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【書籍化】カバンの勇者の異世界のんびり旅 ~実は「カバン」は何でも吸収できるし、日本から何でも取り寄せができるチート武器でした~ - 06.悪い女王、後悔する
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【書籍化】カバンの勇者の異世界のんびり旅 ~実は「カバン」は何でも吸収できるし、日本から何でも取り寄せができるチート武器でした~  作者: 茨木野
第3部

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06.悪い女王、後悔する

【※読者の皆様へ】

今回のあとがきは、

「全ての読者様」にお読みいただきたいです!


1分も掛からないので、最後まで目を通してくだると幸いです。


《ワルージョ女王視点》


 わたくしの名前は、ワルージョ=フォン=ゲータ・ニィガ。

 ここ、ゲータ・ニィガ王国に、長いこと女王として君臨するもの!


 人間の寿命は80年いけばいいところ。

 でも! 私はシュブニグラス様のおかげで、永遠の命、そして、永遠の美を持っている!


 もう覚えてないくらい昔々。

 私が女王に就任する前日に、シュブニグラス様が現れた。


 そして自分に従うなら、永遠の命と美をくれるという。

 私はその話にすぐさま飛びついた!


 シュブニグラス様が欲してるのは、【召喚勇者】の命だった。

 召喚勇者なんて、所詮よそ者。この世界の人間ではないのだ。


 呼び出すのもただだし、異世界の人間の命がどうなろうと知ったことでは無い。

 私はシュブニグラスの仰せの通りに、勇者を召喚し続けた。


 使えない勇者は適当な理由をつけて、ポイ。

 使える勇者は散々こき使って、ポイ。


 そんな風に、異世界から勇者を召喚しまくり、捨てまくった。

 これだけで永遠の美しさが手に入るのだから安いモノである。


 はぁ……ほんと、シュブニグラス様は、幸運の女神様だわ。

 ……そう思っていられたのは、今日、このときまでだった。


    ★


 私は謁見の間で、部下からの報告を聞いて、自分の耳を疑った。


「もう一度……説明して? 今どうなってるって……?」


 部下は頭を垂れながら、さっきと同じ説明をする。


「現在……ゲータ・ニィガ王国に、大量の謎の魔物と魔族が出現し、国内で暴れ回っております」

「大量の……魔物と、魔族……ですって!?」


 魔物の発生は、まあわからなくもない。

 魔物はほっとくと自然にわいてくるのだ。


 でも問題は……魔族!

 魔族はシュブニグラス様の眷属。

 

 シュブニグラス様のもとで働いてる私とは、同僚のようなもの!

 なのに……どうして魔族が私の国で暴れてるの!?


 くそ……わからない。

 シュブニグラス様にあとで聞いておかないと。



「騎士を出動させなさい! 魔物も魔族も、皆殺しにするのです!」


 魔族を殺すとシュブニグラス様に怒られるかもしれない。

 でも、事前告知もなく襲ってきたのは魔族の方だ。


 自己防衛のために騎士を出動させた、ってことにすれば言い訳は立つ。


「それが……騎士では全く歯が立ちません……魔族にも、魔物にも」

「な!? 魔物にも……ですって!?」


 魔族は【そこそこ強い】、とシュブニグラス様がおっしゃっていた。

 だから騎士ではかなわないとは思っていた……が!


「魔物ごときに、どうして我が国の騎士が後れを取っているの!? 今まで、どんな魔物も、簡単に倒せてきたではないの!?」


「そ、それは……騎士団長がいたからです」


「騎士団長!? だれよ!?」


「チャラオ様です。剣の鬼にして、剣の勇者……チャラオ様……」


 ………………あ。

 そ、そうだった!


 あのチャラオとかいう廃棄した勇者、我が国の騎士団長でもあったのだった!

 あまりに、興味がなさすぎたので、忘れていた……!


「騎士団の強さはチャラオ様に依存しておりました。あのお方は単体でも強いですが、味方の能力を向上する特殊なバフスキルをお持ちでしたので」


「バフスキル!? つまり……騎士団の強さを、あの剣の勇者が底上げしていたの!?」


「さようでございます……。チャラオ様がいなくなった結果、騎士団の力は大幅ダウン」

「そんな……!」


 なんて……ことだ!

 あのハゲデブ異世界人に、そんな力があっただなんて!


「聞いてないわ! どうして言わなかったの!?」

「そ、それは……だって、呼び出したのはワルージョ女王様ではありませんか。それに……最初に勇者様たちのステータスを、確認したのは、女王様ですよね……?」


 ………………あ。

 そ、そうだったわ……。


 ステータス確認。

 勇者を召喚したあとに、必ずやらせていた。


 で、でも……。

 最近は結構おざなりになっていた。


 聖武具が強そうなら手元に残し、弱そうなら捨てる。

 ステータスを確認せず……。


 確認作業は、最近では儀式的というか、形骸化していた……。

 だから、私は、チャラオにそんなスキルがあったことを、知らなかったのだ……!


「ちゃ、チャラオはどこ……」


 どこに?

 いや……何を言ってるのだ!?


 チャラオを追い出したのは、私だ。

 それに、シュブニグラス様が、言っていたじゃないか。チャラオは始末したって!


 もう……戻ってこないのだ。


「ワルージョ様?」

「はっ! じゃ、じゃあ……そ、そうだわ! 【新たなる四大勇者】たちを、出動させなさい!」


 今回の勇者召喚で、呼び出された勇者は四人。

 剣のチャラオ、槍のシズカ、弓のオタク、そして鞄のガキ。


 このうち、鞄は廃棄して、弓は国外追放。

 チャラオは死亡し、残りは槍のシズカのみ。


 体面を保つために、私は新たなる勇者を造ることにしたのだ。


 王家だけが知ってることだが……。

 勇者が死んでも、聖武具はこの世界に残るのだ。


 聖武具は本来勇者にしか使えないはずだが、本来の持ち主が死んだ場合に限り、次の所有者を決めることが出来る。

 といっても、誰でもいいわけじゃない。


 聖武具が、次の持ち主を自分で選ぶのだ。

 結果、私は新しい勇者として、【鞭の勇者ムッチ】と、【杖の勇者セーバー】を勇者にした。


 また、チャラオ、そしてシズカの穴を埋めるために、新しい勇者を追加で2人作った。


「そうよ! 鞭、杖、そして二人の新しい勇者! こいつらが居れば、魔族や魔物なんて、簡単に倒せるわぁ……!」


 が。


「お、恐れながらワルージョ様……。杖の勇者殿は……行方不明でございます」

「……………………は? 行方不明?」


「はい。それと、鞭の勇者様、そのほか2名の勇者様も、現在はいません」

「はぁあああああああああああああ!? どういうことなのよぉおおおおおお!?」


 異常事態だわ!

 いったい何が起きてるの!?


「いえその……恐れながら……」

「なに!?」


「勇者様が出払っているのは……あなた様が、そうご命令なさったのではありませんか?」

「はぁ!? 私がいつ……!?」


「つ、つい先日……。ケースケ、そしてオタクの2名を、抹殺しろと……勇者様に命令なさったのは……あなた様かと……」


 ………………あ。

 し、しまったぁあああああああ!

 そうだった。鞄のガキと、帝国に寝返った弓の勇者を抹殺させるため、四大勇者を動かしたのは……ほかでもないこの私だった!


「い、今すぐ! 今すぐムッチたちを呼び戻しなさい! 行方のわかってる勇者だけで良いからぁ!」

「そ、それが……」


「まだなにかあるのぉ!?」


 もう勘弁してよぉ!

 泣きそうになりながら部下に尋ねる。


「現在……ゲータ・ニィガ王国には、巨大な黒い結界が張られておりまして……外に出ることも、中に入ることも、できないのです」


「は? は? け、結界……? 出入りが出来ない……?」


 え、え、わからない。 

 何が起きてるのかさっぱりわからないわ!


 なによ結界って!?

 そんなのいつ!? 誰が!?


 わからない!

 あああ! なにこれぇ!? 何が起きてるのぉ!?


「勇者様たちは、女王様のご命令通り、ゲータ・ニィガの外に行ってしまっております。フクロウ便で救援を出すことはできますが……」

「できるのぉ?! なんで!?」


「どうやら結界は、【人間の出入り】を禁じるというものでして」

「フクロウは結界を素通りできるのね! よし、早くフクロウ便で、勇者に救援を……!」


「それは難しいかと……」

「どうしてよぉおおおお!?」


「仮に連絡がついたとしても、【勇者たちは人間】、なので……結界は通れません……」


 あ、ああああ!

 そうだったわぁあああああああ!


「くぅううう! 結界を通れる勇者はいないのぉ!?」

「恐れながら……おりません。勇者は皆人間でございますから……。【人間じゃない勇者】なんて……存在しません……」


「ちくしょぉおおおおおおおおおおおお!」


 ……どうしよう!

 国内には謎の魔物と魔族がいて、暴れ回っている。


 騎士たちは、チャラオがいないせいで、弱体化してしまっている!

 勇者たちは、外に出払ってしまっている!

 結界のせいで、勇者から、そして他国からの救援も……望めない!


「ど、どうしましょう……」

「知らないわよぉ……! どうにかしなさいよぉ!」

「ええー……」


「もおぉお! どうしてこうなったのよぉ! 私は何も悪いことしてないのにぃ!」

「…………」


 部下のやつが、私を非難するような目を向けてきた!


「なによぉ!?」

「いえ……なんでもないです。とりあえず、今の戦力でなんとかできないかやってみますが……最悪の場合を想定しておいてください」


 最悪の場合……。

 え、何それ……? 国が滅びるってことぉ……?


「いや、いやよぉお! 国がなくなったら、もう私……女王じゃなくなっちゃうじゃないのよぉ!」


 永遠を生きる、美しい女王として君臨できないなんて!

 そんなのいやよ!

 いやいやぁ……!


「……国民のために、じゃなくて、あくまで自分のためになんですね……」

「あ゛ぁ゛!? 何か言った!?」


 部下は……きっ、と私をにらんできた。


「こうなっているのは、ご自分の愚かさが招いた結果ではありませんか! 勇者を何人も何人も、捨てたのはあなたでしょう!?」


 な、なによこいつ……。

 急に切れだして……。


「勇者を呼んでおいて、その勇者に全く関心を示さず、気に入らなければポイ! そんなことをしていたから、罰が当たったのですよ!」

「う……う、うるさいうるさーい!」


 私は悪くない!

 私はただ……シュブニグラス様に命令されて……。


 は! そ、そうだわぁ……!


「シュブニグラス様ぁ……! 助けてくださいぃ! シュブニグラス様ぁ!」


 しーん……。


「どうしてきてくれないんですかぁあああああああああ!? シュブニグラス様ぁあああああああああ! 私はあなたのために、こんなに尽くしてきたのにぃ! どうして助けてくれないんですかぁあああああああああ!?」


 何度叫んでも、シュブニグラス様は現れない。

 まさか……と疑念が頭をよぎる。


 まさか……捨てられた……とか?

 シュブニグラス様に……。


 あっは……ありえない……。

 でも……シュブニグラス様の配下である、魔族が……ゲータ・ニィガ内で暴れてるって……。

 え、う、嘘よね……?


 シュブニグラス様……? 嘘ですよね……? 私のこと……捨てたりしてないですよね!? ですよねぇ!?


(※↑正解♡)

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