13.出口と俺たちが進む通路以外は塞いじゃおうか
「嘘っ!? 子供じゃあるまいし……それに冒険者が無職って、そんなこと有り得るの?」
「それはユニークスキルがあったからだね」
本来、冒険職じゃないと冒険者にはなれない。
だけど、ユニークスキルがあれば一般職の人でも冒険者になれる。
ユニークスキルは、それぐらい稀有なのだ。
「もっとも俺のユニークスキルには代償があるんだけどね。それこそ、なんの職にも就けないっていう」
「えっ、待って? 無職ってことはクラススキルが一切取得できないのにSSSランクにまで上り詰めたの!?」
「うん。ユニークスキルのほかは、誰でも覚えられるコモンスキルだけしか取得してないよ」
「それ、逆に凄いのだわ……」
エチカが感心してくれるけど、凄いのは俺じゃなくていつだって仲間なんだけどね。
昔パーティを組んでいた冒険者たちは口をそろえて「そんなことない」「お前はおかしい」って言ってくれたけど。
……そういえば、おかしいって誉め言葉じゃないんじゃないかな?
「あっ、ゴブリン!」
エチカが指差した先を見ると、ちょうど通路のひとつからゴブリンが出てきたところだった。
巨大なノームさんを見上げて茫然としているけど……。
「あっ、逃げるのだわ!」
まあ、そりゃそうだよね。
静かに待ち伏せしてたならともかく、雑談してたし。
ノームさんにもゴブリンを攻撃してって、お願いしてなかったし。
仲間にも緊張感が足りないってよく言われたけど、今は注意してくれる人がいないしなあ。
エチカは初心者だし、俺がしっかりしなきゃ。
「ん~、向こうがボス部屋だったら迎撃態勢を整えられちゃうなあ。でも深追いすると罠にかかりそうだし」
「じゃあ、こうするのだわ」
エチカが精霊語でノームさんに何かを頼んだ。
するとノームさんが周囲の土を手ですくうようにして掘り始める。
さらに、その土を運んでゴブリンが走り去っていった通路をふさいでしまった。
「これでよし! 他の通路に行きましょ」
「エチカって割とアクティブだねぇ」
通路を塞いだのはただの土。
でも、ノームさんがペタペタと固めてくれたし、そう簡単には崩れなさそう。
「ついでに出口と俺たちが進む通路以外は塞いじゃおうか。挟み撃ちにされる心配もなくなるし。ノームさんならまた簡単に掘れるから」
「そうね。あと、敵が強くて逃げなきゃいけないときに備えて、ここの部屋にも落とし穴を掘っておくのだわ!」
「じゃあ、落とし穴を掘った土で通路を塞いでもらおうか!」
おーっ! っとノームさんを含めた三人で腕を振り上げる。
うん、ただのゴブリン退治なんだけど、なんだか楽しくなってきた。
冒険はこうでなくっちゃ。