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融合世界 - 争い渦巻く第六領域『ファーストプレイヤー:イオ・アガリス』16
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融合世界  作者: らる鳥
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争い渦巻く第六領域『ファーストプレイヤー:イオ・アガリス』16





 私が人間側で聞いた話では、妖は須らく鬼と共に人を襲う化け物と言った扱いで、そもそも鬼と妖の区別すら曖昧に、双方共に敵対者と言う扱いだった。

 一応は下級の妖が雑兵であると言う所だけはハッキリしていたけれど、中級以上の妖に関しては本当に良くわかっていない。


 だがゴーラの話を聞いていると、その辺りが少しずつ見えて来る。

 そもそも鬼族は、実は十州の人間に比べると物凄く数が少ないらしい。

 鬼族自体の総数がどれ程居るのかはゴーラも詳しくは知らない様だが、戦士階級の数は多くても千に満たないと言う。

 だからこそ鬼が人間と戦うには妖の力が必須になるのだが、けれども全ての妖が人間に対して敵対的と言う訳でもないそうだ。


 寧ろ友好的とは言わぬまでも人間に対しての興味がなく、自分の縄張りに踏み込まれなければどうでも良いと思ってる妖が多数派なんだとか。

 但しそんな中立的な妖は、当然ながら人間の前にわざわざ姿を見せる事は滅多にない。

 故に人間側が目の当たりにするのは、人間を苦しめたい、殺したい、喰らいたいと言う欲求で、攻め寄せて来る化け物ばかりなのだろう。

 またそんな人間に対して敵対的な妖のリーダー格の一体が、七尾の大虎だった。


 年老いて寿命が間近に迫った猫が魔力を吸うと妖となり、尻尾が二股に分かれて寿命で死ぬ事がなくなるとされる。

 そうやって生まれた妖を猫又と呼ぶが、猫又は長く生きて魔力を吸い続ければ、更に尾の数は増えてその力も増して行く。

 猫又の妖としての格は、二尾なら下級、三尾から五尾なら中級、それ以上は上級の扱いになるそうだ。

 そして七尾の大虎は、猫ではなく、年老いた虎が魔力を吸って生まれた妖らしい。


 ……猫も虎も、同じ猫科の動物って事なのだろうか?

 当たり前の話だが、虎は猫よりも強い生き物で、妖となった大虎もやはり猫又よりずっと力が上だ。

 まぁ野生の虎が寿命間近まで生きられるケースが稀だから、大虎の妖が生まれる可能性はとても低いらしいけれども。

 しかしこれは単に七尾の大虎が珍しい妖ってだけの話ではなく、妖となる前から狡猾で強い個体だったと言う事を意味する。



 数の少ない鬼の戦士の中で、突然現れて伍の島、拾の島を攻め落としたゴーラは当然ながら物凄く目立つ。

 鬼ならば強い同族の出現を歓迎こそしても、疑ったりその出自を探ろうだなんて考えもしないが、妖である七尾の大虎は違う。

 七尾の大虎は突然現れた鬼の英雄を怪しみ、その正体を探ろうとした。


 この辺り、ソウは依頼人と交渉して確固たる立場を確保してから動いているので、人間側でも英雄として受け入れられている。

 ゴーラには悪いけれど、ソウの方がその辺りの機微に聡く、立ち回りも上手かったと言わざる得ない。


 でも七尾の大虎が幾らゴーラを調べた所で、わかる事は何もなかった。

 そりゃあ私達アガリスには、領域にやって来る前の過去なんて存在しないのだから、いくら調べた所で何かがわかる筈もないだろう。

 だからこそ七尾の大虎は、突然湧いて出たとしか思えない、そして実際に突然このアルガラード領域に湧いて出たゴーラに対し、彼を支配してしまう事を決める。

 例えその正体が何であろうとも、自らの力で支配下に置けば何の問題もなくなると。


 かなり強引な結論ではあるけれど、島を攻め落として結界を破壊し、人間を殺して喰らいたい七尾の大虎と、最終的には人と鬼に講和を結ばせたいゴーラの思想は相容れないので、それが完全に間違ってる行動だとは言い難い。


 七尾の大虎は大手柄を立てた新たな鬼の英雄を歓待したいと参の島に招き、自らの尾の一本を憑依させてゴーラの精神を支配しようとした。

 だがゴーラは完全に自らの精神が支配される前に門の加護を使って逃げだして、まだ七尾の大虎が影響を及ぼし難い伍の島の、結界の中枢近くに引き篭もる。

 そうしてゴーラは伍の島の州城から動かず、耐えに耐えて、七尾の大虎の支配から逃れるチャンスを待ち続けたそうだ。

 植え付けられた尻尾を通して情報を奪われない様、依頼人との接触、リザルトやステイタス更新もせずに、ただ只管に耐えて。


 故にあの結界の力が戻った時、七尾の大虎の影響力が低下し、その場を少しでも離れろと命令する尻尾に抗って、ゴーラはそれを引き剥がそうと足掻いていたのだと言う。

 つまり今のゴーラは、漸く七尾の大虎の支配から完全に逃れられたと言う訳だ。

 尤もその代償として、七尾の大虎を完全に怒らせてしまったけれども。



 本来ならばゴーラは自陣営の実力者、七尾の大虎にも匹敵する力を持つ鬼に頼るべきだろう。

 けれどもその実力者、風雷鬼は碌に戦えない今の現状に不満を持ち、自ら永い眠りに付いていた。


 さてそうなると、ゴーラ及び私の選べる道は二つしかない。

 一つは七尾の大虎が手出し出来ない程の遠く、十州の外、大陸に逃れる道。

 ゴーラは最初、当たり前の様に十州を脱出する心算だった。

 まぁゴーラが再び七尾の大虎に遭遇すれば、殺されるか支配されるかの二つに一つだろうから、それも仕方がないだろう。

 けれども私の立場から物を言うなら、十州からの脱出は何も問題の解決にならない。


 ゴーラが十州から消えた所で、七尾の大虎はソウの前に立ちはだかる大きな障害だ。

 またゴーラが十州から消えれば、鬼側の状況を調べる事の出来るアガリスが消えてしまうし、仮に代わりのアガリスが来たとして、同じく七尾の大虎に目を付けられてしまう可能性は高い。

 要するにアガリスとして、七尾の大虎はどうしようもなく邪魔な存在だった。

 そして何よりもゴーラ自身が、折角第七領域から第六領域に移っても、手強い障害の一つが出て来た位で大陸に逃げ出すなら、以前と何も変わらないから。

 私は二つ目の道、七尾の大虎の抹殺を主張する。


 ゴーラは私の言葉に、その正気を疑いすらした様だが、私に言わせれば七尾の大虎を放っておく方があり得ない。

 何せ七尾の大虎が存在するだけでソウやゴーラを含むアガリス達、私の後輩に迷惑が掛かるのだ。

 いや、そもそも既にゴーラを支配しようとしていた事自体が、どう考えても私には許せないのだろう。


 勿論、実際に七尾の大虎を目の当たりにしたゴーラに比べると、私は脅威の認識が足りていないのかも知れない。

 しかし万一の際の、自分の力だけでは本当にどうしようもない時の切り札は、この手の中にずっと以前から握ってる。




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