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朝鮮に脅されて3歳で戦国大名になりました - 救援
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救援

―――――――――1547年10月8日 塚崎城 天草久武―――――――――

「国康様、国康様」

どこだ、国康様はどこだ。

「久武殿、いかがなされた」

む、こやつはたしか国康様の小姓だったな。こやつなら国康様の場所を知っているはずだ。


「国康様は何処におられる」

「国康様ですか。いまは自室で作業をしていますが。どうかなされましたか」

「かたじけない。自室はどちらに?」

「そちらをまっすぐ行って右に行き・・・もしかして国康様に会いにいかれるおつもりで?」

「そのつもりだがなにか問題でも?」

「それならばやめておいた方がよろしいでしょう。いまは国康様が人払いを命じておりますので」


くそっ、なんでこんな時に人払いを命じているのだ。国康様は天草氏がどうなってもよいと言われるのか。・・・落ち着け、人払いを命じているのはたまたまだ。それに国康様が天草氏を見捨てるようなことはしないはず。あれほどの大勢の前で援軍を出すと言ったのだ。これで天草氏が滅ぶようなことがあっては国康様の信用問題にもなる。惟宗から離れる国人も出てくるかもしれん。


「いつぐらいに伺えばよいだろうか」

「さて、短い時は半刻ほどで終わりますが長い時は2刻半ほどかかりますので」

2刻半か。長いな。一体なにをしているのだろうか。

「気になりますか?」

「えぇ、もちろん」

「多聞衆の報告を聞いているだけですよ。機密性の高い話をすることが多いので人払いをしているのです」

「多聞衆というのは?」

「忍びたちの集まりのことです」

なにっ、忍びだと!?なぜ儂よりそのような卑しい身分の者が優先されているのだ。


「あ、そうだ。久武殿にはお伝えしていなかったが相手が忍びの者であってももとは浪人のものであっても差別するようなことは許されないので覚えておいてくだされ」

「しかし、そのような素行の知らない者が国康様のお側にいてよいのか?」

「ははは、ご心配なさるな。多聞衆を探し出したのは重臣の倉野茂通様です。それに多聞衆の頭領は評定衆の1人。国康様に害をなそうとはしませんよ」

「な、評定衆の1人だと。忍びのものがか」

「えぇ、評定衆は基本的に実力主義ですので。例えば東尚久殿はもとは敵対していた相神松浦氏の家臣でしたし、平井経治殿は少弐氏の庶家です。それに小姓である私は以前敵対していた千葉氏の当主ですし辰王丸殿に至っては安芸国の国人、安芸武田氏の遺児です。つまり惟宗家では家格は関係なく出世は実力次第ということですね」


なんと、そうだったのか。尚種様は国康様の事を国人に甘いからうまくいけば惟宗を利用してこれまで以上の所領を得ることができるかもしれんと言っていたがとんでもない。有能な国人を重用しているだけではないか。もしかしたら援軍をなかなか出さないのもそのようなことを言っていると知っているからではないだろうか。国康様は忍びのものを重用しているということはそのような話がすぐに国康様の耳に入るということだ。これはまずいぞ。


「いかがなされた。顔色が悪くなってきているが」

「いえ、今この時に天草家の居城である下田城が落ちているのではないかと思うと」

「なるほど。であれば問題ありません。おそらく今日か明日には援軍を出すでしょう」

「それは本当か」

「えぇ。今日まで援軍を送れなかったのは大友殿に使者を出していたからです。その使者が先程戻ってきたので動くならばそろそろかと」

「左様か」


よかった、これで最低限の仕事をして下田城に戻ることができる。

「彦法師、彦法師はおるか」

遠くから国康様の声が聞こえる。どうやらこの小姓を呼んでいるようだ。

「呼ばれていますのでここで失礼いたします」

「いや、こちらこそ呼び止めてしまい申し訳ない」

「では、ここで。あ、そろそろ戦の準備をなされた方がよろしいかと。おそらく先程呼ばれたのも出陣の事でしょうから」

「たびたび申し訳ない」

やっと出陣か。救援がつく前に下田城が落ちていなければよいのだが。


―――――――――――――――同日 塚崎城―――――――――――――――

「お呼びでしょうか」

「彦法師か。はいれ」

「はっ」

彦法師が音もなく入ってきた。

「久武はどうであった」

「救援がなかなか出ないことに対してずいぶんと不満を持っていたようです。それと惟宗では出世は実力次第と聞いた時かなり顔色が悪くなっていました」

「ほう、なにかやからなことでも企んでいたのかな」


うーん、普通に気になるな。なんでだろう。自分の当主が優れていると思っているならばむしろ喜ぶはずだろう。もしかして尚種は馬鹿なのだろうか。それだったら適当に理由つけて天草郡に押し込めておこう。

「しかし援軍を出すのは遅くないでしょうか?大友殿に遠慮していたとしても事後報告か援軍を出すのと同時でよかったはずです」

「そうだな。たしかに援軍を出すことだけを目的とするならばそれがよいだろう。しかし今回の目的はそれだけではない。天草郡でしっかりとした拠点を確保し名和氏・相良氏を攻め滅ぼすまでが今回の目的となる。そのためにはできるだけ天草郡の国人の力を削いでいた方が楽にことが運ぶ」

「しかしそのようなことをして援軍が遅れてしまっては本末転倒です」

「安心しろ。絶対に遅れない。すでに500の兵が天草郡に上陸している。落城しそうになったら攻撃するよう言っているからぎりぎりになることはあっても遅れることはない」

「なんと、いつの間に」

彦法師が驚いたように声をあげる。

「では、皆を集めてくれ。軍議を行い次第出陣する」

「はっ」

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