38.見守り隊になりました
目を離したら何処かへ飛んでいってしまいそうな自由奔放さは庇護欲を誘われる。
そして全てを受け入れてくれる優しさに安堵してしまう。
少し……かなり頼りないが、強力な味方を手に入れた事にビアンカは安堵していた。
そしてラヴィーニアも無意識に最強の味方を手に入れたのだった。
あの後、ビアンカとメリーと共に目元を冷やしていた。
すると、焦った表情を浮かべたフィンが走ってくる。
そして目を赤くして鼻を啜るラヴィーニアの様子を見て、此方を睨みつけている?
「姉上に何をしたんですか……!?」
メリーがピリピリとした空気を感じて、ビアンカを庇うようにして前に出る。
それに気づいたラヴィーニアが、すかさずフィンを止める。
「……フィンやべで!ビバンカばどもだちだがら!!」
「「!?」」
「はぁ……姉上、落ち着いてからもう一回話してください」
鼻が詰まりすぎて話せないラヴィーニア。
ラヴィーニアの言っている事がわからずにフィンが聞き直す。
チーーンという大きな音と共に鼻をかんだ後、嬉しそうにビアンカと友達になれた事を報告した。
そして全ての事情を知っているビアンカならば、友達になってもいいのでは、とフィンに提案したのだった。
ステファノとジューリオとも関わりがある為、ビアンカと一緒に居ても違和感はないだろうと判断したフィンは、頷いたのだった。
「もう、心配させないでよね……」
「ごめんなさいっ!」
「良かったね、姉上」
「ありがとね、フィン!女の子のお友達が出来て、とても嬉しいわ……!」
「ビアンカ王女殿下、申し訳ありません。姉を思うが故に……失礼な態度をお許しください」
フィンがビアンカを見て腰を折る。
その姿を見たビアンカは無表情ではあるが、頬がほんのりと赤くなっていた。
「……構いません」
「ありがとうございます」
「わたくしも突然呼び出してしまってごめんなさい。ラヴィーニアと仲良くしてもらいなさいと、お父様に言われて……つい嬉しくなってしまって」
「……そうだったんですね」
「わたくしはずっと城に篭りきりだったから、友達が居なかったの……ラヴィーニアと親しくなれて嬉しいわ」
国王は王女を溺愛しており、病弱なビアンカは城から出さずに、何でも欲しいものを与えていたと聞いた事があった為、納得出来る理由だった。
体もだいぶ丈夫になり学園に通えるようになった。
今まで見ていたビアンカの姿とは大分違うような気がした。
やはり"心変わりした王女"の噂は本当だったようだ。
そして国王はラヴィーニアが側にいれば、ビアンカに何かあってもすぐに対応出来ると判断したのだろう。
本当に抜け目ないというか……恐ろしいほどに頭が回る。
「私も、ビアンカと話せて嬉しいわ!転生……むぐっ!」
「てん……?」
「何でもないんですよ!オホホホ、フィン様……お気になさらないで」
ビアンカの圧を察したラヴィーニアは、小さく頷く。
そして口元にある手のひらを外してもらったのだった。
「……あっ、そうだわ!ビアンカと折角仲良くなれたのだから、ウチでお茶しましょう?」
「えっ……?」
「姉上はそうやってすぐ……」
「フィンも今日は一緒にお茶出来る日でしょう?最近フィンもディーゴも忙しそうだったから寂しかったの」
「……もう仕方ないな。王女殿下、ご予定は如何ですか?」
「だ、大丈夫ですわ」
「やったわ!今日のお菓子は何かしら!楽しみね」
「「…………」」
ルンルンで歩くラヴィーニアにフィンから注意がはいる。
しゅん……と落ち込んだ後にキリッとした顔を作るラヴィーニアに、二人は目を合わせて微笑んだ。
こうしてラヴィーニアの見守り隊が一人増えたのだった。