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そうだ。奴隷を冒険者にしよう - 第95話 商人ギルド
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そうだ。奴隷を冒険者にしよう  作者: HATI


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第95話 商人ギルド

 広場での疲れがまだあるのでのんびりしていると、商会長から呼び出しを受けた。

 間違いなくこの街と徴税官絡みの事だ。


 奴隷達は待機させ、俺は使いに来た少年の後をついて行く。


 案内された場所は商人ギルドの二階だ。

 中に入ると既に粗方の席が埋まっており、扉を開けた俺を席に座った者たちが見つめてくる。


 俺が最後だったようだ。

 軽く頭を下げる。


 集まった視線はすぐに散らばった。


 中に居るのは20名くらいか。

 流石に商人ギルド全員は集まってはいないが、街の大きな商会の代表は揃っていた。

 というか俺以外はそれなりの規模の商店を持つ人たちだ。


 少しばかり場違いな気分になる。

 恐らくここで決まった事を、他のもっと小規模な商人達に伝えるのだろう。


 俺が席に座ると、全員が揃ったのか商会長が咳払いをして注目を集める。


 話の内容は予想通り街の現状と今後の事についてだった。


 まず徴税官のジェイコブと組合長、街の代表に商会長が合流して領主の館に向かった事から話が始まる。


 中は少数の使用人のみしかおらず、館を占領していた太陽神教の者達は皆居なくなっていたらしい。


 領主は衰弱死していたのが確認された。


 本来ならそこから家捜しの必要があったが、一ヵ所に資料が集められていたことにより事態の把握はかなりスムーズに進んだようだ。


 フィンはきちんと仕事をしていたようで何より。

 金に誠実だから心配はしていなかったが。


 利害で動く人間はその範囲内でなら安心して仕事を任せられる。


 税金はその多くが銅像につぎ込まれていたが、銅像の名目で増税された分は太陽神教の神殿に流れていたようだ。


 くそ、やはりそうか。

 銅像一つに余りに金を掛けすぎているとは思っていた。


 残っていた使用人の話や資料などから照らし合わせると、領主の息子と神殿騎士が接触してすぐに領主の体調が悪くなり、税金の着服が始まった。


 警備隊にガラの悪い人間が出入りするようになり、役人も碌に管理しなくなった。


 確かに時期は合うな。

 役人の所為でアズも大分苦労させられたことを思い出す。


 危うく横取りされてただ働きになりそうだったからな。

 今のアズならともかく、あの頃のアズはかなり気が弱かった。


 今なら剣抜いて威嚇位はするだろうな。


 あの事が影響でエルザを買ったんだよなぁ。

 アズ一人では色々と難しいと感じた。まだ少女なのもあって戦闘に限らずサポート役が必要だった。

 エルザは良い女だし、司祭としても優秀だ。

 最初こそ俺を警戒していたが、すぐに環境に慣れた。

 少しばかり怖い部分もあるのだが、それも愛嬌かな。


 創世王教の司祭は結局エルザ以外は見たことが無い。

 奴隷商人の方でもエルザ以降は確認していないそうだ。


 そんな事を考えながら話を聞く。


 領主の息子は銅像に握りつぶされて死亡しており、領主はもう居ない。

 これ以上の追及は不可能と判断された。


 問題はこれからの事だ。


 代わりの領主が王国の方で決められて、実際にこの街に来るのは早くて数ヵ月はかかる。

 それまではジェイコブが代官としてここに残るそうだ。


 流石にこのまま放置はできないと判断したらしい。

 一先ず経済を含めて立て直しを優先する。


 この街の経済はかなり停滞してきていたからな。

 金は神殿へ横流しされるし、領主の息子は税金ばかり増やしていた。


 神殿騎士に関しては出入りを明確に禁止する措置を取った。

 王国としての対応はまだ不明だが、太陽神教そのものに対しては一旦抗議の使者を送る程度になるとのことだ。


 あくまで太陽神教の神殿騎士を中心とした神殿勢力に対してのみ強い対応を行う。


 街にある教会までどうこうしようとすると、間違いなく混乱がおきるだろうし仕方ないと俺も思う。


 そもそも広場での戦いでは銅像は太陽神教の司祭も襲っていたし、太陽神教の司祭も応戦していた。


 怪我人の治療などは司祭がその役割を担っている。

 太陽神教だからと一纏めにするのは危険だ。


 目先の問題は片が付いたので、後は町の評判を回復させつつ復興させる、と商会長は言葉を締めくくった。


 最初に取り掛かるのは広場の修繕だ。


 あそこは店が集まっていて、この街の中心として大事な場所になっている。


 税金も以前のきちんとした額になったのもあって、既に気の早い屋台が店を出しているとか。


 しかし俺はなぜ呼ばれたのだろう。

 正直、ここで決まった事を後で聞かされる程度で十分なのだが。


 議題などはもっと落ち着いてからやるらしく、ここでは告知だけだ。


 話が終わると皆席を立ち部屋から出ていく。


 俺も出ていこうとすると、商会長に呼び止められた。


 代官のジェイコブが一度俺達と話がしたいらしい。

 銅像と戦った冒険者のうち、一番近くで戦ったのはうちの奴隷達だ。


 そういう事なら、と引き受けた。


 そもそも俺では断れるはずもないが。


 ジェイコブは領主の館で既に代官として仕事をしているようなので、奴隷達を連れて向かう事にする。


 家に戻るとエルザとアズが庭で畑の世話をしていた。

 模擬戦をした後らしく、動きやすい服装に着替えている。


 流石にその格好で代官の前へ連れて行くわけにはいかない。


 汗を流させた後、エルザには司祭服を。

 アズは一番上等なのが冒険用の服なのでそれに着替えさせる。


 アレクシアは普通の服でも問題なさそうだ。

 

 俺もちゃんとした服に着替えた。


 流石に服でどうこうは言われないとは思うが、相手は騎士であり王国貴族でもある。


 注意はしておいた方が良いだろう。


「流石にその辺はちゃんとしてますわね」

「要らんことで恨みは買いたくないからな」

「最初の覚えが悪いと後々が大変。流石に牢に入れられることはないでしょうけど」

「あれは酷い経験だった」


 あの時はアレクシアが手をまわしてくれて助かったな。

 では、代官のジェイコブに会いに行くか。


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