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【冬の魔女ア合同】強襲!暗黒料理人邪苦!奪われた氷結包丁!(初稿) - 第六十九話(54の途中まで)
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第六十九話(54の途中まで)

そして疲れ果て、何もかもを憎むようになったコイツは、故郷を捨て…というか強引なやり方を続けて故郷いられなくなり…

腹が減って倒れたところを奴隷商人に捕まえられて、角を折られて荷揚げ場に売り飛ばされた。


だが、そんな労働に名家のご出身の“剛腕”くんが耐えられるわけもない。


コイツは、すぐに逃げ出し…そして、今に至るというワケだ。


まあ、コレが縛られながらも、ひたすらこのデカブツの愚痴と自慢を聞き続けてようやく分かった情報なんだが…残念なことに、肝心のことが分からないままだ。


そもそもコイツは、オレを捕まえてどうしたいんだ?


なんとかしてそれを聞き出したいところなんだが、どうにも上手くいかない。

コイツ愚痴と恨み言と“昔は良かった”しか言わねーし。


というか蒸し暑い。

縄の縛りがキツくて痛い。

そして、なによりもツラいのは、この小屋がひどくにおうことだ。


潮の匂いすらしないのは、よっぽど海から遠いということなんだろうが…それだけじゃない。

なにかの腐った臭いが、そこら中を漂っていやがるんだ。


おまけに、ハエまであたりをうろちょろしていて、縛られているこっちとしては、落ち着かない状況だ。


近くにゴミためでもあるのか?

まさか、この小屋自体がゴミ置き場だとか言わないよな?


その時、疑問だらけのオレを置き去りにして、急に“剛腕”くんが、激しく動いた。


それでようやく見えたんだが、小屋の中心、うす暗い中には、やたらとデカい干し草の山があるようだった。


そこで“剛腕”くんが大きく腕を動かすと、干し草は払いのけられ、その中身が見える。

おい、コレは……


「これはまさか、メクセトの…!」


そのとき、“剛腕”くんは胸を張り、初めて堂々とした声を出して、オレの予想に応えた。


「そうだ、これこそがお前らバカな【猿人】を滅ぼす伝説の武器、メクセトの『戦車』だ!」


…いや、なんだよ、ソレ!

突然、誘拐されたかと思えば、また突然、寝物語で聞いたことしかない立派な戦車(よく見りゃちゃんと馬までつないである)を出してきやがった。


そしておまけに、それこそおとぎ話かマンガみたいなことを言ってくるとは…これは本当に現実なのか!?


混乱するオレ。

しかも、頭がおかしい【牛人】は、オレが立ち直る前に、更によく分からん発言を投げつけてきやがった。


「前の【猿人】は、役に立たなかった」


「前の?

一体、何を言って…」


「その戦車は、メクセトの時代のもの。

手入れはされてきたらしいが、当然、かなり古い。

修理が必要だ」


「けど、お前は【牛人】で手先が不器用…修理が苦手だから…手先が器用な【猿人】に戦車の修理頼んだ…のか?」


「そうだ。

だが、前のヤツは戦車のことを知らなさ過ぎて役に立たなかった。

だから、お前をここまで連れてきたのだ!」


あんまり会話がかみあわないが…なんとなく、嫌な予感がする。

けど、聞くしかない。


このモヤモヤから逃れるためには、そうするしかないように思える。


「じゃあ、その“前のヤツ”ってのは…」


一体、どこへ行ったんだ?


「前の【猿人】なら…そこにいる」

その言葉と共に、ソイツは指差した。

戦車のすぐ横、干し草の山があった場所を。

そこには、やっぱり……


「うっ、うわっ!」


牛野郎の言う通りだった。

ソイツは、そこにいた。


まるで寝ているような、うつぶせの体勢で。

防腐のための悪あがきなのか、大量の塩や香辛料に埋もれて。

けど、それでも、そんな子供だましが間に合うわけもなくて……

ソイツは、そこで倒れていた。

大量のハエにたかられ、頭を半分かち割られていた……


…言葉が見つからない。


これは、何だ?


だまりこんだオレに、牛男は、またしつこくしゃべりかけてくる。


なんだか怒っているようだが、そんなことはどうでもいいように思える。

その荒い鼻息すら、あまり気にならないほどだ。


「お前なら最後まで直せるはずだ」


おい、マジか。


そしてこのヒト殺し野郎は、続けてこう言い放った。


「修理の達人ハンノキの息子、誰よりも手先が器用なお前ならな」


え?

いや、オレのオヤジはイワモリ…


「そうだな、ハシバミ。」


マジか。

完全に人違いじゃねーか!

はた迷惑過ぎんだろ,コイツも、アイツも!


本当にロクでもない状況になると、それを言い表す言葉すら見つからなくなる。

オレがそのことに気づいたのは、その時のことだった。


そのときのオレはただ、手当たりしだいに怒ることしか出来なかったんだ……




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