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魂の双子~イチャイチャ同棲は加速する~ - 1-44 プレゼント選び
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1-44 プレゼント選び

よろしくお願いします。

 女の子の町だとか、女の子の店だとか。

 そんな風にカテゴライズされる場所は日本にもたくさん存在するが、俺はそういった場所に足を踏み入れたのが今回が初めての事だった。


 メローは、15歳から20歳程度までの女子をターゲットにした町である。

 そんな町だからもうね。


 きらきらーであまあまーでしゅきしゅきーできゃわきゃわーで……


 もはや異次元だった。むしろこここそが異世界。


 場を満たす空気の質が異常なほど高く、まるで聖なる森のように空気が美味しい。これが日本での事なら入場料取れるレベル。1時間3500円くらい。お触りはもちろんダメだぞ。

 しかし、リラクゼーション効果は疑わしい。

 なにせ、空気の美味しさに反して、俺の居心地の悪さはマッハ。


 きゃっきゃっにゃーにゃーする声を耳に入れるたびに、精神に回復効果とダメージ効果が同時に入る。実に恐ろしい空間であった。


 とにもかくにも。

 早いところ用事を済ませてしまおう。


 俺はゼットでお目当ての店を確認した。

 ……あっちか。


 俺はお店に向けて歩き出した。

 目線は軒を連ねているお店の店名を追いつつ、決して女子にぶつからないように。


「ここか」


 あにもーらんど。


 期待度が膨らむネーミングだ。

 ロロをあにもーにするお店である。


 ショーウインドウにはあにもーセットを頭とお尻につけた女子のホログラムが映っていて、ぴょんとジャンプして着地と同時ににゃんっとポージングを繰り返している。控えめに言ってくそ可愛い。


 おっと、女子4人組がきゃっきゃっしながら入っていった。

 俺もそれに続こうかと思ったが、なんだか無性に恥ずかしい。


 女子ばっかりのジュエリーショップに突撃する男子もこんな心境なんだろうか?

 ひたすらと勇気がいる。


 い、行ってみようか……

 俺はあにもーらんどに突撃した。


 にゃんにゃんにゃんっ。

 かれしにめろめろにゃるきゅんにゃんっ。しゅきっしゅきっ。

 

 わんわんわんっ。

 かれしにあまあまわふきゅんわふぅんっ。しゅきっしゅきっ。


「……っ!?」


 洗脳BGMが俺を状態異常・怯えにする。

 俺はそのまま回れ右して店内を出ようとしたのだが、後から来た女子グループと目が合い、逃げるに逃げられず。ここで立ち去れば俺は良い笑い者だ。

 男子が無理してたWWW、とか言われたくないんだ……っ 


 俺は、え、別になんとも思ってないけど? みたいな済ました顔で店内へ戻った。


「いらっしゃいませにゃーん!」


「いらっしゃいませわふぅ!」


 にゃーんはともかく、わふぅはごろ悪いなぁ。

 しかし、ショートパンツから犬尻尾を生やす犬っ娘店員の方が俺は好き。スレンダーな太ももの後ろでフリフリする尻尾が最高にエロい。


 そんな犬耳店員が店内に侵入した異物を認識。

 にっこり。

 超笑顔で迎えられた。はわぁ、可愛いな。

 い、いやいや、ロロへのプレゼントのために来たのに店員さんに見惚れてどうする。


 さて、店内は各ケモノセットごとで陳列区画が別れており、それぞれ目立つところにホログラムマネキンが置いてあった。ホログラムは、完全装備の女子が軽いアクションを披露している。


 とりあえず店内を巡ってみる。

 売っている物は、ケモミミ、ケモシッポ、ケモ手袋、ケモ靴、着ぐるみパジャマ、ケモ小物……いろいろあるな。


 そして、女子率……っ。

 俺以外に男子がいないんだが。

 本当に俺はここに入店して良いのかな、と本気で思えてくる。まあ店員さんと目が合って、追い出されなかったので平気なんだろうけど。


 さて、そんな中で俺は一つ気づいた事があった。

 女子がみんなしてゼットを使っているのだ。

 そして、真剣な顔をしたり、はしゃいだり。

 何をしているのか気になるが、女子のゼットを覗き込むなんて恐ろしいことは出来ない。下手すれば社会的に殺される。


 さて、それではお買い物だ。


 すでにロロにつけて欲しいケモノセットは決まっている。

 猫セットだ。

 正直に言えば、犬セット、特に犬尻尾の方が萌えるのだが、ニャーニャー言うロロにはやはり猫だろう。


 猫コーナーへGO。


 さすがに遠い先祖が猫だっただけあり、猫コーナーは人気だった。

 女子がニャーニャー言いながら楽しそうに商品を見ている。

 怯むわぁ。入りにくいわぁ。


「もし良かったらご案内しましょうか?」


 そう声を掛けてきたのは、犬耳店員さんだった。

 眼球に重力魔法を喰らった俺は、彼女の下半身に視線が移動しそうになるのを必死で耐えつつ、答える。


「えーっと、そうですね。それじゃあお願いします」


 一人でニャーニャーゾーンに突撃するのは憚れるので、俺は犬耳店員さんに頼ることにした。


「猫セットをご希望ですか?」


「はい。あ、俺じゃなくて女の子にプレゼントする用なんですが、本人がいないと不味いですか?」


 今更ながらサイズなどのことに考えが至って俺は内心で焦った。

 犬耳店員さんは、少し驚いたような顔をした後、にっこりと微笑む。


「その女性の写真があればアプリで着せ替えが出来ますよ。ご紹介しましょうか?」


「ぜひっ」


 凄い良いアプリをご紹介されることに。


 窓口で犬耳店員さんに教えてもらいつつ、アプリを落とす。

 顔を突き合わせるように丁寧に教えてくれる俺よりも少し年上くらいのお姉さん。その香りにドキドキしてしまった事に、少し罪悪感を覚える。


 合わせて軽くしてもらった説明によると、肌の露出には限度があるので水着等は着せられないみたい。

 それを男子に面と向かって説明しないでもらいたい。おかげで赤面してしまった。


「へぇ、これが君の好きな女の子なの?」


 説明の間に砕けた口調となった犬耳店員さん。

 その視線の先には、微エロ動画もとい魔法の参考用に撮った動画から切り抜いたロロの立ち姿がある。

 あの時はコートなしの白白ルック生足マシマシだったので、当然ながらこのロロの画像もそれだ。くそエロい。

 ……恐ろしい事に、こんな場所だってのに紳士の下着が活躍してしまった。


「は、はい。ははっ、お察しの通りそうです」


 こういう類の話題で女性相手に隠し事なんて出来るはずもないので、俺はもじもじしながら肯定した。

 すると犬耳店員さんはボソッと言う。


「斧投げしよ」


「へ? え、えっと、斧投げしよって言いました?」


「え、ううん、足長いねーって言ったの」


「あ、そうですよね。空耳でした」


 ゲートの列で斧投げとかいう単語を聞いたので、耳がおかしくなったようだ。

 ……絶対に斧投げしよって言ったんだよなぁ? 


「それじゃあ早速やってみましょうか。これ読み込んで。そうすればこの店の商品が出るからね」


 犬耳店員さんが渡してきた紙には、QRコードっぽい物がついていた。それにペッとゼットを押し当てる。すぐに読み込みが終わり、着せ替えが出来るようになった。


「じゃあ、そこの猫セットを押して……そうそう……色も変更できるわよ」


 言われるままに操作していくと、画像のロロにピョコンとネコミミとネコシッポが生え、さらに手足にはネコ手袋とネコ足が。


「はわぁ、反則級に可愛い……」


 画像のロロが笑顔なのも手伝って、どう控えめに言ってもテフィナ一可愛い。


「クソ……ッ」


 不意に犬耳店員さんから聞こえちゃいけない言葉が洩れた。

 思わず顔を上げると、にっこり微笑んでコテンと首を傾げられた。

 俺は見なかったことにした。思わず出てしまった自身の呟きから推理するに、たぶん、犬耳店員さんは恋愛事で辛い事があったのだろう。これをほじくるのは絶対に不味い。


 それにしてもこれは良いアプリだ。

 もう少し早く知っていれば、夜のお風呂も一層楽しく過ごせただろうに。


「えっと、それじゃあ彼女の髪と同じ翡翠色の猫セットを買おうと思います」


 髪の色とネコミミの色の関係はそれぞれ考え方もあるだろうが、俺は同色が良いと思っている派だ。


「分かりました。スキルは何にしよっか?」


 ケモノセットはスキルアクセサリーだ。


 生物はみな魔力が体内を巡っており、その魔力の巡りによって身体能力が大きく補正されている。

 レベルアップ後にトレーニング効率が上がるのは、この魔力による身体能力の補正値が上がるおかげみたい。もちろん、素の筋肉もちゃんと意味があるぞ。

 だからテフィナ人は見た目の筋肉以上の力を持っている事が多い。特に女性の高レベル者はそういうことが顕著なのだとか。


 スキルとは、この魔力の巡りに関わることを高める便利技術だ。

 スキルをつけることで、足が速くなったり、力が強くなったり、魔力操作が上手くなったりする。


 ただし、身体技能的な面に効果があるスキルは存在しない。

 例えば、つけただけで剣の扱いが上手くなるスキルは存在しないのだ。同じく、運動音痴を直すスキルも存在しないぞ。


 何のスキルにするかはすでに決めてある。


「魔力回復速度上昇でお願いします」


 ロロは魔法職だし、これが良いだろう。

 酷いダメージを受けた時に張られるテフィナ人の防衛本能・マシルドも魔力をたくさん使用して行使されるので、このスキルはロロの安全のためにもぜひ使ってもらいたい。


 ちなみに、これはロロにもそれとなくリサーチしておいたからタブっている事もない。


「セット内容はどうする? ノーマルだとネコミミとシッポだけになるけど」


「フル装備で」


 ケモミミセットは通常で5000~8000テス程度。

 これは耳と尻尾だけだ。普通のお外行きファッションはここまで。

 フル装備だと、手袋、靴、首輪がついてくる。お値段はプラス6000テス。これは家の中用で、スキルはついていない。


 その後、犬耳店員さんが俺のゼットをちょちょいと操作して、サイズを確認してくれる。このアプリはそういうのも分かるらしい。


「それでは13500テスになります」


 2回のクエストで稼いだお金は16000テス。

 自分で稼いだお金だけで買う事が出来て、一先ず良かった。まあ、俺の変なこだわりに過ぎないんだけどさ。


 それから包装もしてもらい、荷物を亜空間収納へ大切にしまう。


「店員さんのおかげで良い買い物が出来ました。どうもありがとうございます」


 俺がお礼を言うと、犬耳店員さんはにっこりと笑う。


「いいえ。とんでもないわ。喜んでもらえると良いわね?」


「はい」


「じゃあ、頑張ってね?」


 犬耳店員さんはそう言って手を差し出してきた。

 握手か。今日は女の子とよく握手するな。


「ありがとうございます、頑張ります」


 犬耳店員さんはテフィナ産なのですんごい美女だ。はっきり言って恐れ多いのだけど、俺は握手した。

 うーむ、テフィナ女子は良い人ばっかりだなぁ。

 日本ではこんなこと一度たりとも起こらなかったからね。それなのに今日だけで3人の美人さんと握手したぞ。


 俺は入口までお見送りされて、あにもーらんどから退店した。

 俺が店から出ると、犬耳店員さんが猫耳店員さんに詰め寄られている姿がウインドウ越しに見えた。


 サボって文句を言われているのだろうか、とチラリと思ったが、二人して外で見ていた俺に手を振ってきたので、大丈夫かな?


 にゃんにゃんにゃんっ。

 かれしにめろめろにゃるきゅんにゃんっ。しゅきっしゅきっ。


 再び町の雑踏に踏み出した俺の耳に、店内のBGMがリフレインする。

 ロロも俺にめろめろにゃるきゅんにゃんっになるだろうか? しゅきっしゅきっつって。


「ふふっ」


 そんな姿を思い浮かべて思わず頬がにやけてしまった俺を誰が責められよう。……うん、女子の町でニヤニヤしていたら糾弾の的だ。みんな責めてくるぞ。

 俺は片手で口を隠し、にやけ顔を直した。


 さっ後は帰るだけだ。

 時間はまだ1時間残っている。結構余裕だったな。


 少し慣れてきたとはやはり居心地は悪いので、近場のゲートを目指して俺は歩き出す。


 そんな俺の脳内ではまたも、あにもーらんどのBGMが無限再生され、幸せな未来を想像してしまう。

 あー、早くロロにプレゼント渡したいな。

 笑ってくれるだろうか? それとも照れて生意気なこと言ってくるだろうか?


「あー、ダメだ」


 再び緩んだ口元を隠した俺の耳に、ふとその声が届いた。


『ねえ、魔力交換しよ?』


 いつも自分たちのしている行為だけに、俺は反射的にそちらを向く。

 そこはゲーム屋さんで、今の声はCM用のホログラムから流れたようだった。


 今のセリフと同じ光り輝く文字が消え、画面は暗転。

 すぐにゲームシステムの紹介が始まる。


『魂の双子同士が持つ魔力交換による相手の好感度察知能力を完全再現』


「……は?」


 好感度察知能力……?

 そんなもの俺達には……


 怪訝に思う俺の前で、システム紹介は続いていく。

 そして。


『無関心の無味、恐怖の苦味、怒りの辛味、そして……君はその出会いの果てに、この世で最も甘美なる味に辿り着く――さあ、たった一つの恋をしよう』


 俺は口に手を添えた。


「俺は……」


 ゲームシステムの紹介が終わり、様々なタイプのイケメンが一言ずつ話しては消えていく。

 そして、最後にヒロインの女の子と、一人の少年が見つめ合う絵と共にタイトルが。


『お前と俺と溶け合うような愛の日々 2』


 俺は、そんな映像を見つめながら、酷く震える手の中で、呟く。


「俺は、怖がられていたのか?」


読んでくださりありがとうございます。

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