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『11月15日2巻発売!』願ってもない追放後からのスローライフ? - 94話いいわけ
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『11月15日2巻発売!』願ってもない追放後からのスローライフ?  作者: シュガースプーン。
第三章三番弟子は冒険者

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94話いいわけ

チッと白鷺は内心舌打ちした。


仲介したと言った理由だけでついて来た受講生がわざわざ今からボコす相手方に自慢げに《最強の冒険者ゼロ》と言って宣言してしまった。

初めに内緒だと言ったのに私達の前で堂々と言うなんて、ほんと空気の読めない馬鹿だ。

こう言うのは本人のいないところで噂するものだろう。


ほら、こんなダンジョンに潜る一般人にはゼロの知名度なんて分からずキョトンとしてるじゃない。かろうじてこちらに戦闘態勢を取った2人は冒険者をちゃんと目指しているのか驚いて緊張しているのが分かる。


しかしその程度だ。ある一定のランクのちゃんとした冒険者ならSランクが集まる黄昏の茶会。それもゼロだなんて聞いたらそんな敵対した姿勢を取れないだろう。Sランクだなんて正真正銘の化け物だ。

まあ、本物ならの話だけど。


一時期ゼロの引退は話題に上がったのだ。

冒険者をしている時点で偽物だとわかる。

私達が相手にしてる様なにわか冒険者の雑魚ども以外は。


それにしても、私達が自分からゼロだと名乗ったなんて事にされない様に後でこの受講生にはお仕置きしないとね。


標的の餓鬼達(ターゲット)は男は殺して女は依頼主の好きにさせれば良いんだから適当に壊してくれるだろう。


ほんと、Gクラスダンジョン内は監視の目が無いのだから口封じがやりやすくて助かるわ。


あ、また馬鹿が意気揚々とゼロ自慢してるじゃ無い。五行(雇い主)も一緒になって。

これは受講生(コイツ)使って(殺して)五行を脅して傀儡(かいらい)に仕立て上げた方がこれからうまくいくんじゃないかしら?

ちまちま受講生を騙して呼び込むより効率が良さそうだ。

ここに居る一般人が私達冒険者の暴力に勝てる訳が無いんだから。


方針を決めて白鷺が動こうとしたその時、標的の後ろに居た人物が間の抜けた声で話し始めた。


「えっと、何を言っているのかしら?」


あらあらといった様子で頬に手を当てて質問する女性(玲子)受講生(バカ)はまたゼロの名前を出して煽っている。

だから、それ以前にゼロが理解できて居ないのだろう。

そう思ったその時、玲子の口からとんでもない言葉が発せられた。


「私も黄昏の茶会のメンバーなのだけど、私は貴方達なんて知らないわ。

それに、今席を外しているけどゼロはこの子達の師匠のはずよ?

貴方達はいったい誰なのかしら?」


その言葉を発した瞬間、物凄い殺気が白鷺、服部、丹羽(私達)を貫いた。


その他の視線も私達に集まるがそれどころではない。

その殺気、圧力で私達よりも格上だと察した。

勿論本当に黄昏の茶会のメンバーなのかは分からないが、私達よりも格上で、この話について怒っているのは明らかだ。

だったとしたら、ギルドに確認された時の為に用意しておいた言い訳を今使う他ないだろう。


「わ、私達は、その、そいつらが勝手に勘違いしてるだけでゼロだなんて名乗ったことは一度もない!…です」


焦って噛んでしまったがこれで私達に身分詐称の罪は無いはずだ。


「そうなの?」


玲子が受講生に聞いている。


「そんな!俺はあんたがゼロだって言うから夕暮れ塾に参加したんだぞ!他の受講生だってそう言う筈だ!」


「私も、知り合いから夕暮れ塾に誘われた時に確かにそう聞きました」


受講生に加えて標的の女()もそう証言した。分が悪いようだがなんとかなるはずだ。


「私達は最前戦を引退して夕暮れ塾を開いたと言っただけでゼロだとは言ってないわ!」


「な、最前戦を引退したゼロだって言ってただろう!」


「まあよい。最強なら何も問題ない。おい、約束通りあいつらを殺ってしまえ!」


受講生の文句を遮る様に五行(もう1人のバカ)が言葉を発するが、空気など読めたものではない。


「私達はDランクダンジョンの最前戦に潜っていただけで黄昏の茶会なんかとは比べ物にならないもの。あんたの依頼なんてキャンセルするに決まってるわ!アンタこそ、一般人と底辺冒険者をいたぶるだけの簡単な仕事だって言っておいてこんなの契約違反よ!」


白鷺はもう取り繕うのをやめてこの場を潜り抜ける事にした。

そうでなくては自分の身が危険に晒される。この話の間も、玲子から発せられる圧力、殺気は増しているのだから。


「私はそんな事はどうだっていいのよ。貴方は自分が言っていないにしろゼロの名を利用して詐欺に近い行為を行っていた。その事実が分かれば十分だわ。

だけど残念ね、貴方達を懲らしめようにも、私が手を出しちゃうと過剰防衛になってしまうし。こんな事しかできないわ」


そう言って玲子が指をパチンと鳴らすと、白鷺達、五行、受講生の手首に氷の手枷ががっちりと嵌められた。


服部や五行が力一杯外したり壊そうとしているが、壊れる気配はない。


「ぐ、こんな事していいと思っているのか?

土御門を敵に回すと死ぬほど後悔するぞ!」


「ふーん。土御門ね、覚えておくわ」


玲子は五行に対してニコリと笑顔を向けた。


「そんな事より早くゲートまで歩いてくれるかしら?貴方達を突き出さないといけないのだし、あんまりタラタラしてたら腕が凍傷を起こして腐ってくるわよ?」


確かに、段々と手首が冷やされ痛みが心臓の鼓動に合わせて辛くなっていく。


「あ、貴方も、こんな事したらまずいんじゃない?証拠もないのに一方的に下位の冒険者を攻撃した様なものよ」


「そ、そうだ!このダンジョンには監視が無いのだろう!今すぐこれを外せ!」


「貴方達、何を勘違いしてるのか知れないけどダンジョン内に入れば物事は冒険者免許が記憶してくれるわ。

俗にGクラスダンジョンが穴だと言われるのって冒険者免許を持たない一般人だからでしょう?だから一般人は監視カメラのあるゲート前が推奨されているのだし。

私も、この2人も、貴方達(白鷺達)だって冒険者免許を持っているのだからゲートさえ通過すれば自動的に記録機能はオンになるわよ。

証拠なんてそれで十分。貴方達、十分しゃべってくれたしね」


こうなると、白鷺達に反論の余地はなかった。五行が土御門の名前を出して叫んでいるが、意味はないだろう。


「あ、逃げられると行けないから足にも足枷を着けておこうかしら?」


玲子の言葉と共に指が鳴らされて足にも氷の分厚い枷がつけられて歩幅が制限される。


玲子達に連行される間、感覚が無くなっても続く氷の冷たさはまさに拷問で、歩幅が制限され思う様に進めない状況は無限の苦痛に思えたと言っておこう。

腕や足を切り飛ばされた方がマシだと思える程には。

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