Deprecated: The each() function is deprecated. This message will be suppressed on further calls in /home/zhenxiangba/zhenxiangba.com/public_html/phproxy-improved-master/index.php on line 456
ルミナリーファンタジーの迷宮 - 第二章6   『導きの塔の鐘の音』
[go: Go Back, main page]

表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ルミナリーファンタジーの迷宮  作者: 蒼城双葉
第二章 ソロモン島編
48/187

第二章6   『導きの塔の鐘の音』

 モンスターを(たお)しつつ歩くこと十五分。

 俺は足を止めた。

(かい)くん、どうしたの? そんなに(いっ)(しょう)(けん)(めい)に周りを見ちゃって、なにか気になることでもあった? またモンスター?」

 俺は、不思議(ふしぎ)そうな顔をする逸美(いつみ)ちゃんに、周りを観察(かんさつ)しながら答えた。

「いや。ここ、さっきも通った場所だと思うんだ」

 (なぎ)はちょっと(うれ)しそうに言った。

絶対(ぜったい)そうなると思った。《(まよ)いの(もり)》とかいう名前な時点で、正攻法(せいこうほう)は使えないだろうってね」

「だったら早く言えよ! しかもなんで(うれ)しそうなんだ」

「まずは(ため)しってやつさ。開、いまオカリナを()けるかい?」

「え? いま? 吹けるけど」

 アイテムから《(なぞ)のオカリナ》を取り出し、口に当てた。

「ぼくの予想(よそう)では――」

 オカリナを(かな)でると――


 森が動き出した。


 どういうことだろう。

 よーく見ると、何本かの木が歩いている。()っこが足になって動物や昆虫(こんちゅう)みたいに動いているのだ。こうやって、わずかに動きながら勝手に道を変えていたのか。

「オカリナを()くことでこの木が動いて、正しい道を作るんだ。オカリナの音色(ねいろ)反応(はんのう)する木だったわけだね」

「なるほど! よく見れば、この木は(ほか)種類(しゅるい)が違うかも」

「やったね、開くん」

 俺たちは、新たに作られた道を進む。

 うねりながらもずっと一本道で、分かれ道は見当(みあ)たらなかった。



 五分も歩いたら、出口が見えてきた。

 森を抜ける一歩手前。


 カーン、カーン


 遠くで、高らかに()(ひび)(かね)()が聞こえる。《グリーントーレ》の《(みちび)きの(とう)》でおじいさんが()らす(かね)()だ。

 逸美ちゃんがメニューを(ひら)仕草(しぐさ)をしたのでその様子を見てると、俺の視線(しせん)に気づいた逸美ちゃんが「気になるの?」と言いたげに微笑(ほほえ)んで共有状態(きょうゆうじょうたい)にしてくれた。確認すると、左下にある時計はちょうどお昼の十二時を示していた。

「ちょうどいい時間だね」

 俺はそう言ってから、すぐに逸美ちゃんの画面を見直す。思いっ切り二度見してしまった。

「て、なに見てたの!」

「うふふ。開くんの写真っ。どれも可愛(かわい)く映ってるでしょ? これなんて昨日(きのう)凪くんに送ってもらったの」

 それは昨日(きのう)(みず)()びをしたときのときの写真だ。川に飛び込む瞬間(しゅんかん)の俺だった。

「そうだよ、開。キミの(はら)チラ。カメラに(おさ)めるのに集中したもんさ」

「なに()ってんだよ! ていうか、このゲーム、写真なんて()れたの?」

「当たり前だろ。(げん)に、ゲーム内でぼくはキャメラマンの(しょく)についてる」

「このゲームに職業制度(しょくぎょうせいど)なんてねーよ。普通(ふつう)にカメラマンって言え、カメラマンって」

 (あき)れる俺に、凪はなおも写真を指差(ゆびさ)してしゃべり続ける。

「ほら。開の王子様姿(すがた)もそこにあるだろう? 首元にひらひらが付いてるやつ。あの恰好(かっこう)(のが)さず()れてよかったよ。ついでに(すず)ちゃんの写真をいくら()ったところで容量(ようりょう)圧迫(あっぱく)がないのがいいね」

 また、ピッと空に(まど)が現れる。リアル世界の鈴ちゃんが顔を赤らめて、

先輩(せんぱい)! あ、あたしの水着写真なんて()って、どうするつもりですかっ」

「どうもしないよ。写真は思い出じゃないか」

「あとで確認させてもらいますからね。変な写真は消しますからねっ」

 それだけ言い切って、(まど)がひゅんと消える。

「やれやれ。あんなに(さわ)がれちゃ、せっかく遠くで(ひび)(わた)(かね)()風情(ふぜい)がないよ」

 風情(ふぜい)がないのはおまえと逸美ちゃんが余計(よけい)なことしてるからだろ。



 俺たちが森を抜けると、同時に(かね)()も消えた。

 (そう)(げん)に出る。

「やったー。()けられた」

「それにしても開くんのオカリナ、ずっと聞いていたかったなあ」

「あれは俺が演奏(えんそう)したんじゃなくてコンピュータの音だよ」

「ふふっ。それでもいいの」

 逸美ちゃんがにこっと微笑(ほほえ)んだ。

 凪はうなずく。

「うん。キミの演奏(えんそう)はよかったよ。あのオカリナ、ぼくに()してくれるかい?」

「別にいいけど」

 俺は凪にオカリナを手渡(てわた)した。凪は音楽が好きだし、あとでまた、オカリナの調べを()きたいのだろうか。

「サンキュー」

 それから、凪が振り返って、

「見てごらんよ」

 言われて俺も振り返ると、森はまた動き出して道を()ざした。こうやって(つね)に小さく動いてたんだ。

「さて。キリもいいし、俺たちもいったんログアウトする?」

「そうね。お昼にしよ」

 と、逸美ちゃん。

 凪は自分のお(なか)をさすって、

「ぼくもうお(なか)ぺらぺら。背中(せなか)とくっつきそうだよ」

「それ言うならぺこぺこだろ? 確かに背中(せなか)とくっつく想像(そうぞう)はしやすい擬音(ぎおん)だけど」

 俺はくすっと笑い、凪は「確かに」と相槌(あいづち)を打つ。

「おまえがそう言ってどうするんだよ。ははっ。相槌(あいづち)がおかしいぞ」

「二人共、いつまでも(あそ)んでないで(もど)るわよ」

 逸美ちゃんに呼ばれて、俺と凪は顔を()()わせる。


 こうして、三人全員メニューを(ひら)いて、ログアウトボタンを押した。

 そして、ゲーム世界から現実世界に(もど)ってきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ