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「ローズマリー?」
レオナルドがそっとローズマリーの背中を撫でるとローズマリー、はっとして我に返った。
「…リリエ、貴女はこんな国と発言し、貴族と平民を差別する発言をしました。貴女が貴族脳でも構いませんが、その発言にどれ程の重みがあると分かっているの?」
ジョシュアはリリエを冷たい瞳で見ていた。
「リリエ、そんなことを言ったのか?」
「だって…ジョシュアお兄さま…。私の評価がこの国で悪かろうと、我が国では関係ないでしょう?だって、大国だもの。小国の言うことになんて耳を貸さないわ。」
リリエの発言にジョシュアの額には青筋が立っていた。
「リリエ、お前がただの貴族ならバカな貴族とは思うが、皇族であり、皇女だ。国を代表する立場でありながら、他国を蔑ろにしてバカにするような人間は皇族に相応しくない。この国で苦情が出ること自体、皇族として恥ずかしいことだ。」
ジョシュアは静かに淡々と話をしたが、それが逆に恐怖を覚える。
レオナルドも何故か顔が青くなった。
「お前が個人的に貴族脳で貴族優先な考えは仕方がない。だが、今回の発言、お前の行動は国際問題になりかねない。教師に盾突き、他国の貴族を使用人代わりにし、平民をバカにし、他国の文化にも触れようとせず、自分の我だけを突き通すなど、皇族のすることではない。今すぐ、関係者全員に謝罪をし、国へ帰れ。これは命令だ。父上と母上にも連絡済みだ。」
ジュシュアは、リリエの前に書面を出した。
「それは、貴女の被害に合われた方々のお名前と、住所です。これだけの方々が、貴女の事を…貴女の言葉で表すならば、不愉快だと思ったということです。」
「でも、私は…!」
リリエは否定をしようとしたが、レオナルドがその否定を遮った。
「間違いを指摘される人がいることに、感謝したほうがいい。俺もローズマリーがいなければ、バカな王子のままで、国民からの信頼を失い王子として、国王として失格だった。それを正し、視野を広くしてくれたのはローズマリー。そのお陰で、前よりは王子として仕事を任されることになった。すごく感謝してるんだ。だから、リリエ様、貴女も間違いを指摘してくれる人の言うことに耳を傾けたほうがいい。何より自分の為に、国の為になるのだから。」
レオナルドはニコリとリリエに向けて笑った。リリエはバツが悪くなり俯いた。
「……申し訳ありませんでした。」
それはとても小さな声だったが、皆を納得させるには充分だった。
……一人を除いては。
「リリエ、今から全員に謝罪をしに行きますわよ。」
ローズマリーは立ち上がり、リリエの腕をぐいっと引っ張り半ば引きずるかのように連れて行った。
「え、え、ローズマリーお姉さま?」
「ジョシュアが関係者全員にと言ったでしょう?さぁ、行きますわよ。」
ローズマリーはそのままリリエを引っ張り出し、関係者者全員に謝りに行った。
「で、レオナルド様、姉様のことは本気ですか?」
レオナルドとジョシュアが二人きりになった所でジョシュアはレオナルドに聞いた。
「当たり前です!」
「姉様は、自覚がないだけでレオナルド様のこと好きだと思いますよ?」
ジョシュアはお茶を飲みながら、レオナルドを見るとレオナルドは嬉しそうにしていた。
「本当ですか?!」
「姉様は、レオナルド様の話をすると穏やかな顔をしますから、あんな姉様を見るのは初めてですよ?」
レオナルドはそれを聞いて更に嬉しそうにしていた。
ジョシュアはそんなレオナルドを見てローズマリーを幸せにできる人物だろうと思った。