地味系男子だけど球技大会でハットトリックを決めた勢いで地味系女子をデートに誘ってみた
僕らの学校で、ダントツの一番人気がタシロさん。
その友人兼引き立て役、それがミズハラさんだ。
僕はといえば、ルックスも中身も中の中。
良くも悪くも目立たない、その辺の石ころみたいなポジションである。
そんな僕と吊りあう女の子がいるとしたら、それはきっと同じくらいに地味なミズハラさんに違いない。
それで僕は、彼女にアピールするためにいろいろと頑張ったのだ。
勉強を頑張って成績もずいぶんと上げたし、毎日の筋トレも欠かさなかった。
彼女が外出するときには、こっそり影から護衛なんかもしていた。
しかし実際に、街で不良たちから助けたのは少々やりすぎだったようで。
「ストーカーかよ」と怒られてしまったのだ。
一緒にいたタシロさんにも、真っ赤な顔で睨まれてしまったのだ。
それで球技大会。
前回の減点を挽回して、ミズハラさんにアピールするには絶好の機会である。
「くそ、なんでおまえなんかが」
相手チームにはサッカー部のエースがいて、そいつに僕は厳しくマークをされていた。
エースが時折チラリと見る方向にはミズハラさんがいたから、僕だって絶対に負けるわけにはいかない。
エースがタシロさんに告って散ったのは知っていたけれど、まさかミズハラさんまで狙っていたとはね。
かくして。
「くそ、くそ、くそ、なんでおまえが、なんでそんなにッ」
僕は覚えたてのエラシコでエースを股抜きして、ダメ押しの3点目を決めたのだ。
その瞬間、応援していたクラスの皆が沸いた。
ミズハラさんも、タシロさんと抱き合って喜んでいた。
よし、球技大会でアピールできた今こそ好機!
そう思っていたのだけれど……。
「もうアタシに構わないで」
ミズハラさんに、うんざり顔で告げられたのだ。
「キミはさあ、周りがまったく見えていないんだよ。つうか、アレでどうして分からないかね」
つまり石ころの僕にとっては、ミズハラさんでさえ高嶺の花だったらしい。
「はああぁ。悪いけど、アタシは友達を大事にしたいから」
ミズハラさんは、ため息を残して去っていったのだ。
ああ僕、あんなに頑張ったのになぁ。
放課後の誰もいない教室で。
僕は渡せなかった映画のチケットを破ろうとして。
「えええ、もったいないよぉ」
振り向くと、それはミズハラさんではなくて。
「あ、ええと、ええとね……」
傷心の僕に。
なぜかモジモジしながら。
いつものように真っ赤な顔で。
タシロさんは小さく囁いたのだ。
「ちなみに私、日曜日なら空いているんだけど……」