64話辛い学校生活
私、藤原萌香の学校生活は残す所2ヶ月もないくらいで激変した。
今までは学校は私の天下だった。
彼氏が冒険者で、教師も怖がって何も言えなかったからやりたい放題だった。無条件で成績は良かったし、授業中に何をやっても許された。
彼氏の徹は私のお願いなら何でも言う事を聞いてくれるから実質この学校のボスは私だった。
なのに、あいつが全てをぶち壊した。
虐めていた亜桜紫音。
半年間不登校になったかと思えば、突然登校して来て、そして、徹よりも強かった。
しかも、私も知らなかったのだが、冒険者は一般人に手を出してはいけないといった法律がある事を周知した。
それによって、今まで暴力によって学校を支配してきた徹は、今までの事を追求される事となった。
直接暴力を振るった事はなかったはずだが、法律に触れる所がいくつかあったようだ。
しかも、何を思ったのか、学校は、今までいじめ問題を見て見ぬ振りしてきたと教育委員会、保護者、更にはマスコミに謝罪したのだ。
自分達は恐怖に怯えて自分の身かわいさ故に虐めを黙認してきたと大々的に発表したのだ。
結局は徹より強い紫音に忖度したのではと思うけれどそれはもうどうでもいい。
その結果、虐めの主犯格は徹だと報道され、これまで、教員、生徒を冒険者という立場を悪用して学校を自分の物にして来たとマスコミは取り上げたのだ。
間違っては居ないのだが、事実と異なる補足事項も足されていた。
日本では、政治家への忖度により冒険者の罪は大々的に取り上げてこき下ろす傾向にある。
これだから冒険者は駄目なのだと、冒険者になどなるからこういった事になるのだと。
日本での冒険者の地位が他の国よりも低いのはこういったマスコミの情報操作が理由だったりもする。
出る杭は打たれるといった言葉があるように、突出した才能を嫌い、平均を求める日本の悪しき習慣でもある。
まあ、こんな事は萌香の知る所ではないのだが。
ともかく、そのせいで彼氏の徹は罪に問われて逮捕され、学校も退学。
不幸中の幸いだったのは退学になったのは徹だけで、私は、停学で済んだという事。
それも1週間と短い。
理由は、今回、新しく変わった校長が、退学させて放り出すのではなく、卒業までの短い時間であってもやった事がいけない事だったと教えて、反省させ、送り出すのが教育だといった方針だからである。
だから、萌香や、その仲間で虐めの主犯格だったグループは特別教室にて道徳的な指導を追加で受けている。
普通なら、もうすぐ卒業まで学校に来なくて良くなる期間なのだが、今年は虐めを見て見ぬ振りした他の生徒含めて3年生は学業以外の事で学校に登校する事になっている。
あの出来事が起こってから、萌香の学校での地位は地に落ち、廊下を歩けば後ろ指を差されるようにヒソヒソと放す声に敏感になるノイローゼ状態だ。
仲が良かったグループのメンバーも、こんな事になったのは徹と萌香のせいだと言って萌香は孤立してしまっている。
2ヶ月できちんと指導しなければと張り切っている校長だが、その短い時間でそう簡単に人の意識が変わるわけもなく、空回りして上手く行ってないのは、この事からも分かるだろう。
見て見ぬ振りをした事を紫音に謝りに行った生徒もちらほら居るようだが、その生徒の内、何%が本気で言っているのかも分からない。
とうの紫音はといえば、学校には何も期待しておらず、ただ卒業に必要な出席日数の為に学校に来ており、休んでいた時の授業内容も、魔石によって上がった学力によって自習でしっかりと記憶していた。
同じように学校で孤立している萌香と紫音であるが、置かれた状況、精神状態は全く違うのである。
閑話休題
しかし、と私は思う。
逆に考えればあと2ヶ月たてば卒業して来年の春からは大学生である。
こんな状況になっても大学から推薦入学の取り消しはなかったから春からは東京で大学生活だ。
向こうに行けばこの事を知る人は居ないだろうし、今までカーストトップだった私だ。
大学デビューではないが、新しい友達を作って再スタートすればいい。
明るい未来を妄想して辛い2ヶ月間を耐えるのだった。