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パレードから戻ると、化粧直しの為に部屋に戻った。そこには、父であるクロフォード公爵と儀母であるレイチェルが待っていた。
その二人を見て、ローズマリーは一気に疲れた。
「アリア、これはどういうこと?」
「私にも…」
そう、アリアは先程パレードから戻るローズマリーを出迎えていた。
部屋にはローズマリーの化粧直しのことを考え、数名の城の使用人達がいたが…。
その間に二人が入ったとしか考えられない。
「城の使用人達は快く出迎えてくれたぞ。」
ローズマリーは城の使用人を見た。
使用人達は真っ直ぐとローズマリーを見ていた。
「…そうですわね。この方々は国王陛下に仕えているんですから、貴方のような方でも客人であれば迎え入れてくれるでしょうね。ここは私の私室ではなく、借りているだけですし。それで、何の用ですか?」
ローズマリーは二人を見た。
だが、二人はお互いの顔を見て、チラリとローズマリーを見たが、また顔を伏せた。
「私に用がないのでしたら、会場にお戻りになったら如何です?」
ローズマリーは部屋の扉を開けて、出ていくように促した。
だが、二人は動かなかった。
クロフォード公爵がローズマリーの方へ歩き出し、ローズマリーの前に立った。
ローズマリーは目の前にいる自分の父親を見つめた。
「…すまなかった。」
公爵はローズマリーに頭を下げた。
ローズマリーは驚きのあまり目を丸くし、言葉が出なかった。
「今更何を…という気持ちはわかる。ローズマリー、その傷のせいで貴族や国民からの心ない言葉に傷付く前に…王妃様にお願いをして…嫌な役を…」
「別に傷付いていませんわ。王妃様にお願いをしなくても、公爵貴方が嫌な役を買って出ればよろしかったのでは?」
ローズマリーが言うのはもっともだ。
「ローズマリー、旦那様はこれ以上貴女に嫌われたくなかったの。だから…」
レイチェルが補足したが、ローズマリーはため息をついた。
「もう、これ以上嫌われることもないぐらい、嫌っていますわ。今更嫌われることがひとつぐらい増えてもかわりませんわ。」
ローズマリーはレイチェルを見た。
「旦那様はローズマリー、貴女の事を心配しているのよ。」
ローズマリーはため息をついた。
「心配しているなら、もっと違うやり方があったはずよ。レオナルド様は傷ぐらいで私を嫌いにならないわ。」
ローズマリーはクスリと笑った。
「その自信はどこから…」
レイチェルはローズマリーに聞いた。
「私はレオナルド様を信じていますから。」
ローズマリーは二人には見せたことのない穏やかな笑顔を見せた。
二人はその笑顔に驚いた。
「そうか…。」
公爵はレイチェルに手招きをした。
レイチェルは公爵の隣まで歩いた。
「邪魔をしたね。」
公爵はそれだけを言うと、レイチェルを連れて会場の方へと歩きだした。
「アリア、あれは本当に公爵なのかしらね?何だか気味が悪いわ。」
ローズマリーはメイク直しをして貰いながら、アリアに聞いた。
「公爵ですよ、確実に。」
「そうよね。あの人が私に嫌われたくないなんて……気味が悪くて笑っちゃうわね。」
「…そうですね。」
ローズマリーの瞳は少しだけ潤んでいたのにアリアは気が付いたが、気付いていないふりをした…。