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【コミック4巻発売】お前のような初心者がいるか! 不遇職『召喚師』なのにラスボスと言われているそうです - 第87話 どういたしまして?
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【コミック4巻発売】お前のような初心者がいるか! 不遇職『召喚師』なのにラスボスと言われているそうです  作者: 魚虎・瀧岡くるじ
第四章 let's enjoy killing festival

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第87話 どういたしまして?

時は少し遡って。


丁度オウガとパンチョが向かい合い、決着をつけようとしていた時のこと。


 庭の中央、ブレイブマンモスの背に乗りながら采配を振るっていたメイは、オウガの到着に心をときめかせた。


(オウガ、もしかして私を助けに来てくれたの?)


だがそんな興奮もすぐに冷める。会話こそ聞こえないものの、オウガとパンチョのやり取りを見て、なんとなく、だが全てを察した。


「これヤバいやつだ……」


と。


メイはパンチョの思いになんとなく気が付いている。


メイから見て、オウガはパンチョのことを女子として意識していない。だが油断はできない。女子として意識していないからこそ、まるで同性の友達のように二人の心の距離は近い。


一度異性として意識してしまえば、二人の仲が進展するのは明白だった。


(邪魔しないと!)

(でもパンチョがかわいそう)

(それに私がこの場を離れたら……)


「あわわ……私はどうしたらいいの!」


メイの中の悪魔と天使がせめぎ合う。


その時。


メイの視界に、金色に煌めくモンスターの姿が目に入った。


「て、敵……じゃない。ヨハンさんとゼッカさん!? それに……何あの召喚獣……とんでもなく強い!?」


その黄金の昆虫は、隕石のようにパンチョの居る方へ突っ込むと、一撃で彼女を葬り去った。


(よ、ヨハンさん……もしかして私の気持ちを察して……?)


違う。


(ああ。やっぱり貴方は……ヨハン様は……神!!)


***


***


***


「ぎゃあああああああああああ!?」


時は戻り。


ヨハンが空中にてクロスを倒してしまった様子を、メイも地上から見上げていた。そして、当然のことながら混乱していた。


(あ、あれ? オウガをクロスくんと戦わせてあげるんじゃなかったっけ? なんでヨハンさんが直々にトドメを……?)


そして、混乱しているのは、メイが押さえ込んでいた他のセカンドステージの面々も同じだった。


「え、クロスくん死んだぞ」

「えぇ……」

「何やってんだよアイツ……」

「どうする?」

「撤退するぞ。クロスを倒したヤツに勝てる気がしねーし」

「だな。それに死ぬ無様を晒したくない」

「けど中の奴らはどうする?」

「知らねーよ!!」


庭に残っていたセカンドステージの面々は、リーダーを失った事で明らかに動揺し、浮き足立っていた。


メイは咄嗟に気持ちを切り替える。こちらもドナルドと煙条Pがやられている。そのお返しをしなければと思ったのだ。


「ブレイブマンモスと私のMPをコストに召喚獣召喚! ――モノリス!!」


幾何学的な魔法陣から、黒い壁のようなモンスターが出現する。召喚獣のコントロールを奪うスキル持つ召喚獣モノリスだ。


「ヨハンさんの力、お借りします! ――テンプテーションアイ!!」


 モノリスの眠たげな単眼が怪しく輝き、キングビートルを補足する。すると、キングビートルのコントロール権がヨハンからメイに移った。


 メイはさっそくメニューを開くと、キングビートルのスキルを確認する。そして、一番強いだろうスキルを発動する。


「――【トキシックイレイザー】!!」


 キングビートルの口から、毒々しい紫色の螺旋光線が放たれ、セカンドステージの面々を襲う。直撃した者はそのまま溶けて消え、直撃を免れた者は、トキシックイレイザー第二の効果に襲われる。


「く……毒か!?」

「俺は……麻痺もついた!?」

「ボクは呪いがあああ」

「あああ……HPがあああ!?」

「こんなところで……」


トキシックイレイザーは周囲に状態異常の毒の霧を発生させる。耐性の無い者から状態異常に感染し、徐々にHPを削られていく。そして。


ヨハンが地面に落ちてくる頃には、セカンドステージの残党は全て溶けて消えていたのだった。


***


***


***


 城の中に侵入していた残りのセカンドステージメンバーも、レンマとゼッカが無事殲滅完了。


ドナルドと煙条Pを失ったものの、ギルドクリスタルを破壊されることもなく、無事危機を乗り切った竜の雛。


そのギルドマスターヨハンは現在、小学生プレイヤーオウガの前に正座し、謝罪をしていた。最早土下座の5秒前。雰囲気だけなら某倍返しドラマのワンシーンのようである。


「あの……なんとお詫びをしたらいいのか……」


あまりのやらかしにオウガがどのような反応をするのか、チラチラと彼の姿を盗み見るヨハンだったが。


「ぷっ……あっはははははは」


オウガは吹き出すと、腹を抱えて笑い出した。その様子を見て、メイが怒る。


「ちょっとオウガ! ヨハンさんがちゃんと謝ってるのに、笑うなんて失礼でしょ!」

「いや、違うって。ギルマスを笑ってる訳じゃないって……」


オウガは笑いが治まるまで待ってから、再び口を開く。


「いやさ。アイツの悲鳴なんて初めて聞いたから、可笑しくてさ。だって『ぎゃあああ』だぜ? 『ぎゃあああ』て」

「ちょ……やめてよオウガ。いつも気取ってるクロスくんとのギャップで私まで笑っちゃうでしょ……ププ」


「……フッ。よくわからないけれど、私は許されたようね」


あははと笑う小学生組みを見て、立ち上がるヨハン。


「許すとか許さないとか無いっす。寧ろ……」


オウガは今の自分の感情を表す言葉を探しているように、少し考え込んだ。


「すっきりした……いや違うか。多分、一番は驚いたんだと思います」


オウガは今まで、このゲームでクロスを倒すため、努力をしてきた。レベルを上げたり、強いプレイヤーに教えを受けたり。


しかし心のどこかで、クロスに勝てるのだろうか? という思いがあった。


 クロスとはかなり長い付き合いだ。そんな中で、オウガはクロスに勝ったことがない。それに、クロスが誰かに負けているところを、見たことがなかった。だからこそ、自分がクロスに勝つイメージができないでいたのだ。


ある意味、オウガの中でクロスは神格化されていたと言っていい。


 だが今日、オウガの中のまやかしの幻想は綺麗に消え去った。消え去って、そこに残ったのは、ヨハンという理不尽な力の前に屈した、自分と同じ少年の姿だったのだ。


「残り二日……多分あいつはまたやってくる。その時に勝ちます。ギルマス……今日はありがとうございました!」

「……? ええ、どういたしまして?」


ヨハンは何故オウガがここまでスッキリした顔をしているのかわからなかったが、とりあえず頷いた。



一件落着。


と言ったところで、中に居たゼッカとレンマが外へとやってきた。初日の残り時間はあと一時間。


遠征に出たコンはゆっくりとポイントを稼いではいるが、もう戻ってこられる距離ではないので、そのまま戻らず、ギリギリまで敵と戦ってポイントを稼ぐことにするらしい。


残ったメンバーで今後の相談がしたいと言うことで、庭にて作戦会議である。



1位【セカンドステージ】1140P


2位【最果ての剣】808P


3位【神聖エリュシオン教団】639P


4位【みんなランサーズ】620P


5位【GOO支援部】270P


6位【開眼Bows】220P


7位【竜の雛】218P



 最後に更新されたランキングを確認する。ポイントに変動はあるものの、ヨハンたち竜の雛は7位まで上昇。初日はまずますの戦果と言っていいだろう。



「……セカンドステージは不動の1位だね」

「けど、あの子たち手の内を晒しすぎたから……明日はわからないわよ」

「どうします? これ以上無理してポイントを稼がなくても、今日は守りを固めておくだけでいいと思うんですが」


ヨハンは考える。


7位。まずまずの順位と言っていい。だが、順位を上げれば上げるほど、ギルドクリスタルを破壊する為に下位のギルドから狙われる可能性が高くなる。


「イベントエリアからは、ここに表示されているポイントの分だけ、人が減っているのよね」


一人倒すごとに1ポイント。4000人近くのプレイヤーが既に脱落していることになる。


 無限に湧くモンスターを倒すイベントとは違い、ポイントの数は有限だ。だからこそ、ギルドクリスタルを破壊され、半分のポイントになる……なんてことは絶対に避けたかった。


今日は無理せず守りを固めるべきか。


それとも、もう攻めてくるプレイヤーは居ないという事に賭けて、明日に備えてポイントを取りに行くべきか……。


「むぅ~むむむ」

「あの、ヨハンさん……私、気が付いたことがあるんですけど……」


おずおずと手を上げたのは、メイだった。


「あらメイちゃん、どうしたの?」

「はい……私たちが勝つためには、もっとポイントが必要なんですよね?」

「ええ、そうね」

「でも、ポイントを稼ぎに外へ行くと、お城の守りが薄くなって、クリスタルを壊されるリスクが上がる……だから皆さんは悩んでるんですよね?」

「賢いわメイちゃん。その通りよ」

「えへへ」


ヨハンはメイの頭を撫でる。メイは嬉しそうにしてから、庭の隅っこに放置されていた、とある召喚獣を指さした。


「だったら、あの子が使えると思うんです」

「あの子……あっ!」


メイが指さしたのは、奪ってきたのをすっかり忘れていた、キングビートルだった。


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― 新着の感想 ―
[一言] 全ての作品と更新に感謝を込めて、この話数分を既読しました、ご縁がありましたらまた会いましょう。(意訳◇更新ありがとな、また読みに来たぜ、じゃあな!)
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