む……


「あ、あれ、やりすぎたか?

おい、ラム!

しっかりしろ!


おい!


おい!


おい!」


あれ?なにを必死に叫ばれているのだろうか…?

わからない、なにも……


いしきが、

だんだん…

きえて…





「元気になったから良いじゃないですか

きっとすべては神々のお導きなのですよ!」


「う、うん?

だ、大丈夫なのか?」


「大丈夫ですよ。私はいつだって大丈夫なんです。

だって、私は、伝統を守り忠実に生きる【心臓】の娘なのですから」


それにしても、こんなふうに気軽なおしゃべり出来るのも、旅に出たおかげだろうか。

こうして笑いながらおしゃべり出来るようになって、本当に良かった。


と、私はそんなふうにのんきに思っていたのだが……


「さて…そうだな。

ええと、以前聞いた神さまの名前が思い出せないんだけど、知ってるか?」


突然、彼は、妙なことをたずねてきた。

はて、一体どういう風の吹き回しだろう?


「神々の名前でしたら、大半は分かります

【里】では、色々な神々をまつっていましたからね

さあ、どうぞなんでもお聞きください」


「すごく有名らしいんだが、子どもを叱りつけるときとかに言う神さまなんだ。

あとは、肉をマズくするとか」


「…さあ、知りませんね」


この方は、一体何をおっしゃっているのだろうか?


「そうか。

くどいようだが、本当に知らないんだな?」


「知りません。全く見たことも聞いたこともありません」


否定する。


知らない。

そんな恐ろしい名前、■■■■■■■など知るわけがない。

絶対に、知っていてはいけないのだ。

だって、アレのせいで…

あの光のせいで、『彼』は……


うっ…頭が痛む…それに、まためまいも……


「だ、大丈夫か?」

「うう…だいじょうぶです!


私は健康です!問題が無い、どこに出しても恥ずかしくない立派な『心臓』ーー食材なんです!」


「…気分が悪そうだし、質問を変えよう」

「はい、あなた様がそれでよろしいのでしたら」


今度は…なんだろう。

今度こそ、ちゃんと答えないと…でないと、私は…私たちの血族は……


そして、彼は問うてきた。

とても意外で、しかし簡単なはずの、その質問を。


「俺の名前は分かるか?」


何を言っているのだろうか。

そんなもの…あれ?


そんな簡単な質問、答えられないはず、ないのに……


分からない……分からないのだ

どうして?


私は一体、どうしてしまったというのだろうか?


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