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そうだ。奴隷を冒険者にしよう - 第16話 カタコンベ・パンテオン②
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そうだ。奴隷を冒険者にしよう  作者: HATI


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第16話 カタコンベ・パンテオン②

 街から馬車で揺られること二日。

 森を抜けた先に城が鎮座していた。


 複数の馬車から続々と冒険者たちが降りる。

 アンデッドが主な敵というのもあって聖職者の冒険者が良く目立つ。


 アズは思わず城を見上げる。アズにとって初めて見る巨大な建築物は、禍々しい気配を漂わせている。


 濃厚な死の気配とでもいうべきか、決して踏み込むべきではないという本能が働く。

 城をずっと見上げていたアズの背中をエルザが左手で軽く叩く。


「大丈夫。あそこには入らないから、ね」

「は、はい。なんて言えばいいのか、とても怖いです」

「その感覚は大事にしようね。死ぬ時は一瞬だから」


 冗談とも本気とも分からないエルザの笑みに、アズは乾いた笑いしかできなかった。

 自然と聖職者が中心となったパーティーが陣頭指揮を執る。


 城から少し離れた場所に、カタコンベの入口がある。

 年季の入った門だ。植物の蔓が侵食していて覆いかぶさっているが、しかし一切崩れる気配はない。


 パーティー毎に中へと入っていく。中は傾斜がついており、地下へと続く。


 中の通路は思ったより明るい。

 壁掛けの蠟燭が規則正しく並べられて火を灯している。

 ……蠟燭は燃えているようだが、一切蝋が垂れていない。

 ただの蝋燭ではないのだろう。


 アズが周囲を物珍しそうに見ていると、不意に壁から白い手が突き出された。

 余りの驚きに声すら上げられず硬直したアズを尻目に、エルザは聖水を白い手にぶちまける。


 白い手は淡い光と共に消えていった。


「ほら、アズちゃん大丈夫だよー。手は居なくなったよ」

「ひゃい」


 アズはようやく動き出すものの手と足が同時に出る。


 周りの冒険者はそんなアズを見てこそこそと笑っている。

 それがさらに羞恥心を煽り、アズはまともに前が向けない。

 エルザが他の冒険者たちを一瞥すると、笑い声は止まった。


 ……当然ながら、エルザ以外の聖職者はみんな太陽神教かそれに連なる神に仕える者ばかりだ。

 エルザはトラブル防止のため、創世王教のロザリオを仕舞っている。


「前を見ないと危ないよ。ここはもう迷宮の中だからね」


 エルザの言葉に慌てて前を向き、大きく息を吸って吐いた。


「今のは何だったんですか?」

「ゴーストのなりそこないだね。人間に触れる事すら出来ないから危なくないよ。びっくりするだけ」

「あ、そうなんですね。良かったぁ」


 アズがホッとする。

 そんな様子を見てエルザがアズの頭をなでる。素直な子だ。不憫な程に。

 本来ならば間違ってもカタコンベにアンデッド退治に来るような子ではない。


 エルザは創世王にアズの無事を祈る。


 長い通路を抜けると、信じられないほど広い空間に出た。

 恐らく街一つが入るほどの広さ。


 此処こそがルインドヘイム・カタコンベ。

 かつて灰王が治めていた国の国民達が眠る場所であり、アンデッド達が絶えず湧き出す迷宮と言われている場所である。


 当時の建築様式で規則正しく作られた内部は圧巻の景色ではあったが、そこかしこにアンデッドが渦巻いている。


 最初の段階では全員纏まって戦うことに決まり、戦士たちが祝福と浄化の加護を受けながら前に出る。


「アズちゃん。アンデッドに噛まれたり爪に引っかかれたら、毒が回るからすぐ戻ってきてね」

「はい!」


 アズもエルザから一式の加護を受けて前に出た。

 アズは想像以上に軽い体に驚く。

 祝福の効果でアズの全ての能力値が上昇している。


 それなり重さを感じていた封剣グルンガウスも、今のアズなら問題ない。


 直ぐ近くにいたスケルトンやゾンビを両断する。

 祝福と剣に浄化の力が加わり、アズは簡単に倒せた。


 斬って斬って斬る。

 アズは体系化された剣術を学んだわけではないため、どう身体が動けば効率的かを実戦で試しながら構築している。


 最初は素人剣術で見るからに危なっかしい動きだったアズの動きは、それなりに洗練されてきていた。


 そもそも剣術は対人相手を想定してるため、様々な動きや形態をするモンスターには不向きな部分がある。

 アズの剣術は独学ながら魔物相手に適したものへとなっていく。


 スケルトンは動きこそ軽快だが音が常に鳴って分かりやすく、ゾンビは動きが遅い。

 巨大なゾンビは無理に相手にせず、アズは思う存分に動き回った。


 息が切れ始めるとエルザの近くに行く。

 エルザはエルザでメイスを振り回してゾンビの頭を潰し、スケルトンを砕く。

 聖職者はその特性故にアンデッドに対して圧倒的に強い。


 アズから見てエルザは他の聖職者達よりも強く見える。

 随分と戦い慣れている様子だった。


 周りに散らばったスケルトンの骨など見ると、アズと同じぐらいは既に倒している。


 エルザに祝福の支援を掛けなおしてもらい、再びアンデッド達を倒す。

 繰り返すうちにアズの力が僅かずつ増すのを自覚した。


 倒す数が他の魔物に比べてずっと多い所為だろう。

 聖職者がここに集まるのも理解できる。


 他のパーティーも被害は少ない。

 偶にアンデッドの塊に突っ込む戦士が居て怪我をするが、聖職者がこれだけいれば問題にはならない。


 得られるものはほぼ無いのだけが難点か。

 依頼による一体あたりの単価も安い。


 冒険者の証は正確に数を測定してくれるのだが、これだけ倒しても大した稼ぎにはならないだろう。


 やがてアンデッド達の数が目に見えて減り始めたので、より効率よく倒すためにパーティー毎に散開して倒す事にした。


 アズがどの辺を回ろうかと考えていると、エルザがアズの手を握り迷いなく歩いていく。


「エルザさん? どこに行くんです?」

「いいからいいから。付いてきて」


 奥へ奥へと進む。

 出てくるアンデッドはほとんど変化がない。

 エルザのメイス(金貨6枚)とアズの封剣グルンガウス(時価)が撃破数を稼いでいく。


 しばらく歩いて周りに冒険者が居なくなり、カタコンベの端にたどり着く。

 そこだけ壁に装飾があり、3つの壁の穴のうち2つに青い火が灯っていた。


 エルザは聖水を地面に撒いて青い石の触媒を使い簡易的な結界を張る。

 アンデッド達はその結界を嫌がり離れていく。


 エルザはアズを手招きして、結界の中へ招いた。


「アズちゃん。この場所が何の場所か、ちゃんと教えてあげるね」

「墓地じゃないんですか?」

「墓地なのは合ってる。でもね、違うの」


 エルザは壁に描かれた模様に手を添える。


 壁の模様は戦士たちを率いる剣を持った王と、禍々しい装備を持った骸骨が戦っている絵が描かれていた。


「此処は灰王と共に戦った戦士たちの墓標。ここに湧き出てるアンデッドはね、その戦士たちじゃないの。たった一体のアンデッドの邪気から生まれているだけ」

「エルザさん?」

「灰王はこのアンデッドが居る限り古城から動けないの。抑えとしてずっと居たのよ」


 アズにはエルザが何を言っているのか分からない。

 このカタコンベよりも、エルザの方が不気味に見えた。


「そのアンデッドはね。そうなっちゃう前は……」


 最後の青い火が3つ目の穴に灯る。


「太陽神の使徒だったの」


 ルインドヘイム・カタコンベが揺れる。


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