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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO - 41:現実世界にて-2
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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
1章:『ネズミの塔』
41/1000

41:現実世界にて-2

「ふうん……」

 金曜日の正午。

 『CNP』の公式サイトが更新され、第一回公式イベントの詳細が発表された。

 と言う訳で、私は食堂でスマホを使ってその内容を確認する。


「第一回公式イベントはPvP大会」

 事前に発表されていた通り、予選はバトルロイヤル形式で、本戦は一対一のタイマン形式。

 また、大会の間はプレイヤーは全員イベントマップに自動で移送され、通常マップではこの間にメンテナンスと各種調整を行うそうだ。

 なので、イベントに持ち込みたいアイテムあるいは無くしたくないアイテムがある場合には、きちんとセーフティーエリアに収めておきましょうとの事だった。


「イベントマップには観戦と交流用のマップもあるのね」

 どうやら今回のイベントはプレイヤー同士の交流会も兼ねているらしい。

 PvPに参加しないプレイヤーは観戦と交流用のマップで他プレイヤーと話をしたり、アイテムの交換をしたりが出来るらしい。

 アイテムを登録しておくと、運営判断で同価値と認められたアイテムと自動で交換してくれるシステムもあるようだ。

 勿論、イベントなど関係なく自分を鍛えたいというプレイヤーの為に、単純な戦闘訓練を行える簡易マップもある。

 なお、この交流用のマップでは、PvP対策と呪詛濃度不足対策を兼ねてか、全てのプレイヤーのアバターが異形度3以下の物になるそうで、私のように元のアバターの異形度が高いプレイヤーは面影が残るくらいになってしまうようだ。

 ちなみに観戦の方は宣伝の意味もあるのか、『CNP』のアカウントを持っていないユーザーでも、ゲストアバターを使うという形で行えるとのことで、リアルの友人などを誘ってみては如何でしょうかと書かれている。

 うん、ない。

 財満さんならばともかく、私がそう言う事をするのは無い。


「えーと、予選の形式はっと」

 とりあえず交流の方は問題なく行えそうなので、ネズミたちの死体を幾つかと垂れ肉華シダ関係の諸々をアイテム交換に登録するつもりでいよう。

 さて、メインとなるPvPだが……


「……」

 まず予選は参加者を16のグループに分けてのバトルロイヤル。

 参加表明は今日から前日の24時までにゲーム内の設定から行える。

 何人参加するのかは分からないが、ユーザー数から想定して、1グループ1,000人以下にはならないだろうという掲示板の予測もある。

 で、それぞれのグループごとに幾つかの地形がモザイク状に組み合わさった特設マップ(一辺10キロメートルの正方形)に移動。

 最後の一人になるまで戦い、生き残った一人が本戦に出場する事になる。

 まあ、ここまでは問題ない。


「厳しいわね」

 問題は特設マップの初期呪詛濃度が5しかない事だ。

 これに比べたら、時間加速機能を強化する事によって、リアル時間1時間=観戦マップ時間3時間=特設マップ時間24時間にしている事も、1時間ごとに生存可能範囲が狭まっていく事も、特設マップ内の呪詛濃度が少しずつ上昇していく事も気にする意味もない。

 他にも商品関係含めて細かいルールは色々とあるが、それだって気にしても仕方が無い。

 だって、呪詛濃度不足に陥ったら、1分もしない内にタルは死ぬのだから。


「あらそうなの。樽笊さん」

「財満さん」

 と、財満さんが声をかけてきた。

 食堂の席を探してもいたようなので、私は目の前の席が空いていることを示す。


「PvPイベントには樽笊さんも?」

「ええ、参加が可能なら参加したいと思っています」

 話題は当然ながら『CNP』についてだ。

 私の悩みの原因はそれであり、財満さんはそれを尋ねてきたのだから。


「でも厳しいと」

「やるからには勝ちを狙いに行きたいとは思いませんか? でも、勝つためには厳しい戦いを切り抜ける必要は絶対にありますから」

「それは確かにそうね。物見遊山が悪いとは言わないけれど、どうせ挑むなら出せる力は出し切りたいもの」

 本当はそれ以前の問題なのだが、そこは財満さんに教えても仕方が無い事だろう。


「それで、樽笊さんもと言う事は財満さんもですか?」

「ええ、参加予定よ。何処まで行けるかは分からないけど、やれるだけの事はやりたいと思っているわ」

「ふふふ、楽しそうですね。イベント中に出会えることは……祈るべきか祈らないべきか悩ましいところですけど」

「あー、確かにそれは悩みどころかもしれないわね……」

 バトルロイヤルと言う形式では不確定要素がかなり多い。

 戦闘能力に優れる一人のプレイヤーが偶々複数の相手から集中砲火を受けて倒れる事もあれば、最後の最後まで逃げ回るだけのプレイヤーが勝つ可能性だってある。

 タルの場合、一対一と漁夫の利は得やすいだろうが、集団に襲われたら逃げる暇もないだろうし、立ち回りには気を付ける必要があるだろう。


「と、そうそう。樽笊さんに伝えておくことがあったわ」

「何ですか?」

 と、財満さんが私を手招きしてきたので、顔を近づける。

 すると小声で財満さんは話しかけてくる。


「どうにも『CNP』のプレイヤー、うちの大学には私たち含めて5人か6人くらいは居るっぽいわ。そうと思しき会話をしている男子が居たから」

「そうなんですか。でも……」

「『CNP』プレイヤーとバレてから、それを縁に変なのが付きまとってきても面倒でしょう? 私もそう言う会話をしてた男子がどう言う連中なのかはよく知らないし。で、お互いのプライバシーがあるから、誰がプレイヤーだとは私は言わないけれど、樽笊さんがプレイヤーだと明かしたくないなら、自衛は忘れないでおいて」

「分かりました。覚えておきますね」

 まあ確かに必要なことかもしれない。

 『CNP』プレイヤーでサークルを立ち上げましょうとか言われても断固として拒否するし。


「とりあえず観戦と交流用のマップの方で上手く会えることを期待しましょうか」

「そうですね。そこで一度会っておくぐらいはいいかもしれません」

 この後、ちょっとした雑談を挟んで、昼の時間は終わった。

 なお、本戦のタイマンについては、マップのサイズが大幅に小さくなるのと、時間切れによる判定での勝敗決定要素以外は殆ど予選と一緒であるので、わざわざ確認する必要は無かった。

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