第十二話 コ●ラが来たりてコミカライズ
文芸部の撮影。
よくわからないうちに文芸部の紹介スピーチをすることになった。
「文芸部は本を読むことももちろんですが、部員全員が小説の公募に作品を出してます」
「神宮司くん。結果はどうでしたか?」
「某ライトノベル大賞二次選考落ちです!」
案の定、治安の悪いコメント欄は「だっさ!」「まったく学歴のないやつはこれだから」「一般文芸も書けない負け犬。だいたい(以下長文につき略)」と荒れまくってた。
なんで世の連中はライトノベルに敵対的なのだろうか?
ライトノベルに作家に親でも殺されたのかお前ら。
なんだかイラッとしたが笑顔で紹介を終える。
なぜか炎上しっぱなし。
なんだてめえら。
そのまま昼休憩。
弁当持ってきた勢とコンビニ勢で仲良く昼ご飯。
ぼくはコンビニのパンだけどね!
真田もパン。
もしゃもしゃ食べてると真田が「ぶっ!」とフいた。
「げほ、げほ、げほ!」
「どうしたん?」
「神宮司くん、……こ、こ、こ、こ、これみて」
「はい?」
『異世界転生したけど地味子エルフに監禁されてます』
「ガッデム……」
思わず口から罵倒が飛び出た。
数年前に性欲を持て余した挙げ句に書いた小説である。
R-18小説投稿サイトに書き散らしたものだ。
それが俺の作品だと炎上してるのだ。
書き込みはひどいものだ。
『童貞の妄想乙』
『高校生がなにやってんの?』
『死刑にしろ!』
死にたい……。
まさかの過去の自分が殺しに来る事案。
「らいぶ……」
「え?」
「ライブしてくれ……」
「あ、うん」
ライブ開始。
「地味顔そばかす貧乳エルフが好きでなにが悪い!」
開始一発目、俺はシャウトした。
すると滝のようにコメントがくる。
『ブス好き乙』
「女の子にブスって言うなバカ! ハゲ! 死ね! ハイ次!」
『なんという罪深い。ところで脇は……』
「毛が生えててもヨシ! 死ね! ハイ次!」
『もさ子は好きですか』
「しゅき! 死ね! ハイ次!」
『彼女さんは理想の女性ですか?』
「そうです! ハイ次!」
するとコメント欄でURLが貼り付けられた。
「なによ?」
『レビューされてる』
ほう……。
サクッと見に行くと、ぼくの小説のレビューをするライブ配信が流れてきた。
同時視聴ライブである。
『童貞特有の気持ち悪い文ですね。読んでて吐き気がしました』
なんかぼくと同じチー牛属性の声が流れてくる。
ぼくも負けじと同時視聴で実況する。
「ぼくに親でも殺されたのかな?」
『こんな駄作書いて生きてて恥ずかしくないのかな?』
「いやこの学校いる時点で人生恥さらしてるわけだし」
『まったく、精神が未発達で殺人鬼特有の文章だな』
「お前さ、レビューって言うなら、もっとキャラとか設定とか描写の矛盾とかあるだろ? なんでぼくの人格攻撃ばかりしてるん?」
『はははははは! 最終学歴高卒が決まってる知性の低さをどうにかしろ! なあ、みんなこれがエロラノベ書きの本性だ! 二度と文章書けないようにしてやろうぜ!』
おいおい……そこまで憎まれるいわれはないぞ。
それなのに同時接続数は1万を超えていた。
『殺人鬼高校のやつなんかの小説を拾い上げるやつなんかいねえ! 死ねよ! 今すぐ首吊れよ!』
ぐぬぬぬぬぬ!
たしかに性欲持て余してエロ小説書いたのはぼくだ。
だからってここまで言われるなんて……。
『死ね!』
『二度と書けないようにしてやる!』
『だから低能は! 死ね!』
あまりにもひどい言葉がコメント欄に羅列している。
そしてさらに燃料が投下された。
ぼくの二次選考落ち小説【パーティー追放された錬金術師。実は脱げば脱ぐほど強くなる酔拳戦士】だった。
「だ、ダメだ。こんなので気持ちよくなっちゃ! らめええええええ!」っていいながら全裸になって戦うショタの話だ。
落選したので普通の小説投稿サイトにあげたものだ。
『ぷー! なにこのヘタクソな文章! 死ねばいいのに!』
動画のコメント欄にぼくへの罵倒が次々と流れていく。
いや文章の前に設定の方にツッコミ入れろよ。
『こいつら社会経験がないからファンタジーばかり書くんだよ!』
いやだから全裸……。
『死ねよ高卒童貞!』
いやだからぜ……。
『ラノベとか言う退廃芸術を規制すべき!』
一人ナチスが混じってるな……。
そのときだった。
『拾い上げ……? いるさここにな!』
はい?
そのアカウントは知っていた。
エロ同人界のスターにして人気配信者。
変態のジャ●プと言われる雑誌で定期的に作品を発表する『アサシンホール須田』先生のアカウントだった。
そう、ぼくの人生が変わった瞬間だった。
『どこまでも己の性癖を追及するその姿勢! まさにモノノフ! 私がコミカライズする!』
「えええええええええええええええええッ!」
展開が速すぎる。
『ちょ、いまなにが起きた!?』
『コ●ラ乙!』
『コブ●が来た!?』
コメント欄が困惑する。
俺もわからない。
『ネームできたら作業中継するぜ! 作者さんいいよね!』
「もちろんっす!」
サムズアップ。
このコメントに配信者は激高した。
汚い言葉で罵声を浴びせる。
「底辺物書きに底辺漫画家が組みやがってよぉ! ぶっ殺してやる!」
と配信者が言い放った瞬間、ライブが強制切断された。
おそらく運営に通報が届いたのだろう。
「お、おう……」
クラスのみんながぼくを見た。
「その……ごめん……昔えっちな小説書いてたんだ……」
バカにされるかなと思ってた。
だけど違った。
「お、おう、でもすごいじゃん! マンガになるんだろ?」
「同人だけどね」
「すごいじゃん!」
そうか……男子も女子もバカにするような連中はみんな死んだのか。
そりゃそうなるか。
「よかったね!」
真田も喜んでくれた。
ヨシ!
この日はこれで終了。
結局誰がなにを歌うかでもめまくっていた。
時間あるからいいけどね。